NOTES
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【第104回】スラップ練でもパラディドル! ドラム基礎練の定番でリズムを鍛えよう 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
前回までは、スネア・ドラムの基礎練“パラディドル”をベースの左手の運指に当てはめたエクササイズをやってきました(第102回、第103回)。今回は、パラディドル本来の両手でRLRR・LRLLと叩くという手順で、スラップ練をします!
スラップするときのサムピングには、親指(サム/Thumb)を弦の真上から指板に向けて叩きつけてバウンスさせる方法と、ピック弾きのオルタネートのように弦を通り抜けてダウン・アップさせる方法があります。上のパターン1の譜面はバウンスさせる方法の運指で書いてあります。
上段の青い大文字が右手で、T→バウンスさせるやり方、D→ダウン・アップのダウン、U→アップ。
下段の赤い小文字が左手で、hがハンマリング・オン。音符が×印のところは複数の指で弦をミュートしてゴースト・ノートを出します(実音が出ないように注意)。それ以外は参考の運指を数字で示してあります(1=人差指 2 =中指 3=薬指 4=小指)。
16分音符がたくさんあると難しそうに見えるかもしれませんが、これは目の錯覚なので、少し簡単に見えるように倍の音価で書き直してズーム・アップします。これなら簡単そうですよね?
さらに譜面をズームアップします。
これだとめちゃくちゃ簡単に見えるし、1個1個の音をていねいに弾こうという気になりますよね。最終的に意識しなくても指が動くようになるまでは、“ゆっくり”“ていねいに”“リラックスした状態で”練習するのが大事です。スラップってワイルドでアグレッシヴな印象が強いのでついつい力づくで弦をぶっ叩きがちだし、早くアップテンポで弾きたい気持ちもわかりますが、実はリラックスしてていねいに練習しないと、ただ雑な演奏になってしまいます。この譜面を見ながら時間をかけてていねいに練習して、少しずつテンポを上げていきます。慣れてきたらズーム・アップ1の譜面や元の譜面を見て弾いてもOKですが、ていねいさはキープしましょう。
次はダウン・アップで弾く場合です。音が連続するところをダウン→アップで弾くことに慣れている人は、バージョン1みたいに弾くことが多いかもしれません。
パラディドルを、RLRR・LRLL (4+4)ではなく、RLR・RLR・LL(3+3+2)というポリリズム的にとらえると別のグルーヴが出て気持ちいいので、バージョン2の運指もおすすめです。DhU・DhUと同じ運指が2回続くので3+3+2というポリリズムの形を感じやすいです。
さて、パターン1の3種類の運指を見てきましたが、次のパターン2は、パターン1の最後の2音の音程を変えたものです。パターン1では、Eの4度(A)と5度(B)でしたが、ここではマイナー3度(G)と4度(A)です。
パターン3は、最後の2音が3弦でセブンス(D)→ルート(E)です。これまでは全部同じ弦で、すでに弦が鳴っているところにハンマリング・オンをして音を出していましたが、このD音は、鳴っていない3弦を左手1(人差指)だけで鳴らすところがポイントです。
パターン1~3を混ぜて弾くと、こんな感じです。
ウォーム・アップ/基礎練でもありつつ、このように曲のリフっぽい感じで楽しむこともできるので、ぜひ普段の練習に取り入れてみてください。石村順でした!
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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