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【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第10回 – 指板上の音を覚えよう

  • Text:Makoto Kawabe

ここでは、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。第10回目のテーマは“指板上の音を覚えるコツ”です。

突然ですが問題です。4弦8フレットの音名は何でしょう?

……正解は“C音”ですが、これがわからなかった人は今回の記事は必読です!
ということで、今回のテーマは“指板上のどこに何の音(音名)があるか” です。耳コピやタブ譜に頼ってベースを弾いている人にとっては、指板上の音名を把握する必要性がわからないかもしれませんが、ベースをより楽しく弾くためには不可欠な情報なんですよ。

ベースの指板を覚える

5弦ベースの指板図と鍵盤の音名

上記はレギュラー・チューニング時の5弦ベースの指板図です。4弦ベースの人は5弦を一旦無視してください。そして、“これを全部暗記する!”と思うと難しい気がしますが、法則性を見出せると簡単に覚えられます。

音名はA〜Gのアルファベットに半音上を意味する “♯(シャープ)”と半音下を意味する “♭(フラット)”を使って提示されますが、それぞれの位置関係(インターバル)はEとF、BとCが隣り合っており(半音間隔)、それ以外はひとつおき(全音間隔)となっています。これらはピアノなどの鍵盤を思い浮かべると覚えやすいです。

開放弦のチューニング

まずは楽器のチューニングをしっかりと合わせましょう。デジタル・チューナーを使うと音名が表示されますよね。ということで、レギュラー・チューニングの開放弦の音名も覚えておきましょう(※チューニングについては第3回で詳しく解説しています)。4弦ベースの場合は低いほうから“EADG”ですね。これはもう “イーエーディージー”を呪文のように覚えましょう。5弦ベースは低音弦側にBが増えて“BEADG”となる“ローB仕様”が一般的ですが、“ハイC仕様”の5弦ベースは“EADGC”です。6弦ベースは“BEADGC”で、4弦ベースの上下に弦が増えるのが一般的です。多弦ベースを選んだ人はそれだけ覚えるべき音名とポジションが増えますね(笑)。

また、音程は12個で1オクターヴ上がって同じ音名になるので、12フレットは開放弦と同じ音名です。ポジション・マークがふたつ付いていたり大きかったりするポジションが12フレットです。これも覚えましょう。

C音の位置を覚える

以降は4弦ベースを対象に解説を進めますが、5、6弦ベースでも基本的な考え方は同じです。

C音の位置とドレミファソラシド

まずはC音の位置、3弦3フレットがC音であることを覚えましょう。さらにそこから始まるCのドレミファソラシド、つまりCDEFGABCの各音の位置をブロック形状で覚えてしまってください。実際に演奏してみて音を聴いた感覚で覚えてもいいですが、3弦3フレットがC音であることは間違えないようにしましょう。3弦3フレットのC音と、ここから始まるドレミファソラシドを覚えることで、この位置にある音名を把握することができますね。

ちなみにフレット数は開放弦から数えるのではなく、3、5、7、9フレットについているポジション・マークを目安に把握するクセをつけましょう。

オクターヴの関係を把握する

同じ音の位置関係、オクターヴの関係

ベースのレギュラー・チューニングは各弦のインターバルが完全4度(半音5個分)なので、どの音も1本低い弦の5フレット先が同じ音になります。C音を例にすれば3弦3フレットから低音弦側の5フレット先ということで、4弦8フレットもC音です。ベースの場合、すべての弦のインターバルが同じなので、弦や音名にかかわらず同じ音の位置関係は変わりません。以下のようにフレットの関係性を5の足し算で覚えておくと便利です。

0と5 1と6 2と7 3と8 4と9 5と10 6と11 7と12

また、同一弦上では1オクターヴ上の音は12フレット先にあるわけですが、上記の5フレット先に同じ音があるという法則性から1本高音弦側の7フレット先、2本高音弦側の2フレット先にも1オクターブ上の音があります。先述のCのドレミファソラシドの最初と最後のC音の位置関係からも明らかですね。2本高音弦側のオクターヴはフレットの位置関係で覚えるよりも“2×2の対角線!”という感じにフォームで覚えてしまったほうがラクです。1本高音弦側の1オクターヴ上の音の位置関係は以下のように7の足し算で覚えておくと便利です。

0と7 1と8 2と9 3と10 4と11 5と12

C音から始まるドレミファソラシドをコピペする

前述の“同じ音の位置関係”から、C音から始まるCDEFGABCの位置関係もブロック形状のままコピー&ペーストできます。例えば、4弦8フレットのC音から先ほどと同じ型を弾くとCDEFGABCと並びます。さらにオクターヴ上にも下にも(弦がないとしても)コピペでき、このような考え方をすると、4弦ベースの人は自分の楽器が5、6弦ベースだと思えば音域を広げて覚えられるわけです。

A音から始まるABCDEFGAで完璧

さらにA音から始まるABCDEFGAの位置関係もブロック形状で覚えておくと音名の把握がより早くなるかと思います。A〜G音の位置関係を把握したら、それ以外の音は♯か♭のついた音名ということですからね。例えばCとDの間の音名はC♯かD♭です。これで一応12フレットまでの音名を把握できたことになるかと思います。

各音の最低音の位置も覚えよう

E音までの最低音を覚えておこう

ベースはルートを演奏するのが基本ですが、コード・ネームで示されたルートであればなんでもいいわけではなく、なるだけ低い音を選ぶのがセオリーです。例えばC音から始まるCDEFGABCの位置関係を覚えている状態で、G音を探すと2弦5フレットか1弦開放を選びがちですが、4弦3フレットに1オクターヴ下のG音があり、選択肢としてはこちらのほうが優先順位は高いということになります。というわけで、各音の最低音の位置関係も覚えておきましょう。

頻出のEメジャー/マイナー・キーも覚えてしまおう

Eメジャー・キー
Eマイナー・キー

音楽スタイルにもよりますが、ギター系ロックの場合はEメジャー・キー、Eマイナー・キーの楽曲が頻出するので、こちらも合わせて覚えておくと便利です。詳細はまた別の機会に解説しますが、Eメジャー・キーであればEから始まるドレミファソラシド、Eマイナー・キーであればラシドレミファソラに相当する音名を使う可能性が高いということです。

ところで、冒頭の指板図は12フレットまでしかありませんね。12フレット以上のポジション・マークは通常15、17、19、21フレットにありますが、この意味もここまで読めばわかるでしょう。12フレットが開放弦と同じ音名だとわかっていれば、例えば15フレットは12+3なので“高いほうの3フレット”と見立てることができ、簡単に音名を把握できるということです。

というわけで、12フレットまでの音名とポジション・マークの規則性を理解していれば12フレット以上はすぐに把握できるので、いちいちフレットの数と音名を覚える必要はありません。このことからもフレット数をポジション・マークで把握することが重要なのです。

最後に

指板上の音名を覚えて、果たして何の役に立つのか? という肝心なことを書いていませんでしたね。今回の内容は今後もタブ譜しか見ない、コピーしか演奏しないという人にはあまり役に立たないかもしれません。ですが、自分なりの解釈で演奏したい、オリジナル楽曲を演奏したい、アドリブを演奏したい、コード理論を深く知りたいなど、今後もベース演奏を深く楽しみ上達したい人には絶対に避けて通れない知識なんです。普段はフレット数を思い浮かべて演奏している人も今日からは音名を思い浮かべながら演奏してみてくださいね。

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