NOTES
なめらかに弾きたいのにガタガタした演奏になってしまう。今回はこの症状を改善する練習を紹介します! なめらかじゃなくガタついた演奏になるおもな原因のひとつが、次の音まで押弦し続けられずに途中で指が浮いてしまうケースです。本来なら次の音まで音を伸ばすはずが、次の音の手前で音が途切れてしまっているんですね。音と音の間に意図せず無音部分ができてしまっているから、なめらかに聴こえない、と。
もうひとつの原因は、音が途切れていないとしても、音価が一定じゃなくてまちまちになってしまっているということで、結果、フレーズがガタガタして聴こえてしまうということがあります。
ということで、音の途切れをなくしてなめらかに弾くスキルと、音価を安定させるスキル、その両方を鍛えましょう。最終的には音をつなげたいんですが、最初はスタッカートの練習をします。詳しくはあとで説明しますが、スタッカートを高い精度でコントロールできるようにしていくことで、同時に“なめらかさ”の精度も高めていく、というアプローチです。
練習に使用するのはどんなフレーズでもいいんですが、ここでは前回・前々回に紹介したウォーミング・アップのフレーズで練習します(ex.1)。運指は以前の動画を参考にしてください。
スタッカートは、とにかく短く弾くということではなく、“元の半分(1/2)くらいの音価で演奏する”というのが本来の意味です。普通は厳密に半分にするとは限らないんですが、この練習では音符と休符が同じ音価になるように意識して練習します。これを反映した譜面を書き直すとこうなります(ex.2a)。このフレーズの場合、16分音符と16分休符が交互に出てくることになりますね。
音を切るのは右手でもできますが、今回は左手だけで音を切ります(ex.2b)。無意識のうちに右手で止めないように気をつけましょう。
1音押さえたあと、次の1音を押さえるまでのちょうど中間のタイミングで指を浮かすので、普通に弾く場合の倍の細かさで左手を動かすことになります。実際に出ている音をよく聴くと、ただ“ダッダッダッダッ”と音が切れてるというより、音が切れるタイミングで弦がフレットから離れる小さな音が鳴るので、実音と合わせて“ダツダツダツダツ”という16分の連続に聴こえます。
つまり、この練習をすることで、①左手の動きの精度を倍の細かさに鍛えていきつつ、②リズムの捉え方・感じ方も倍の精度に鍛えていこう、というわけです。
ポイントとして、ex.2bの五線の下に書いたように、“右手で音符、左手で休符”という意識で演奏すると良いです。ドラマーみたいに両手でRLRLと演奏するイメージですね。右手だけだと8分音符単位で動いているだけですが、両手の組み合わせでずっと16分が連続している意識で演奏します。
慣れてきたら、スタッカート・バージョン(ex.3a)と元々のバージョン(ex.3b)を交互に演奏します。
ポイントは、ex.3aを弾くときに感じる両手の16分のフィールをキープしたままEx.3bを弾くことです。あと、ex.3aでは、左手で音を切る感覚/左手で音価をコントロールしている感覚がありますよね。音を伸ばすex.3bでも、引き続き左手で音価を感じながら弾く、的なイメージです。ひとつひとつの音を充分な長さに保ちつつ、フレーズ全体もなめらかに演奏します。
こうやってex.3aとex.3bを交互に弾くことで、音を切るスタッカートと、音をしっかり伸ばすテヌートをしっかり区別して弾き分けて、なめらかに弾くべきフレーズはなめらかに弾けるようにしていきましょう! 石村順でした!
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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