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【第80回】フィルインでハシっちゃう人(全楽器共通)はこの練習! 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
“フィルでハシっちゃう現象”って結構あります。まぁ人間のやることなので、ある程度は揺らいで当然というか。不自然に聴こえない限りは少々ハシるのもアリだけど、フィルでハシってテンポ爆上げとか、フィルでハシってグルーヴ台なしとかいうのはまずいので、やっぱり安定して弾けるようになりたいですね。
フィルインでハシる原因
ひとつめの原因は、単純にフィルインの練習が足りていないから。曲を最初から最後まで通して練習してる人も多いですが、それだと普通のフレーズに比べてフィルインの練習回数が圧倒的に少ない。もしフィルインに問題があるなら、フィルインに的 を絞ってたくさん練習しましょう。
そしてもうひとつの原因として、フィルインは普通のパターンより細かいフレーズであることが多いですが、一般的に、長い音 符から短い音符になるときにハシる傾向があります。例えば、ex.1のようなゆったりしたフレーズから、ex.2のような細かいフレーズに移ったときにハシってしまう人が多い。
“4分音符とか長い音符を基準にして、それを分割して細かい音符を弾く”というリズムの感じ方をしていると、細かい音符の精度が大雑把になりやすい。それから、なんとなく“細かい=速い”というイメージを持っていると、細かいフレーズが来たときに無意識のうちに加速してしまう。同じことがフィルインでも起きがちなんですね。
そこで、逆に、“細かい音符が基準、それをつなげたものが長い音符”というリズムの感じ方をすると、細かい音符も長い音符も安定するようになっていきます。それを踏まえた練習方法がこちらです。
フィルインでハシらない! 効果的な練習方法
まずは、“普通のフレーズが基本で、その隙間を埋めたフレーズがフィルイン”という考え方はちょっと脇に置いておいて、逆の見方をしてみましょう。つまり、フィルインや曲の後半の“細かいフレーズ”が基本のグルーヴだ、ということ。それを間引いたものが普通のフレーズ。そういう風に考えつつ、例えば、こんなフレーズで練習してみましょう。
まず、フィルインだけをリピートして練習します(ex.4)。何回か繰り返して終わりとか、間違えずに弾けたら終わりじゃなくて、リズムが安定して、グルーヴするようになるまで、必要なら10分でも20分でも続けます。
次にフィルとリフを交互に弾きます(ex.5)。それぞれ4回ずつとか、フィル3回→リフ1回、とか、1回ずつ交互に弾くとか、いろいろやってみます。このときに大事なのは、リフを弾くときもフィルをイメージし続けることです。
これはフィジカルな練習でもあるけど、むしろイメージする力を鍛えることに重点を置いた練習なので、慣れないうちは手応えがないかもしれない。でも、根気強く続けて、フィルのグルーヴをイメージしたままリフを弾けるようにしていきましょう。慣れてきて、リフの背景にフィルインのグルーヴがオーバーラップして感じるようになれば、実際にフィルインを弾くときもハシ らずに安定して演奏できるようになってきます。
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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