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    【第67回】バンドをまとめる“音楽的”なカウントとは?/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    今回のテーマは、ベースの“奏法”は全然関係ないんですが、めちゃくちゃ重要なテーマです。ベーシストに限らず、全プレイヤーにとって大事なテーマ。それは、曲の頭の“カウント”です。

    バンドでカウントを出すのは、ほとんどの場合ドラマーか、ヴォーカルか、バンマス(バンド・マスター、つまりリーダー)ですよね。自分がバンマスじゃない限り、ベーシストがカウントを出すことってあんまりないんですよ。つまり、ベーシストはだいたい“誰かがカウントするのを聴いている”立場にいることが多い、と。そこで問題になるのが、“カウントを聴いている間に何をやっているか”なんです。これが、バンドのアンサンブルを大きく左右するんですよ。

    それについて話す前に、そもそもカウントって何のためにあるのか?

    ひとつは、“曲のテンポを示す”ためです。もうひとつは、“フレーズが始まる場所を示す”ためです。1、2、とカウントするから、今、何拍目にいるのがわかるわけです。まあ、どちらも当たり前のことですよね。でも、それだけじゃないんですよ。

    カウントって、ただ“テンポに合わせて数えてる”だけじゃないんですね。“これから始まる曲の曲調/グルーヴを示す”のも、カウントの大事な役割なんです。だから、優秀なドラマーのカウントを聴くと、曲調によってカウントの表現が全然違います。テンポがまったく同じでも、曲調とかグルーヴが違ったら、カウントも違う表現になるんです。

    だから、カウントをただふんわりぼんやり聴いているというのはもちろん論外です。

    そして、集中してカウントを聴くのはもちろん、一番大事なのは“カウントの最中に自分の内面で曲を始めておく”ことなんです。なぜかというと、カウントをただテンポ設定だと思って聴いて、“自分が弾き始めるタイミング”でようやく曲やフレーズをイメージしても手遅れなんですよ。曲が始まるときにスイッチ・オンでは遅すぎるんですね。それだと、最悪の場合、どアタマの1音が合わないなんてこともありえるし、そこは大丈夫だったとしても曲の最初のほうはリズムがちょっと不安定だったりして、何小節かしてからやっとその曲のフィールが出てくる、なんてこともありえるわけです。もちろんそれじゃダメですよね。曲が始まった瞬間から100%その曲のグルーヴを出したい。そのためには、“カウントの最中に自分のなかで曲が鳴ってる”ことが大事なんです。

    カウントのときに自分のなかで音楽を鳴らすためには、実は“カウントの前”から曲をイメージしてないといけない。そうじゃないと、カウントが聴こえてから慌ててイメージしても、やっぱり若干手遅れです。あと、自分がカウントを出す場合は、そもそも自分のなかでその曲が鳴っていないと適切なカウントができません。

    たまにスタジオ練習とかライヴでいきなりこういう風にカウントに対応しようとしてもできません。普段から、練習しておきましょう。

    曲でもフレーズでもスケール練習でも、とりあえず闇雲に弾き始めるんじゃなくて、次の手順で弾き始める習慣を身につけましょう
    ① 楽曲をできるだけリアルにイメージする
    ② その曲の雰囲気を醸し出したカウントをする
    ③ 演奏スタート

    普段からこういう手順で練習して、曲をリアルにイメージしたうえで演奏することに慣れておけば、スタジオ練習でもライヴ本番でも、カウントをもっと音楽的に捉えられるようになっていきます。バンドのアンサンブルをよりまとまったものにするには、ドラマーだけじゃなくメンバー全員がこういうカウントの練習をしたほうがいいですね!

    石村順でした!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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