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Spector NSシリーズ × NATCHIN
- Text:Daisuke Ito
- Photo:Takashi Yashima
- Movie/Sound Engineer:Kenji Kawamura
1976年、ニューヨーク・ブルックリンにて発足したSpector(スペクター)。従来の概念をくつがえす革新的な技法でベース・シーンにいくつもの変革をもたらしてきた同社の遺伝子を凝縮し、生産されているコストパフォーマンス・モデルに新たに“NSシリーズ”が登場した。今回はNSシリーズの実力を、元SIAM SHADEのベーシストで、現在は数々のトップ・アーティストのサポートを務めるNATCHINとともに検証していきたい。
Spector NSシリーズ × NATCHIN
“NSシリーズ”とは?
人間工学に基いた身体にフィットする楽器デザインと歯切れの良いサウンド・キャラクターで、世界中のベーシストから支持を得るブランド、Spector。本家のUSAを筆頭にEuro、Legend、Performerという4つのシリーズを持つ同社のなかの、ギター製造において定評のある提携工場で生産されるアジア製モデルに、新たにNSシリーズが登場した。NSシリーズにラインナップされるのは3つのモデルで、マルチ・スケール構造を搭載した“DIMENSION”、木材とフィニッシュにこだわった“PULSE”、Aguilarのエレクトロニクスを搭載した“ETHOS”となる。多様化する現代のベーシストのプレイ・スタイルにフィットさせるべく、どのモデルもそれにしかない個性的なスペックを備えているのが特徴だ。“新NSシリーズ”はまさに、Spector社の伝統でもある“革新性”を表現するラインナップと言える。
NS DIMENSION5
マルチ・スケールを採用した進化型モデル
【Specifications】●ボディ:ポプラ・バール(トップ)、スワンプ・アッシュ(バック)●ネック:メイプル/ウェンジ●指板:ウェンジ●フレット数:24●スケール:34〜36インチ(4弦)、34〜37インチ(5弦)●ピックアップ:フィッシュマン・フルエンス×2●プリアンプ:フィッシュマン・フルエンス・システム●コントロール:ヴォリューム、ブレンド、ベース、トレブル、3ウェイ・ヴォイス・セレクション・スイッチ●ペグ:シールド・ダイキャスト●ブリッジ:インディヴィジュアル・ブラス・サドル●カラー:ホーンテッド・モス、スーパー・フェイデッド・ブラック●価格:297,000円(4弦)、312,400円(5弦)
NSシリーズのなかで、もっとも個性的と言えるNS DIMENSION。Spector社にとって初となるマルチ・スケールを採用した。低音弦は長く、高音弦は短くすることで適切なスケールを得られるマルチ・スケールは、適切な弦振動と豊かなサステインをもたらす。ネックはメイプルとウェンジを組み合わせた5ピース仕様でジョイントはスルーネック。ボディにはスワンプ・アッシュ(バック)とポプラ・バール(トップ)を組み合わせており、ウッド・マテリアルにもこだわりを感じさせる。ピックアップはFishman社Fluenceを搭載し、ナチュラルな楽器のトーンを引き出す。ステージでの演奏性を考え、サイド・ドット・ポジション・マークは蓄光仕様となっている。5弦/4弦モデルともに高級感のある、2タイプのフィニッシュから選択可能だ。
【NATCHIN’s Impression】
ベース・ソロを弾きたくなるような音
マルチ・スケールのベースは初めて弾いたのですが、斜めに打たれたフレットの見た目とは裏腹に、違和感なく弾けたことに驚きました。弦間ピッチもちょっと狭めだからか、4弦の延長のような感じで弾けます。それにネックも少し薄くて、左手の親指が安定するので非常に弾きやすいです。Fishmanのピックアップのキャラクターは僕が持っているEMGを搭載したSpectorと比べると少しマイルドで、僕はピックで弾きましたが、指で弾く人にも良いと思います。音の立ち上がりも良く、アンサンブルのなかでというよりも、リズムと合わせてベース・ソロを弾きたくなるような音ですね。僕はSpectorのルックスがすごく好きなんですが、この豪華な杢目の感じはたまらなく魅力的ですね。
【Other Model】- NS DIMENSION4 –
DIMENSIONシリーズの4弦モデルは木材やエレクトロニクスなど、基本的なスペックは5弦モデルと同一だが、4弦モデルでは低音弦側が36インチ・スケールと、弦数に応じてスケールが調整されている。
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