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BOSSが放つ新時代の低音ギア feat.関谷友貴(TRI4TH)

  • Photo:Hiroki Obara
  • Equipments Explanation:Makoto Kawabe

ME-90B Bass Multiple Effects

優れた操作性と最新サウンドを兼ね備えたベーシスト待望の後継モデル

 シンプルな操作性で直感的に多彩な音作りを実現できるBOSSのマルチ・エフェクター“MEシリーズ”。ギター用はME-5(1988年発売)以来、細かく型番を刻み、着々と進化してきたが、ベース用としてはME-50B(2007年発売)以来、約17年振りとなる待望の新作であり、音質面、機能面ともに大幅なアップデートが施されている。

 心臓部のデジタル処理はサンプリング・レート48kHzで、独自のAF方式(Adaptive Focus method)によるAD変換24bit、DA変換32bit、内部演算32bit floatとなっており、S/N比の飛躍的な向上に加え、高音質化を実現。消費電流は195mAで、電源はACアダプター(別売)か単3乾電池4本によって駆動する。
 エフェクトはコンプ/FX1系、フィルター/FX2系、ドライブ/シンセ系、ディレイ/リヴァーブ系、プリアンプ/EQ系、モジュレーション系に分類された全93種類から選択可能で、ドライ音をミックスするBLEND機能は独立している。各エフェクトのコントロールがパネル上にわかりやすく配置され、カラフルなLEDが各エフェクトの状況を知らせてくれるが、専用アプリBOSS TONE STUDIO for ME-90Bを使えば、PCやタブレットでより緻密なセッティングを施すことができる。

 下部に設置された8つのフットスイッチは、保存されたエフェクト・セッティングを呼び出すメモリー・モードと、各エフェクトを個別にオン/オフするマニュアル・モードを選択できる。メモリー・モードは1バンクにつき1~4番が割り当てられ、ファクトリー・プリセットの9バンク(36種類)が選べるほか、CTLスイッチに割り当てられたエフェクトだけを個別にオン/オフすることも可能だ。もちろんユーザー自ら作成したエフェクト・セッティングもユーザー領域に9バンク分保存できる。

 外部入出力端子も充実しており、挿入ポイントを選択できるセンド/リターンやXLRバランス・アウト、ヘッドフォン・アウトを装備。USBでPCに接続することでオーディオ・インターフェイスとしても活用できる。

フロント・パネル左側のツマミでは、10種類のアンプ・タイプとイコライザーのほか、コンプレッサー、フィルター系といったエフェクトがラインナップ。PC専用アプリBOSS TONE STUDIO for ME-90Bを使えば、PREAMP/EQに7種類、COMP/FX1に2種類、FILTER/FX2に5種類を新たにアサインできる。
フロント・パネル右側のツマミには、歪みやシンセ、リヴァーブといったエフェクトがラインナップ。各エフェクトの接続順は選択されたエフェクト・タイプにより自動で切り替わるが、MOD内のCOMPを使用すれば、後段にもコンプレッサーを配置できる。またBLENDツマミでダイレクト音をミックスすることも可能だ。
音量や選択エフェクトなどの状態を表示するディスプレイのほか、システム設定や保存時に活用できる各種スイッチ。ペダル部分はPEDAL FXを操作することでヴォリューム・ペダルやエフェクトのエクスプレッション・ペダルなど、機能が切り替わる。
別売のBluetooth Audio MIDI Dual Adaptorを装着すればスマホやタブレットとBluetoothでワイヤレス接続し、専用アプリBTS for ME-90Bの使用や、オーディオ再生が可能となる(KATANA-500 Bass Headも同様)。
シンプルにまとまったバック・パネル。外部のエフェクト・ペダルを接続できるSEND,RETURNのほか、DAWに直接レコーディングできるUSB Type-C端子など豊富な機能を備える。AMP/LINEスイッチは、ベース・アンプへの接続時はAMP、ミキサーなどのライン入力への接続時はLINEを選択する。

【Specifications】
●エフェクト数:93●メモリー数:36(ユーザー)+36(プリセット)●コントロール:バンク▼/AMP/EQスイッチ、BANK▲/MODスイッチ、CTL/BLENDスイッチ、MEMORY/MANUALスイッチ、1/COMPスイッチ、2/FILTERスイッチ、3/DRV/SYNスイッチ、4/DLY/REVスイッチ、イグジット・スイッチ、ライト・スイッチ、CTLスイッチ、エディット・スイッチ、プリアンプ/EQセクション、コンプ/FX1セクション、コンプ/FX2セクション、MODセクション、ドライブ/シンセ・セクション、DLY/REVセクション、PEDAL FXペダル、グラウンド/リフト・スイッチ、アンプ/ライン・スイッチ、電源スイッチ●入出力端子:XLRバランスド・アウト、インプット、アウトプット×2、センド、リターン、Bluetoothアダプタ・イン、USB、ヘッドフォン・アウト●電源:アルカリ電池(単3形)×4 or ACアダプター●外形寸法:443(W)×220(D)×67(H)mm ●重量:2.9kg●価格:55,000円

SEKIYA’s Impression

海外含め、場所を問わず使いやすい一台だと思う。

 PREAMP/EQはどれも反応が良くてピッキングのタッチについてきてくれますね。歪んでいない、BOSSオリジナルのプリアンプであるNATURALは自然で、ほど良く空気感を出したいときに使えるし、FAT TUBE(オレンジ製AD200B MK Ⅲのモデリング)やDARK DRV(ダークグラスエレクトロニクス製MICROTUBES B7Kのモデリング)の歪みも、とてもリアルです。

 コンプレッサーはどれも素直で、特にM-COMP(BOSSのコンパクト・コンプBC-1Xにも導入されている独自技術MDPによるコンプレッサー)が気に入りました。良い感じに気を使ってくれるというか、ガンッて強く打ってもローが消えずにボトムが存在しています。コンプはかけっ放しにせず、奏法や曲によって機種も設定も使い分けたい現場はマルチが便利ですね。それとコンプレッサーはCOMP/FX1だけじゃなくて後段のMODにもあるのが気が利いてますよね。オクターバーとかだと後段にコンプをかけたいですから。フィルター系はとても充実してますけど、特にMu-Tronのような挙動のするエンヴェロープ・フィルターが好きです。DRIVE/SYNTH内のSA DI DRIVE(TECH21製SANSAMP BASS DRIVER DIのモデリング)は実機も持っていますけど、かなり良い線いってると思います。シンセ系はアナログ感が強いローファイなシンベの音色が良いですね。DLY/REVではSHIMMERが良くて、シンセなしで神秘的な音色が出せます。

 ペダルはミュートやヴォリューム・ペダルだけでなく、ワーミー的なピッチ・シフトとかディレイのフィードバック量など、いろいろな機能に割り当てられるのも使い勝手が良いですね。単3電池で動いて6時間使える手軽さも魅力です。海外含め、場所を問わず使いやすい一台だと思いました!

BOSS TONE STUDIO for ME-90Bで
作成した関谷のプリセット例

BASSSYNTH

DARKGRASSOCT

ENVELOPE

NATURAL

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