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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – フジイタクミ[マルシィ]

  • Interview:Kimiya Mizuo

がむしゃらに突き進んだ先に、良いことが起きると信じています。

━━ここからはプレイについて聞いていきます。「恋い焦がれて」では、止めやロング・トーンなど音価を気にする部分や、スライドを織り交ぜた動きのあるベース・ラインが聴けます。ここではどういった演奏を意識しましたか?

 歌、ギター、ベース、ドラムのみで構成された楽曲なので、アンサンブルを支えつつも聴こえてくるベースを意識しました。サビやイントロなどのスライドを多用したベース・ラインは、歌詞から片想いの焦り的なものを汲んでの発想です。

━━「ミックス」はスラップやオクターヴ奏法を駆使したグルーヴィなプレイが光る楽曲ですね。

 “夏”という舞台の骨組みを作るのがベースの役目だと思ったので、エネルギッシュなプレイを意識しました。マルシィの楽曲でスラップをするのは初でしたね。聴いている人がノリノリになるようなベースを目指しました。

「ミックス」(Official Music Video)

━━「ラブソング」では、2番からベース・ラインに動きを出し、楽曲に奥行きを与えています。どのような意図がありましたか?

 終始温かい気持ちになる楽曲だと思いますが、その気持ちを聴き心地よく持続させるために、ベースでも動きを出して展開していく感じを出していったんだと思います。ベースのメロディアスなフレーズは好きなので“昨日の映画の続きを〜”からのベース・ラインは弾いてて心地良いですね。

「ラブソング」(Official Music Video)

━━「ただそれだけのことがさ」はスライドやグリッサンドを使用し低音から高音まで駆け巡るプレイが印象的でした。

 歌詞が持つ感情に寄り添うように弾いていくとこのようなプレイになっていきました。ヴォーカルと一緒に歌っている感覚ですね。

「ただそれだけのことがさ」(Official Music Video)

━━「もしもの続きを少しだけ」では、1番と2番でAメロの動きを変えていますが、どのように発想しましたか?

 四つ打ちのドラム・パターンのなかでスタンダードなベース・プレイはたくさんあると思うのですが、何か変わったことをやってみたいなと思い2番のAメロのパターンが生まれました。パーム・ミュートのようなゴーストのようなものの連打とフィルの合わせ技ですね。

━━「ラズベリー」では、2番サビ前(1:47~)からの下降していくベース・ラインを筆頭に、美しいフレーズが印象に残りました。

 この曲を聴いたときに色っぽい印象を感じまして、その印象を持ってレコーディングしたので、2サビ前のみならず美しくメロディアスなフレーズを弾き切るよう意識しました。

「ラズベリー」(Official Music Video)

━━『Candle』の全楽曲をとおして、高音の使い方がとても綺麗だと思いました。今作のベース・プレイで気に入っている楽曲を挙げるとすると?

 ありがとうございます。先ほども触れたようにアンサンブルを支えつつも、キラリと光るメロディアスなフレーズが好きなのでそう言ってもらえて光栄です。どの曲も今の自分ができることで丹精込めて弾いたので選ぶのは難しいですが、強いて言えば「ただそれだけのことがさ」の落ちサビのフレーズだと思います。コード・トーンを追ってるシンプルなフレーズですが、歌詞と寄り添いグッとくる感じがお気に入りです。

━━逆にベースに関して苦労した曲を挙げるとすると?

 「幸せの花束を」の、打ち込みのドラムと共にグルーヴしていくところですね。この曲のレコーディングを経て、改めてハネたグルーヴ修行を始めました。

「幸せの花束を」(Official Music Video)

━━今作をとおして、ベーシストとしてどんなところが成長したと思いますか?

 前作に比べて単純にベースの腕は上がったなと思います。 今作はバンド・サウンドのバラード、ギター・ロック的な曲、打ち込みのビートの曲などさまざまなパターンの楽曲が揃ってるので、そのなかでのベース・プレイを経験できたのは成長につながったかと思います。

━━今後の目標を教えてください。

 次々と乗り越えるべき壁が現われてくるので、目標はひたすらその壁を乗り越えていくことですね。とにかくベースがうまくなりたいです。がむしゃらに突き進んだ結果、良いことが起きると信じて頑張ります。

MY ROOTS ALBUMS

『Jealousy』
X(X JAPAN)

Xを聴いて一番衝撃を受けた「Silent Jealousy」が収録されていることと、当時のXのメンバーの皆さんの個性が詰め込まれたアルバムで長らく愛聴しています。

『MOTHER』
LUNA SEA

年齢的にリアルタイムで聴いていたわけではないのですが、個人的に思い出のアルバムです。このアルバムから「LOVELESS」「ROSIER」「TRUE BLUE」を昔にコピーしました。特に「TRUE BLUE」はベースを持って初めて1曲フルで弾き切った思い出の曲です。まさにMY ROOT ALBUMだと思い選ばせていただきました。

『Californication』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

歪んだベースの解放弦Eからアルバムが始まるところがロマンですね。「Parallel Universe」のピックでテケテケ弾いてるベース・ラインも心地よいですし、そのほかにもベーシスト的に聴き応えのある楽曲が続いていくお気に入りのアルバムです。

Profile
フジイタクミ●12月27日生まれ。X(現X JAPAN)の影響でベースを弾き始める。2019年に「Drama」「絵空」のMVを公開し、2020年にはノンプロモーションにもかかわらずSNSを中心に楽曲が広まり、新人バンドとして異例のSpotifyバイラル・チャートへ約1ヶ月連続チャートインを記録する。2022年6月に1stアルバム『Memory』でユニバーサルシグマよりメジャー・デビュー。2023年11月25日に2stアルバム『Candle』をリリースした。バンド・アンサンブルを低音から支えながらも歌に寄り添うメロディアスなベース・プレイを得意としている。

◎Information
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フジイタクミ:X Instagram