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TSUKASA(MAYSON’s PARTY)所有のOlive Instruments DC5 “Redwood”【My Dear Bass】
- Text: Gentaro Yamamoto
- Photo: Takashi Hoshino
プロ・ベーシストが愛器への想いを語り尽くす連載「My Dear Bass」。今回は、2018年に結成された3管を擁するスカパンク・バンドMAYSON’s PARTYのTSUKASAが登場! その根底を支える、2トーンの面影をまとったベーシストTSUKASAの愛器は、なんとも意外なヘッドレス・ベースだ。謎多きその実態に迫ってみよう。
TSUKASA(MAYSON’s PARTY)所有の
Olive Instruments DC5 “Redwood”
DATA
●入手年:2024年●ボディ:レッドウッド(トップ)、アルダー(バック/2p)●ネック:ローステッド・メイプル(3p)●指板:サイモア・ローズウッド●スケール:34インチ●フレット数:22●ピックアップ:Humpback Engineering Single Coil×2●プリアンプ:Humpback Engineering 1×1●コントロール:ヴォリューム、バランサー、トレブル、ベース、トーン、アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ●ブリッジ:ヒップショットheadless A style(18mmピッチ)
ヘッドレスと言うより、極端にヘッドが
小さいベースというイメージですかね。
このベースは東京のとある楽器店に吊るしてあったんですけど、気になって弾いてみたら欲しいサウンドに近い感じで、それで購入しました。Olive Instrumentsという、東京・町田にある個人工房が作っているもので、その後工房を紹介してもらい、今はサブ器もこのメーカーのベースを使っています。ネックとかも手作業で削っているそうです。
ヘッドレス・ベースはいつか弾きたいと思いつつ、なかなかしっくり来るものがなかったんですけど、これにはピンと来ましたね。単純に見た目が好きっていうのもあるんですけど、ギター用のギグ・バッグにも入るので、飛行機での移動時にも機内持ち込みができるんですよ。預けたりすると往復でン万円とかかってしまうので、MAYSON’s PARTYみたいに海外でのライヴが多いと、その差はすごく大きいんです。これはヘッドレス・ベースのメリットですよね。
ヘッドレス・ベースというと、24フレットでソープバー・タイプのピックアップ、ジャズ/フュージョン向き、みたいなイメージがあるじゃないですか? ただこのベースは、製作者がトラディショナルなパッシヴ・ベースが好きということもあって、音もそういう傾向なんですよ。MAYSON’s PARTYは7人編成で、ギターが2本にホーンが3管いる。アンサンブルのなかでの音の住み分けという点で言うと、ベースの居場所がほとんどないんです。特にいろいろなスタイルの楽曲が増えてからは、ドンシャリだけでもダメで、ローはそこまでいらなくて、もっとミドルが欲しいと思うようになったんです。ちょうどそのときに出会ったのがこのベースでした。
ヘッドがない楽器ならではの音っていう感触も多少はあるんですけど、このベースは若干ながらヘッド部にもサイズがあるので、普通のヘッドレスとはかなり違うサウンドだと思います。ヘッドレスと言うより、極端にヘッドが小さいベースというイメージですかね。あとは、ペグに弦を巻き付けるわけではないので弦の遊びがなく、このベースを使い始めてからライヴ中のピッチの狂いが少なくなったっていうのは大きなポイントですね。
Profile

つかさ●1987年、山梨県生まれ千葉県育ち。3歳で初めてベースに触り、10歳から本格的にベースにのめり込む。憧れのベーシストはラリー・グラハムで、以前は著名プロ・ベーシストの付き人を務めていた経験もある。現在は2018年に結成された7人組スカパンク・バンドMAYSON’s PARTYでの活動を軸に、さまざまアーティストのライヴ・サポートのほか、ベース・レッスンなども手がけている。
MAYSON’s PARTY 公式HP
Information

『GO』MAYSON’s PARTY
SouthBell/SBPM-008
1月29日リリースの2枚目のフル・アルバム。全11曲で23分ほどと、とにかく疾走感にあふれた作品だ。ファンファーレとも宣誓とも取れる①以降、ひたすらハッピーな楽曲が続くなか、アコースティックな⑤、メタリックな⑦、横揺れも取り入れた⑧など、スカを軸に多彩な表情を見せてくれる。ライヴ・アンセムとなりそうな⑩、ルーツに立ち返った⑪なども聴き所だ。TSUKASAは収録曲中9曲の録音で本器を使用。見た目からは意外なトラディショナルな音色が心地いい。
※本記事は『ベース・マガジン2025年2月号』のコンテンツをWEB用に再構成したものです。