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【第82回】ライヴでめちゃ緊張! ヤバい! ってときの対処法 パート2 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

ライヴで緊張しすぎて演奏がやばい! こうなる前に緊張を和らげる対処法、パート2です。

前回に続き、ライヴ前の緊張を和らげるための僕なりの対処法を紹介します。

ライヴ当日って、

●予習/荷造り
●会場へ移動
●セッティング/サウンド・チェック/リハーサル
●待ち時間
●本番

という流れですよね。

僕は最近はあまり緊張しないんですが、緊張する場合って、前の晩とか当日の朝から小さな緊張が始まって、サウンドチェックとかリハあたりでだんだん緊張してきて、本番が近づくにつれ緊張がピークになっていくわけです。今回注目したいのは、リハが終わってから本番までの待ち時間の過ごし方です。

本番前にやらないほうがいいこと

本番前の待ち時間に楽屋で曲の練習をしたりしていませんか? 緊張しがちな人は、それはやらないほうがいいと思います。

第一に、緊張のことは抜きにしても、本番前に今さら練習しても遅い、っていうのがあります。出番前のウォーミングアップ的な基礎練なら意味があるかもしれませんが、曲の練習は余裕を持って仕上げておくべきことで、本番前にちょっと練習したからって付け焼き刃的にウマくなったりしません。

そして第二に、“本番前の緊張を和らげる”ことに関して言えば、逆効果かもしれないです。本番に向けて緊張が高まっていく流れの最終段階の近くで、火に油を注ぐようなことをしてしまっている可能性があります。ステージ上での緊張って、失敗を恐れる気持ちがおもな原因のひとつだと思いますが、楽屋で練習したりすると余計に失敗を恐れる気持ちを強くしてしまう場合もあるかな、と。ウマく弾けなかったら“ああ、もうすぐ本番なのにやばい!”と焦ってしまうし。それよりも、“必要な準備はすべてやった。あとはただ楽しもう”という心構えに切り替えたほうがいいです。もっと言うと、ライヴのことを一切考えないくらいのほうがいいですね。

緊張への対処④ いったん忘れる

ということで、大事なのはライヴのことをいったん忘れることです。言い換えると、意図的にライヴから目を逸らすということですね。そうすることで、本番に向けて緊張が高まっていく右肩上がりの流れが、いったんリセットされるんですね。

緊張が高まっていく流れをそのままにしておくと本番でピークが来てしまいますが、いったんリセットされれば、そのあとにまた緊張し始めたとしても流れの前半とか中ほどの比較的落ち着いた状態で本番を迎えられるわけです。

ライヴから目を逸らすには、ライヴと全然関係ないことをする時間を作るといいです。ひとりの時間が好きな人は、本が好きなら読書するとか、好きな映画とか動画を観るとか、散策するとか、自分が好きなことをするといいです。ひとりだとついライヴのことばかり考えてしまう場合は、メンバーとくだらない話をしたり、ご飯を食べに行ったりするのもいいです。ただ、とにかくライヴの話題は避けるのがキモですね。

個人的に一番いいと思うのは仮眠を取ることです。これは、ある程度の時間的余裕と静かな場所がないと難しいので、どんなライヴでもできる対処法じゃありませんが、もし仮眠を取れそうならいったん寝てしまうのが一番いいと思います。

ということで、緊張をうまく和らげて、ライヴでもリラックスして演奏できるベーシストを目指しましょう! 石村順でした。

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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