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【第9回】ちょうどいい力加減/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

BASS MAGAZINE Web『石村順の低音よろず相談所 ~Jun’s Bass Clinic~』。第9回のテーマは“弦を押さえる力加減”です。

本連載の第1回目で“リラックスして弾こう”という話をしました。

まずはピッキングするほうの手が力まないように気をつけること、これが先ですが、弦を押さえるほうの指もリラックスさせないとまずいんです。

強く押さえすぎることによって何がまずいのか? まとめると以下のようになります。

① 指に余計な負担がかかってしまう
力むことによって、指の関節が逆向きに曲がった状態で押さえることがあります。そのとき、関節に無理な力がすごくかかってしまい、痛くなったり疲れやすくなったりします。
ピッキングと同じく、力んでいるとなめらかに弾けないですし、持久力がなくなってしまいます。また、下手をすると腱鞘炎になりかねないので気をつけてください。

② 音程がシャープしてしまう
指板に対して水平に、そしてフレットに沿って弦を押し上げることで音程を上げることを“チョーキング”といいますが、指板に対して垂直に弦を強く押さえることによっても、音程がシャープします。
普通に押さえて弾く音程に比べて、だんだん力を入れて強く押さえていくと音が少しシャープしていくのがわかるでしょうか?

今回、ピッチの基準は440Hzですが、試しにベースは同じチューニングのまま、チューナーの基準を441 Hzにすると、メーターの針は低いほうにズレます。一方、このまま強く押さえると、チューニングが合ってしまう。つまり、強く押さえるだけで、基準ピッチから1Hz分くらいは、簡単にシャープしてしまうわけです。

また、力んで押さえてるせいで、気づかないうちにちょっとチョーキングした感じで押さえてしまっている人もいます。
先ほどのように、指板に対して垂直に押さえた場合であっても、強く押さえすぎるとあれだけシャープしてしまいます。ましてやさらに力んで押さえるとどれだけシャープしてしまうのか……考えてみてください。

このように、力んで押さえてると、いくらチューニングしてもピッチが合わない……これは問題ですよね。

一方、とにかく力を抜けばいいかというと、そうではありません。逆に、弦を押さえる力が弱すぎると、弦がビビって、バズが混じった音になってしまいます。

音色の好みも人によって異なるので“この音色が好き!”っていう人もいるかもしれませんが、この音はいわゆる“ベースらしい音”とか“アンサンブルを支える音”ではないですよね。

やはり、ベースらしい音色が出ているけど力んでない、もしくは必要にして充分っていう力加減を知りたいですよね!?

ということで、“弦を押さえるのにちょうどいい力加減を知る”ためのエクササイズを紹介します。

まずは試しに、中指で4弦の5フレットを押さえてみましょう。

そして、音を鳴らします。
指の力をほんのちょっとずつ抜いていきます。
弦がビビり始めるところまで力を緩めます。

で、弦がビビり始めたら、今度は逆に、ちょっとずつ力を入れていきます。
弦がビビらなくなったら、また少しずつ力を抜いていって……ということを繰り返します。

こうすることで、“ここまでは力を抜いていいけど、これ以上力を抜くとまずい”というポイントがだんだんわかってきます。それが、必要充分の力加減です。

このエクササイズを、人差指から小指まで、4本の指それぞれで個別に練習します。また、1弦から4弦まで、いろんなフレットで取り組んでください。

ということで、このエクササイズをやって、強すぎない、そして弱すぎない、“弦を押さえるのにちょうどいい力加減”を身につけて、いい音色を出していきましょう~。

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ではまた~、石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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