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チャック・レイニーが語った「ジェームス・ジェーマソン論」【偉大なるベーシスト100人】
- Photo: Getty Images
現在発売中の『ベース・マガジン2025年2月号』の特集企画は、プロ・ベーシストたちへのアンケートをもとに、演奏技術や影響力など多角的な視点で選出された“偉大なる100人のベーシスト”をランキング形式で紹介する「THE GREATEST BASSISTS 100」。
ベース・マガジンWEBでは、100位以内にランクインした“偉大なるベーシスト”たちの功績を辿っていく。
100人の偉大なるベーシスト:
ジェームス・ジェマーソン
今回フィーチャーするのは、モータウンの全盛期を支え、数多くのヒット曲で世界中の人々を踊らせながら、生前ほとんど表舞台には登場することのなかった天才ベーシスト——ジェームス・ジェマーソン。
本誌2003年2月号に掲載された特集「1936~1983:ジェームス・ジェマーソン没後20年」では、ジェマーソンにゆかりの深い6人のベーシストによる“ジェマーソン論”が掲載された。
チャック・レイニー、マイケル・ヘンダーソン、フィル・チェン、ラルフィ・アームストロング、J.V.コリアー、ボブ・バビットが語った伝説的ベーシストの肖像。
ここでは、チャック・レイニーのコメントをWEB用に再編集してお届けする。

チャック・レイニーが語ったジェマーソン論

Photo by Yoshika Horita
ジェームス・ジェマーソンのスタイルには、ふたつのポイントがあると思う。第一に挙げられるのは、彼が常にプレイしていたルート〜5度〜オクターヴのパターン。2番目の要素としては、サウンドの奥底の“倍音”に裏打ちされた、モータウン特有のグルーヴ感だね。
ジェームスは自らのベース・ラインの大半を、前述のルート〜5度〜オクターヴで構築しつつ、そこにほかのスケールのトーン、もしくはノン・スケールながらクロマティックな経過音のトーンを加えることで、旋律の進行に変化をつけたり、メロディックなラインを創造したりしていた。私のスタイルにも、彼の影響力は多大だよ。
彼がフォー・トップスの「Bernadette」で披露したプレイは、まさに名演のひとつ。
モータウン・ドラマーが打ち出すラテン色の強いリズムが、ジェマーソンにフリーなスペースを与えた結果、彼は意欲的にベース・プレイの幅を広げると同時に、さらにサウンドの前面に出てきたように思う。
モータウンのトラックでは、シンガーの次に目立つのはいつも決まってベースの音だよね。偉大なミュージシャンがみなそうであるように、プレイ中のジェームスの頭のなかにはサウンドの進化形が鳴り響いていたんじゃないかな。
より複雑に刻まれたドラム・パターンなどもその一例だったんだろう。そこで閃いた新たなアイディアを、彼はクリアな音量でプレイしたけれど、それはあくまでもグルーヴを助長し、曲をサポートすることに徹した表現だったね。
アップライト・ベースで基礎を積んだジェームスは、おもに人差指1本のアップ・ストロークのみでピッキングした。
彼のヘヴィなタッチ、弦高の高いプレシジョン・ベース、そして“真の男”のアティテュードが、歌心のある力強い音色を生み出したのだと思うよ。
ある時、彼に弦の上を自在に行き来する僕のワン・フィンガー奏法のテクニックを見せたんだけど、彼は“なんて軟弱な弾き方をするんだ”と一笑に伏してたよ。(チャック・レイニー)
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ジェマーソンは何位にランクイン?
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