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坂本竜太が弾くゲンツラー・ペダル

  • Photo:Takashi Yashima

RE/Q
Dual Function Equalization Pedal

カユいところに手が届くデュアル機能のEQ

 RE/Qは、5バンドのブースト/カットEQセクションに加え、ハイパス/ローパス・フィルターも備えた、デュアル機能のイコライザーだ。5バンドEQとフィルター・セクションは個別にオン/オフができ、±9dBのEQアウトプット・レベルを備えているので、クリーン・ブースターとしても活用できるだろう。ハイパスとローパス・フィルターは、ともに過去の多くのアンプ・デザインにおいて用いられてきたもので、5バンドEQのコンセプトはゲンツ・ベンツのGBE-750/1200で初めて採用されていたアプローチで、全バンドがピーキング・タイプになっている。アンプのEQセクションでの限界を補うだけでなく、エフェクト・ペダルに入る前や通過したあとの処理、さらにはフィードバックの処理が課題となりがちなアコースティック楽器のアンプを扱う際の、実用的な解決策をもたらす“道具箱”ともなり得る。エレキだけでなくウッド・ベースにも有用だろう。

 4 ON THE FLOOR同様に、電源は9~18Vで動作し、極性を自動判定する。

①Filters
フィルターでのトーン・コントロール・セクション。ハイパスでは設定した値以下の低域が、ローパスでは設定した値以上の高域が、それぞれカットされる。設定時は、ハイパスは左に、ローパスは右に回し切った状態からスタートするのがお薦め。

②EQ
それぞれ±12dBのブースト/カットが可能な5バンドEQセクション。各帯域はローが90Hz、ロー・ミッドが250Hz、ミッドが630Hz、ハイ・ミッドが1.3kHz、ハイが2.6kHzとなっている。

EQ Output Level
EQセクションのヴォリュームを調整する。EQセッティングの音量合わせのほか、+9dBのクリーン・ブースターとしても使用が可能だ。

④Footswitch
ハイパス/ローパス・フィルターと5バンドEQは個別にオン/オフが可能。セッティングによっては、曲中での音色切り替えに役立つだろう。赤のLEDがバイパス、青のLEDがアクティヴと視認性もいい。

Specifications
●コントロール:ハイ・パス、ロー・パス、EQアウトプット・レベル、ロー、ロー・ミッド、ミッド、ハイ・ミッド、ハイ、フィルター・オン/オフ・スイッチ、EQオン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9V~18Vアダプター●外形寸法:127(W)×104(D)×59(H)mm●重量:600g●価格:オープンプライス(市場実勢価格:31,900円前後)

Sakamoto’s Impression

EQとフィルターの組み合わせが便利。

 ハイパス/ローパス・フィルターということは、それぞれ外側に全開の状態から使うって感じだね。使い方としては、部屋鳴りが妙なライヴハウスとかで、“ここだけどうしてもうるさいな”っていうときに、このフィルターでどうにかできるかも。あとは、ウッド・ベースの人にもいいと思う。やっぱりハウるのが問題になるから、ハイパスで下を切ってしまうとかさ。これは使えるね。

 5バンドのEQは、EQのカーブ、Qがちょうどいい。広すぎず狭すぎず。広すぎると、それぞれのつまみが干渉しちゃうけど、これは自分がイメージしたところが上がってくる感じがするね。帯域も、ベーシストがほしいポイントを突いていると思う。

 EQとフィルターの組み合わせとしては、例えば、最初はEQで音作りをして、ハイを上げてちょっと上の帯域が痛いなっていうときにローパスを絞れば、上の成分が残っているけど耳に痛くなくなるとか。これをまたEQでなんとかしようと思うと、もとに作った質感が変わっちゃうから、そういう意味では便利だよね。あとは、エフェクターのクセがなく、ノイズがないのもポイントが高い。

坂本竜太のオススメ・セッティング

パッシヴがアクティヴ・ベースになっちゃう。EQでわりとドンシャリに作って、フィルターで上をちょっと抑えているから耳に痛くない。
エレキ・ベースで再現するウッド・ベース的音色。低音は欲しいけど回らないようにした感じだね。フィルターの調整がポイント。

総評

スガ シカオや水樹奈々といったトップ・アーティストをサポートしている坂本竜太は、ゲンツラー・ペダルをどう見たのか?

使い勝手がいいし、これなら欲しい。

 両機とも、すごく品がいいね。丁寧に作っているし、ノイズがないのがすごい。あとは、フィルター・コントロールが、アンプ・メーカーならではだね。歪みペダルの場合、歪ませた分、余計な上と下が増幅するのをほんのちょっと抑えるみたいな発想なのかな。このフィルターを使うと、アクティヴ・ベースをパッシヴ・ベースみたいにも聴かせられる。現場では意外とそういう需要があるんだよ。そういうときにローパスでハイを削っていくと、いい感じのところに収まるね。

 歪みのほうは、アクティヴでもパッシヴでも、どっちで使っても遜色がないというのもすごいと思う。アクティヴでもオールド・ロックができるというか。ベースとしてあるべきところ、ボトム感がちゃんとあって歪んでいるから、ロックの人だけじゃなくてジャズ・フュージョン系の人にもいいと思う。歪ませる用途だけじゃなく、アクティヴで音がまとまりづらいっていう人も、ドライブ・セレクト1でフラットにするとうまく音がまとまるんじゃないかな。個人的に、ペダルの歪みってそんなに信用してないんだけど(笑)、これなら欲しいね。

坂本竜太
さかもと・りゅうた●9月8日生まれ、神奈川県出身。10歳でドラムを始め、中学でベースを手にする。21歳からプロとしての活動を開始。ファンク、R&B、ソウルをベースにしたグルーヴあふれるプレイで、スガ シカオや水樹奈々、パリスマッチをはじめとしたさまざまなアーティストのサポートで辣腕を振るう。また、ベースのみならず、櫻坂46に楽曲提供。プロデュース制作でも幅広いアーティストを手がけている。直近の参加作品は、坂田明奈(Sax)の『Sister A.K.N. -episodeⅠ.Ⅱ』、坂福かなの1stアルバム『ORIGAMI』。
http://www.ryutasakamoto.com/

製品に関するお問い合わせは、イースペック(☎︎06-6636-0372)まで。◎https://genzler.jpn.org/

本記事は4月19日発売のベース・マガジン2022年5月号にも掲載されています。

同号では、ヒトリエのイガラシとUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が表紙を飾り、全60ページにて“リード・ベース”というアプローチを掘り下げた『Special Program 鮮烈のロック・リード・ベース〜バンドを彩る旋律的低音』、King Gnuの新井和輝を試奏者に迎えた『アクティヴ・フェンダーの世界』など、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!