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    【七宝盤】第八回 – 森田晃平

    あのベーシストは、どんな音楽を聴いて現在の音楽性/ベース・スタイルを築き上げたのだろうか? さまざまなベーシストに、自身が影響を受けた“私的名盤”を7枚厳選してご紹介いただく連載企画です。

    森田晃平

    Profile
    もりた・こうへい●1988年6月9日生まれ、鹿児島県出身。高校入学を機に吹奏楽部に入部しコントラバスとエレキ・ベースを始める。2010年活動の拠点を東京に移し、Laika Came Back、VAMPS、熊木杏里などさまざまなアーティストのレコーディングやライヴをサポート。2011年にPRIMITIVE ART ORCHESTRAを結成し、3枚のアルバムをリリース。また、同バンドの木村イオリ(p)との木村イオリ&森田晃平デュオでも活動し、2022年3月23日に2ndアルバム『Common Nostalgia』を発表した。
    ◎PRIMITIVE ART ORCHESTRA Official HP ◎森田晃平 Twitter 

    七宝盤①

    『Ma Fleur』
    The Cinematic Orchestra

    (2007年)

    楽曲構成、音場、ジャケット・デザイン、音楽を作るすべての工程において刺激を受けたアルバム。自宅スタジオにアナログ盤を飾っています。この音楽があったから人生のさまざまな苦境を乗り越えられました。一日の終わりにゆったりと聴いてほしいです。

    七宝盤②

    『music & me』
    原田知世

    (2007年)

    初めて伊藤ゴローさんの音世界に触れたアルバムでした。アルバムを通して何とも風通しの良い音場が心地よく、聴くたびに胸がスッとします。「君と僕」での鈴木正人さんのウッド・ベースによる有機的なサウンドと懐の深いプレイが世界観の根幹に温かく光っています。「くちなしの丘」は永遠の名曲。

    七宝盤③

    『Musical』
    クラムボン

    (2007年)

    ミトさんという自分の人生のなかでのひとつの大きな“化け物コンテンツ”に出会ったのはこのアルバムでした。「Merry go round!」の強烈にドライブしたプレシジョン・ベースのサウンドと、指板上を駆け巡る縦横無尽なプレイに一聴して恋に落ちました。その後、多角的に影響を受けました。上京後、ご縁をいただき、氏が作編曲した竹達彩奈さんのシングルの録音にウッド・ベースで呼んでいただけたときは本当に嬉しかったです。

    七宝盤④

    『Live』
    ダニー・ハサウェイ

    (1972年)

    19〜20の頃に先輩に薦められて聴いて、ウィリー・ウィークスの縦横無尽で歌心溢れるプレイに衝撃を受けました。ベースを始めて以来、コピーなどをしてこなかった自分が初めてベースを聴くこと、その後それをプレイに還元することを意識したアルバムだったように思います。このアルバムをきっかけにモータウンやスタックスなど70年代のアメリカのレーベルの音楽に興味を持ちました。

    七宝盤⑤

    『Let It Be』
    ザ・ビートルズ

    (1970年)

    アルバム制作時に行なわれた“ルーフトップ・コンサート”の映像が大好きで何度も観て、同年代のシルバーフェイスのベースマンも買いました。ポールの独特なオルタネイト・ピッキングにより繰り出される珠玉のベース・ラインの数々はどれだけの影響をベース界にもたらしたのでしょうか? 近年、ディズニープラスにて公開された『ザ・ビートルズ:Get Back』も心をヒリヒリさせながら観ました。知れば知るほどに彼らの音楽に、存在に興味が湧いてきます。

    七宝盤⑥

    『Live At The Troubadour』
    キャロル・キング&ジェイムス・テイラー

    (2010年)

    自分のなかで歌の伴奏のベース・ラインの理想はリー・スクラーのプレイです。そんな彼のプレイに出会ったきっかけがトルバドールで収録されたこのアルバムのライヴ映像でした。一音の慈悲深さ、フィルイン時の絶妙な歌心、その場の音楽に対してジェントルで寡黙な姿勢。すべてが心に刺さりました。ポール・ウィリアムズの「Just an Old Fashioned Love Song」での氏のプレイもぜひ聴いてほしいです。

    七宝盤⑦

    『Bon Iver』
    Bon Iver

    (2011年)

    PRIMITIVE ART ORCHESTRAの2ndアルバムのミックス時にエンジニアから、“森田さん絶対に好きだと思います”と薦められて聴いて、一曲目のイントロのギターの音色から耳を持って行かれてすぐに夢中になったアルバムです。音作りも、アレンジもすべてが素晴らしい。ジャスティン・ヴァーノンの歌声は、なぜこんなにも郷愁を誘うのでしょうか?