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    【お宅のエフェクト・ボード拝見!】#3 − Shun(TOTALFAT)

    プロ・ベーシストのエフェクター・ボードをフィーチャーし、ベーシストの“最新足下事情”を徹底検証していく当連載企画。第3回は2019年から新たに3ピース編成としてリスタートし、国内のメロディック・パンク/ハードコア・シーンを長年牽引し続けるTOTALFATよりShunが登場! ベーシストでありつつメイン・ヴォーカルも担当している、Shunのこだわりが詰まったエフェクト・システムを確認していこう。

    “ベース・ヴォーカル”ならではの機能的システム

    Shunのエフェクト・ボード。上段右から、PETERSON製StroboStomp HD(チューナー)、One Control製Distro Tiny Power Distributor(パワー・サプライ)、One Control製Minimal Series Pedal Board Junction Box 4M(ジャンクション・ボックス)。中段右から、One Control製Minimal Series Mosquito Blender Trail with BJF Buffer(ブレンダー)、EarthQuaker Devices製Hoof Reaper(オクターヴ・ファズ)、EarthQuaker Devices製Tone Job(イコライザー/ブースター)、Tronographic製Rusty Box(プリアンプ)、One Control製Minimal Series AB BOX(ABボックス)。下段は、右からふたつ目のEarthQuaker Devices製Swiss Things(エフェクト・ループ・スイッチャー)のほか、ボス製FS-5U(フット・スイッチ)が4機。

     国内メロディック・シーンの中核的存在として、数々の大物海外バンドとも共演を果たしているTOTALFAT。2019年に3ピース体制になったことがきっかけで見直したという、Shunの最新の足下を検証していこう。

     ベースからの信号はOne Control製Minimal Series Pedal Board Junction Box 4M(ジャンクション・ボックス)から、チューニング違いの2本のベースを持ち替える際に用いられるOne Control製Minimal Series AB BOX(ABボックス)を経由し、Tronographic製Rusty Box(プリアンプ)へと接続。Rusty Boxは常時オンの状態で使用され、サウンドの根幹を担っているが、本機のセッティングのポイントをShunは“その日の会場ごとにローのピークを出さないよう調整しています。出していいローと出してはいけないローの境目、ミドルと同じくらいの飛び方になるロー感にしています”と語る。続いてEarthQuaker Devices製Swiss Things(エフェクト・ループ・スイッチャー)へと接続され、そこから再度Minimal Series Pedal Board Junctionに戻ってくるという流れだ。

     Swiss Thingsから各ペダルへと分岐した信号は、本ボード最大の特徴とも言える4機のボス製FS-5U(フット・スイッチ)でそれぞれ制御されている。“BOOST”と記された最左のFS-5Uは、Swiss Things内蔵のクリーン・ブーストのオン/オフ切り替えで使用され、「夏のトカゲ」のスラップ部分などで用いられる。“このブーストがすごくキレイなんですよ。音色が変わらずにそのまま音量だけが上がってくれるのですごく便利です”。左から2番目の“T・J”と記されたFS-5UはEarthQuaker Devices製Tone Job(イコライザー/ブースター)用。Tone Jobはピッキングの圧やミドル/トレブルのアグレッシヴな部分を際立たせるよう設定されており、その音色は「PARTY PARTY」のブリッジ・ミュートの部分などで聴くことができる。続いて“FUZZ”と記されたFS-5UはOne Control製Minimal Series Mosquito Blender Trail with BJF Buffer(ブレンダー)を経由してEarthQuaker Devices製Hoof Reaper(オクターヴ・ファズ)のオン/オフ切り替えで用いられる。この音色は「マイルストーン」の平歌部分など、“潰れた感じ”を再現する際に用いるとのことで、ブレンダーをかますことで原音とのバランスをコントロールしている。最右の“MUTE”と記されたFS-5Uはその名のとおりミュート用スイッチなのだが、ミュート機能がついていないSwiss Thingsのチャンネルをあえてひとつ空にすることでミュートの役割を持たせている。“本来のSwiss Thingsの使い方とは異なっているのかもしれませんが便利ですね。自由に使わせてもらっています(笑)”。

     Swiss Thingsで各ペダルの制御もできるなか、あえてFS-5Uを4機導入する理由をShunは、“Swiss Things上でコントロールもできますけど、踏み間違えることが多くて。僕はベーシストであると同時にヴォーカリストでもあるので、一番求める部分は使い勝手。もちろんデジタルのスイッチャーでもいいんですけど、FS-5Uを独立して配置するほうがより踏み間違えの心配がないですね”。と語ってくれた。PETERSON製StroboStomp HD(チューナー)は、Swiss Thingsのチューナー・アウトから接続され、常時オンの状態を維持しているため曲間でのチューニングも可能だ。“これまでいろんなチューナーを試したんですけど、コレが一番いいです。精度もありますけど、まず速い。演奏しながらメーターを見てもしっかり各弦の状態が認識できます”。

     本ボードの構成になったのは3ピース体制となった2年前から。音作りを変えつつ、実用性を追求していった結果このシステムに行き着いたとのことだ。“今後はトラック・ミュージックっぽいアプローチも取り入れていきたいので、シンベ的な要素を生ベースで再現できる、よりローがキレイに出てくれるペダルの導入も検討しています。ただ、現状不満な点は特になくて、今の自分にとって100点満点のラインナップです!”。今後Shunのサウンドと本ボードがどのような進化を遂げていくのか注目していきたい。

    Pick up!

    RUSTY BOXは音作りを中尾憲太郎に相談した際に紹介してもらったモデルとのこと。“ミッドとローにスピード感が出て、音像がクリアで近くなるんです。いろんな機種を紹介してもらいましたがこれが一番でした”。なお、ブースト機能は使用していない。

    各ペダルのエフェクトを制御するSwiss Thingsは、本ボードにおいて中核を担うペダルだ。“コレは押しっぱなしでオン、離すとオフにできる機能があるので、いろんな用途が想定できる一台ですね。コレってあったらいいのになって機能ですよね”。

    ◎Profile
    しゅん●2000年にメロディック・ハードコア・バンド、TOTALFATを結成。屈指のライヴ力を誇り、国内大型フェスの常連である。9枚のオリジナル・アルバムなどを発表後、2019年にギタリストが脱退し、3ピース・バンドへと移行し新たなスタートを切る。2020年1月に新体制での初アルバム『MILESTONE』を発表した。2021年8月20日には盟友BIGMAMAとのコラボ・シングル「WE RUN ON FAITH」をリリースした。

    ◎Information
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