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【第84回】ドリアン・モードの覚え方 ドリアン・モード入門 part2 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
ベースの場合、ひとつのキーでスケールやモードを指板上の形で覚えてしまえば、同じ形をそのままずらせば違うキーにも当てはまるので、実は比較的スケールを覚えやすい楽器です。
前回取り上げたドリアン・モードも、指板上の形で覚えてしまいましょう。今回もDドリアンです。
譜面で見ると、Dドリアンはこのようになっています(Rはルート、数字はルートからの度数です)。
これを指板上で見ると、こんな形をしています。
これをとにかく指を動かして暗記する、というやり方でもいいんですが、いくつかのブロックに分けてヴィジュアル的な特徴をつかむと、もっと覚えやすいかもしれません。例えば、下のブロック、真ん中のブロック、上のブロックの3段に分けて見てみます。
そうすると、真ん中のブロックを挟んで、下のブロックと上のブロックがくるっとひっくり返った形になっています。
あるいは、ルートとオクターヴを結ぶ斜めの線を思い描くと、その線を中心に対称の形になっています。
こういう風にイメージすると覚えやすいっていう人は、ぜひ取り入れてみてください。ドリアンに限った話じゃないですが、スケール練習をするときはスケールの全体像をイメージしながら指を動かすといいですね。
ほかの形も見てみましょう。2度と短3度を3弦から2弦に移動させると、ルートから4度までのブロックがこんな形です(下図の黄色で示した形)。
その先、5度からオクターヴ上のルートまでのブロックも同じ形をしています(下図の黄色で示した形)。
つまり、同じ形の4音ブロックをふたつ積み重ねた形をしているわけです。このイメージに沿って弾くとき、僕の場合は、R-2-♭3-4を4(小指)-1(人差指)-2(中指)-4(小指)という運指で弾いたら、4の指を5度の音までスライドさせて、5-6-7-Rも同じ運指(4-1-2-4)で弾きます。 もう少し言うと、このブロックの組み合わせで演奏してるときに僕が実際にイメージしているのは、下図のブロックの形が近い です。まずは、ルートの下のセブンスも含んだ、7-R-2-♭3-4の5音のブロックです。
そしてその上に、4-5-6-7-Rの5音のブロックが乗っかります。最初のブロックと4度がカブっているというか、4度を接続ポイントにしてつながっているというか、そういう風にイメージして演奏します。
また、ほかの形のブロックでもイメージできます。例えばマイナー・ペンタトニック・スケールをイメージします。
マイナー・ペンタに2度と6度を追加したのがドリアン、という風にイメージすることもできます。
あるいは、マイナー・ペンタの別の形をイメージします。
そこに2度と6度を追加するとドリアンです。
こういう見方もできるんですね。
実際に曲を演奏するときには、フレーズに一番合った運指とか前後のフレーズとうまくつながる運指が大事なので、その瞬間の状況に当てはまるブロックを直感的にイメージして演奏してます。
直感的にそれができるようになるためには、その瞬間のコード(知識)、そのコードの指板上の形(イメージ)、そのコードのサウンド(音感)、そのコードとトニックの関係(知識とイメージ)、そのコードに合うスケールの選択肢(知識)、そのスケールの形(イメージ)、スケールの運指(体の記憶)、スケールのサウンド(音感)、これらがすべて結びついた状態を自分のなかに作っていく必要があります。頭で知り、フィーリングで感じ、体の動きで覚える、という風に総合的に理解することで、直感的に演奏できるようになっていきます。スケールやモードの練習はその基礎作りに役立つので、しっかり取り組んでいきましょう。
石村順でした!
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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