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    新生Sadowskyの実力 feat. 松本駿介(Cö shu Nie)

    • Photo:Eiji Kikuchi
    • Translation:Tommy Morley

    ロジャー・サドウスキー・インタビュー

    最後に、新生サドウスキーについて、ロジャー・サドウスキーにEメール・インタビューに答えてもらった。

    ワーウィックの工場には目を見張るものがありました。

    ━━ライセンス生産による世界展開ラインの生産拠点を日本からドイツへと変更したのは、どのような意図からでしたか?

     日本でのパートナーとは素晴らしい関係を築いていましたが、この時点で50年のキャリアを歩んできた私は、ビジネスのマネージメントを行なう時間を減らして、作業台での時間を増やしたいと思っていました。そのため新たに手を組む相手を探したのです。

    ━━新たなパートナーとしてワーウィックを選んだ理由は? 

     素晴らしい工場を持ち、世界規模でのディストリビューションを行なえるパートナーは誰なのか、私は長い間考え続けていました。2018年の1月のある朝に目覚めた瞬間、それが可能なのはハンス・ピーター・ウィルファー(ワーウィック社長)が率いるワーウィックだけだと悟ったのです。彼に私と仕事をすることに興味があるかとメールをしたところ、数時間後に大きく“YES”と打たれた返事が返ってきました。2週間後、私たちはNAMMショウで会い、それがこの素晴らしい関係の始まりでしたね。私にはワーウィックが、私がニューヨークでやっているのとまったく同じように楽器を作る能力があるのはわかっていました。ワーウィックは彼らの製品ラインナップにおいて最高の仕事をしてきましたし、素晴らしい木材の在庫を抱えるモダンでカーボンニュートラルな工場を持っています。

    ━━あなたは2019年にドイツのワーウィックの工場を訪れているそうですが、そのときの印象を教えてください。

     すべての木材を貯蔵して乾燥させるための離れの建物に驚きましたし、杢目の出た材のストックにも驚嘆しました。工場には目を見張るものがあり、アメリカ、日本、韓国で、これまで私が見てきたどのギター工場よりも優れていましたね。そして100%カーボンニュートラルでした。さらにあの場所で働く人たちのすべて、特にハンス・ピーター・ウィルファーとマーカス・スパングラー(プロダクション・マネージャー)に驚かされました。最初の訪問時から、サドウスキー製品の将来の生産場所として正しい場所を私は選んだのだと感じていました。

    ━━“サドウスキー”の名を冠したモデルをワーウィックで製造するにあたり、どのように“サドウスキーイズム”を伝達しましたか?

     ワーウィックにはパンデミックになる前に2回ほど訪れ、マーカス・スパングラーと素晴らしい交友関係を持つこととなりました。私はプログラミングやデザインのすべてをマーカスと共有し、プロトタイプのボディ、ネック、ピックアップ、プリアンプといったもののすべてにOKを出しました。コロナ禍になってからはFaceTimeでほぼ毎日のように連絡を取って細部を詰めていきました。

    ━━あなたはベース本体の重量について、“軽いこと”に重点を置いています。ライセンス生産モデルに使用される木材の種類・品質について、あなたが要請した部分はありますか?

     私がいつも使ってきたものと同じ木材を使うことをリクエストしました。ボディ材はスワンプ・アッシュ、レッド・アルダー、オクメです。ネックはメイプルで、MasterBuiltにはローステッド・メイプルが使用されます。指板はメイプル、エボニー、モラード(パーフェロー)ですね。MasterBuiltに使用される木材は10年自然乾燥させたもので約3.9kg以下、MetroLineは3〜5年の自然乾燥をさせたもので約4.1kg以下のものを使用しています。MetroExpressは軽量なオクメ材ですね。

    ━━サドウスキーの名をするライセンス・モデルをあなたはどう評価していますか?

     これは明白なことですが、MasterBuiltとMetroLineのゴールは、私がニューヨークで製作している楽器に限りなく近付くことです。大きな違いがあるとすれば、私は月に12本しか作れませんし、プレイヤーたちへの直接販売しか行なっていないことですね。

    製品のお問い合わせは、山野楽器 商事部 海外営業部(☎︎03-3862-8151)まで。
    https://www.sadowsky.jp/

    本記事は10月19日発売のベース・マガジン2021年11月号の特集記事をもとに再構成したものです。

    同号では、サドウスキー特集のほか、JIRO(GLAY)と楢﨑誠(Official髭男dism)による表紙巻頭のスペシャル対談、新作『KNO WHERE』をリリースしたOKAMOTO’Sよりハマ・オカモトの特集、ベース用ペダル型プリアンプの大特集などを掲載しています。ぜひチェックしてみてください!