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新生Sadowskyの実力 feat. 松本駿介(Cö shu Nie)

  • Photo:Eiji Kikuchi
  • Translation:Tommy Morley

MetroLine Series
Limited Edition 2021

 MetroLineではその年ごとの限定モデルも生産されていくようで、2021年の限定モデルは、フレイム・クラロ・ウォルナットをトップ材、オクメをバック材にしたボディと、ローステッド・フレイム・メイプル・ネックを採用し、ソープバー・ピックアップを搭載した24フレット仕様のMODERN BASSが製作された。4弦と5弦それぞれ世界100本限定生産となっており、国内入荷はわずか10本のみというレア・モデルだ。

MetroLine 24-Fret Modern Bass 5st
Limited Edition 2021

Specifications
●ボディ:フレイム・クラロ・ウォルナット(トップ)、オクメ(バック)●ネック:ローステッド・フレイム・メイプル●指板:エボニー●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:サドウスキー・ソープバー×2●プリアンプ:サドウスキー2ウェイ・エレクトロニクス・ウィズ・ヴィンテージ・トーン・コントロール●コントロール:ヴォリューム、バランサー、ヴィンテージ・トーン(兼パッシヴ・スイッチ)、トレブル/ベース(2軸2連)●ペグ:サドウスキー・ライト・マシンヘッド・ウィズ・オープン・ギア●ブリッジ:オリジナル●価格:オープンプライス(市場実勢価格:467,500円前後)

ヘッド裏にはシリアル・ナンバーやシリーズ名を刻印。2021年限定モデルは100本の生産であることが明示されている。
本年の限定モデルに採用されているボディ材は、トップがフレイム・クラロ・ウォルナット、バックがオクメ。

SOUND CHECK

 チェンバー・ボディだからか、めちゃくちゃ軽い。ネックの平べったさというか手に馴染む感じも良くて、従来のサドウスキー・ユーザーも違和感はないと思うし、5弦の弾き心地の良さはやっぱり圧倒的ですね。音色はラウドな音楽に合いそうな、めちゃくちゃワルい音がします(笑)。レスポンスがはっきりして、いろんなエフェクトも合いそう。他社のベースは、1弦に比べて3、4弦に重心を置いて作られていると感じるんですけど、サドウスキーの良さは、1、2弦がはっきりと出るところ。そういう意味で、低音弦から2弦や1弦に跳んだときの安心感が“サドウスキー”だし、24フレットのハイポジに行ってもバランスが崩れないのはさすがですね。

Custom Shop Series
厳選された木材を使用したハンドメイド・シリーズ

 Custom Shopはその名のとおり、ワーウィック・ファクトリー内でも熟練の職人によってハンドメイドされる最高峰シリーズ。カスタム・オーダーを受け付けているので、そのスペックは多岐にわたっていくが、基本的なモデルとしては、ピックガードなしのJBモデル=Standard、ピックガードありのJBモデル=Vintage、JBシェイプのPJピックアップ、24フレットJB、24フレット・シングルカット、ウィル・リー・モデルがラインナップしている。今回試奏したのは、ネックと指板にローステッド・バーズアイ・メイプルを採用したピックガードなしのJBモデル。ワーウィックが誇る厳選された木材が使用されているのもポイントと言える。 

Custom Shop 21-Fret Standard J/J Bass 5st

Specifications
●ボディ:アメリカン・スワンプ・アッシュ●ネック:ローステッド・バーズアイ・メイプル●指板:ローステッド・バーズアイ・メイプル●スケール:34インチ●フレット数:21●ピックアップ:サドウスキー・ハムキャンセリングJスタイル×2●プリアンプ:サドウスキー2ウェイ・エレクトロニクス・ウィズ・ヴィンテージ・トーン・コントロール●コントロール:ヴォリューム、バランサー、ヴィンテージ・トーン(兼パッシヴ・スイッチ)トレブル/ベース(2軸2連)●ペグ:サドウスキー・ライト・マシンヘッド・ウィズ・オープン・ギア●ブリッジ:オリジナル●価格:オープンプライス(市場実勢価格:638,000円前後)

本器のネック材はバーズアイ・メイプル。高温で加熱するロースト処理が施されており、剛性と安定感を高めている。
21フレットを装備した指板はツバ出し仕様になっている。また、トラスロッド調整口はネック・エンドに設置。

SOUND CHECK

 あ〜、これはめちゃくちゃいいですね。5弦の輪郭がしっかり出ているところも“らしさ”があっていいです。Metrolineと比べても音像のはっきりさが上がって、ひとつずつ太さが出たというか。コンプ感はしっかりあるのに、その上限がちょっと緩くなった気がしますね。この音像のしっかりとしたところはサドウスキーたる所以なんですけど、そのなかでもミッド感が少しだけローに寄ったかな。“優しさ”という部分の考え方の違いというか、“温もり”っていう形と“包み込む”という形があるとしたら、僕はサドウスキーの“包み込む”ロー感が好きなんですけど、ちょっとだけ“温もり”に寄っている。パッシヴで弾いても気持ちいいし、作りの良さはさすがです。

総評

音抜けの良さ、立ち上がりの速さ、バランス感は間違いない。

 僕はNYサウンドに憧れがあって、ちょうどCö shu Nieが始まったタイミングで日本製MetrolineのMV5を使い始めたんです。サウンドのバランスがいいので指板を広く使うプレイもすごく弾きやすいし、5弦があるから幅広さも出る。Cö shu Nieフレーズが実現しているのはまさにサドウスキーのおかげですね。

 そういうこともあって、工場が変わるというのは衝撃的なニュースでしたし、どうなるんだろうっていうのはすごく気になっていました。僕が思うサドウスキーの良さって音抜けの良さ、立ち上がりの速さ、バランス感なんですけど、そこは間違いないですね。個人的に一番気持ちいいところであるトレブルの感じも、そこまで失われていないと思いました。そのなかで、モデルによって、ロー・ミッドあたりの感覚は少しずつ従来とは違うかなというのは感じましたね。全体的に重心がちょっと下に寄ったのと、ミッドの種類が変わったというか。サドウスキーってローとハイの感じを気にしがちだと思うんです。その“らしさ”は残りつつ変わっているので、もちろん人にはよるんでしょうけど、トータルは良いほうに感じると思います。

 また、木材をちゃんと選んで使っている感じがして、そこはワーウィックと提携したメリットなんじゃないでしょうか。作りに関しても、ネックの感じが変わっていないのは一番安心したところです。

 “今までと違う”というのはもちろんあるけど、がっかりはしないと思いますね。確かに音はちょっと違うけど質感は同じというか。本質が変わっていないんでしょうね。

松本駿介(Cö shu Nie)
まつもと・しゅんすけ●2月23日生まれ、兵庫県出身。中学でベースを始める。2011年にCö shu Nieを結成し、2018年1月にTVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』の主題歌となった「asphyxia」でメジャー・デビューを果たす。これまでに6枚のミニ・アルバム、1枚のフル・アルバムなどを発表。2021年7月にデジタル・シングル「undress me」をリリースした。
https://coshunie.com/

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