NOTES
“めし”をテーマに、プロ・ベーシストに音楽活動の活力になるようなお店やお気に入りのメニュー、そのほか“食”にまつわる思い出深いエピソードを語ってもらう本連載。今回登場するのは、日本を代表するニューウェイヴ・バンド、POLYSICSを骨太ベースで支えるフミ。彼女が今回紹介してくれたのは、スイッチをオフにするときに足を運ぶという、自身の休憩所のような存在のお店だった。
ホッとするというか、気を張らなくても良いお店。
アテ、じゃなくて“ごはん”。
下北沢にはたくさんの飲食店があるけど、深夜になると“ごはん”をいただけるお店がぐっと少なくなる印象。
もちろんチェーン店はやってるけど、少し寂しい気がする。いや、もちろんチェーン店でも飲めるし、美味しいごはんもいただけるんだけど、なんというか少しドライな印象でひとりでの入店は勇気が必要。それは元気なときにして、仕事終わりがけっこう遅くなったときとか、“今日は疲れちゃったなー!”ってとき、ちょっと飲みながら美味しい“ごはん”が食べたいときに、フラフラとこのお店に向かうことが多い。というか、何も考えずに向かっているときのほうが多いと思う。それくらいホッとするというか、気を張らなくても良い。今日のお仕事はこれで終わり!ってスイッチをオフするために向かう感じ。無意識で。
下北沢「酔いどれ天使 よい天 Song2」。お刺身を主に魚介系の肴、小鉢、ご飯物。
初めて行ったのは十数年前、年上の友人に連れてきてもらい、友人にオススメされた焼き鯖飯というひつまぶしみたいな感じでお出汁とともに提供されるメニューにひと目惚れ。そこからお邪魔するように。ひとりで飲食店に入れるようになったのはこのお店からかもしれません。
寒い季節のお通しは温かいもの、暑い季節はさっぱりとしたもの。深夜に美味しいお刺身が食べられる。
これって意外と貴重だと思うんです。
メニューには本日のお魚が数種類。
いろいろと種類をいただきたくてもお腹のスペースは限られてる。ひとりだと特に厳選が必要。
しかし余裕のあるときは少量ずつのお造りをお願いできたりと、個人店ならではのありがたい対応をしてくださる。ちょこちょこと小鉢をいただいたりしてから、ごはん。
最近のお気に入りは本格的な香港産の蝦子麺を使った浅利麺。アサリたっぷり。麺の量は少なめなので、深夜の炭水化物への罪悪感も少なめ。しかしお出汁がこれまた美味しいので完飲。罪悪感再び。ついつい食べちゃうこと多し。
私のわがままでメニューにないナポリタンを作ってくれたこともあったりと、さながら深夜食堂。
お酒と一緒に美味しい“ごはん“を食べることでご褒美感とともに、本日はこれにて終了!の気分。
お腹も心もしっかりと満たされて、また明日も頑張ろう!と帰ろうとすると、知人がひとり、またひとりと増えてきて、ちょっと“ごはん”が深い“呑み”に変わっていくことが多々なので、自分的には要注意。
酔いどれ天使 よい天 Song2
東京都世田谷区北沢3丁目20−18
下北沢で深夜過ぎまで営業。お刺身のほか魚介系の肴や小鉢、ご飯物のメニューが売りのお店。日本酒や焼酎など、魚介に合うお酒が充実しているのも嬉しい。
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【Profile】
ふみ●1978年生まれ、東京都出身。16歳で54NUDE HONEYSにギターとして加入し、バンドマンのキャリアをスタート。1999年にPOLYSICSにサポート・ベーシストとして参加し、2001年に正式メンバーとなる。バンドは2000年にメジャー・デビューを果たし、全国ツアーを敢行するなど国内で精力的な活動を展開しながら、2003年からは国外での活動も本格化した。現在のバンド・メンバーはフミのほか、ハヤシ(vo, g, syn, prog)、ヤノ(d, vo)の3人。2018年には同メンバーの別バンドであるThe Vocodersを結成した。
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