NOTES
今回は前回に引き続きコードのお話だ。みんなも“三和音”という言葉を聞いたことがあるんじゃないかな? ピンときた人もそうじゃない人も、まずはチャレンジしてみよう。
まずは復習だ!
今回で第3回目となるこのコーナー、みんなちゃんとついてきてるかな? これまでにルートとコードの基本について述べてきたわけだけど、今回は前回に引き続き“三和音(トライアド)”についてだ。
では早速だが、ここで復習をかねて次のクイズに答えてもらおう。
【問題】基本的なコードはその働きや性格で4種類に分類できるが、その4種類をそれぞれ漢字ひと文字(およびカタカナ名)で表わせ。
ちょっと難しい感じがするかもしれないが、前回の内容がきちんと頭に入っている人はわかったはずだ。
【答え】長(メジャー)・短(マイナー)・増(オーギュメント)・減(ディミニッシュ)。
そう、前回はこの4種類の言葉が出てきたものの、その意味までは説明できずに終わってしまったね。そこで今回は、具体的にこれらがどういうものなのかを説明していこうと思う。
ちなみに、この先これらを説明する場合、特に記さない限りカタカナで記した英語の名称をメインに使うことにする。これは実際にポピュラー・ミュージックの現場では、一般的に英語のほうがおもに使われているためで、より実践に即したものだからだ。
では、始めよう。
基本を確認しておこう
それでは具体的な説明に入るが、すでにここまでにいくつかの理論的な用語が登場してきている。なので、ここで一度整理して、それぞれをしっかりと再確認するために、基本を箇条書きにしておこう。それぞれの言葉がどういう意味を持つのか、初めて知った言葉はもちろんのこと、今まで聞いたことがあったとしても、なんとなくとらえていた言葉などは、ここで確実に理解することで、自分のものにしておいてほしい。
◎“コード”とは、高さの異なる複数の音が同時に響いて得られるもの。
◎“度”とは、音程を表わす単位のこと。
◎一般的に“三和音”をコードの原型としてとらえる。
◎“トライアド”とは、三和音のこと。
◎“トライアド”には以下の4種類があり、すべてのコードはこれらの延長上にあると言える。
1.メジャー・トライアド(=長三和音)
2.マイナー・トライアド(=短三和音)
3.オーギュメント・トライアド(=増三和音)
4.ディミニッシュ・トライアド(=減三和音)
※ひと言メモ:“オーギュメント・トライアド”は正確には“オーギュメンテッド・トライアド”、また“ディミニッシュ・トライアド”は正確には“ディミニッシュド・トライアド”というが、日本では上記のように呼ばれることも多い。
4種類のトライアドの構成音って?
では、いよいよトライアドの具体的な中身について述べていくわけだが、ここまでは簡単に“三和音=トライアド”と説明してきた。しかし正確に言えば、どんな三和音でもいいというわけじゃあない。実はトライアドとは“ルートの上に3度と5度の音を加えた三和音のこと”なんだ。したがって、前回から述べている4種類のトライアドとはつまり、【図1~4】【譜例1~4】に示すような構成音を持った和音のことなんだね。
何を隠そう、これこそが4種類のトライアドの正体なんだ。ちなみにここでは、それぞれの違いをわかりやすくするために、ルートをすべてCに統一してある。つまり、これらはコードCのトライアド、というわけだ。
また、この先さらに複雑なコードが登場してきたとしても、ほとんどすべてのコードはこの4種類のトライアドをもとにして成り立っていくことになる。それほどこの4つのトライアドが重要というわけだ。
コード・ネームの書き方
コードを表記する場合、ルートとなる音をアルファベットの大文字で表わすことは知っているよね? では、その他の3rdや5thが変化したものはどのように書けばいいのだろうか。そのあたりの関係を下の表にまとめたので、簡単な規則性を把握しておこう。ちなみに、ここでもルートはすべてCに統一してある。
これを見てわかるとおり、メジャー3rdや変化のない5thは特に表記しないことや、マイナーは“m”あるいは“−”で表わすとか、“#”は“+”と、“♭”は“−”と置き換えたりすることがわかると思う。
人によっていろいろな書き方をする場合があるが、基本は、マイナーは“m”で、ほかのものも“+”や“−”よりも“#”“♭”を用いれば間違いない、と覚えておこう。
さあ、少しずつややこしくなってきたように感じるかもしれないが、規則性をわかってしまえばそれほど難しくはないはずだ。次回はさらに音数が増え、四和音のコードの世界に入っていくので、ここまでをしっかり把握しておくようにしよう。
今回のまとめ:トライアドとは、1+3+5!
◎講師:山口タケシ
東京都出身。小学生の頃ギターを弾き始め、中学生でバンドを作り、ベースに転向。大学在学中にCBS/SONY(当時)よリバンドでデビューした勢いで、新聞記者か小学校教師という進路を変更、親の反対を押し切り就職活動もせずにプロの世界へ。その後はバンドのライヴ活動と同時にスタジオ・ワークやツアー・サポートなどを始める。卒業後、自己のバンドや、数々のアーティストのツアー、レコーディングヘの参加とともに、『ベース・マガジン』誌への執筆や、入門書、教則CD、教則ビデオ制作といった活動も続けている。