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【お宅のエフェクト・ボード拝見!】#2 − 宇佐美友啓(GOOD ON THE REEL)

  • Live Photo:Ryoji Fukumasa
  • Equipments Photo:Syota Kiyono

以前本誌にて連載していた、プロ・ベーシストのエフェクター・ボードをフィーチャーしていく人気企画『お宅のエフェクト・ボード拝見!』がWEB版として復活! ベーシストの“最新足下事情”を徹底検証していく。第2回は今年結成15周年を迎え、心に響く歌詞とメロディを武器に、独自の世界観を奏でる5人組ロック・バンド、GOOD ON THE REELより宇佐美友啓が登場。叙情的なバンド・サウンドを多彩なプレイで下支えする、そのエフェクト・システムに迫っていこう。

原音に忠実な“補正的”ペダル配置

宇佐美のエフェクト・ボード。上段右から、知人が製作したハンドメイドのバッファー、SONIC RESEARCH製ST-200(チューナー)、NeotenicSound製DynaForce(プリアンプ)、フリーザトーン製PT-3D(パワー・サプライ)。下段は右から、STOMPROX製BLACK LABEL FOR BASS(オーバードライブ)、ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K Ultra(プリアンプ)、SOURCE AUDIO製SA170(イコライザー)。

 宇佐美がレコーディング/ライヴ問わず、GOOD ON THE REELで使用するのが本ボード。飛び道具などはなく至ってシンプルなシステムだが、細かなこだわりが各所に込められている。

 ベースからの信号はまず、宇佐美の知人が製作したというハンドメイド製のバッファーへと入り、そこからSTOMPROX製BLACK LABEL FOR BASS(オーバードライブ)に接続される。そこからダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K Ultra(プリアンプ)、NeotenicSound製DynaForce(プリアンプ)を経由し、最後にSOURCE AUDIO製SA170(イコライザー)へとつながる。SONIC RESEARCH製ST-200(チューナー)はDynaForceのチューナー・アウトから接続されている。

 先頭からバッファー→歪み(BLACK LABEL FOR BASS)という特殊なペダル配置としている理由を宇佐美は、“当初はDynaForceを先頭にしていたのですが、DynaForceを製作しているNeotenicSoundの方から「先に歪ませてから、このプリアンプで調節するやり方のほうがいいよ」と教えてもらって。その場で試しに順番を入れ替えてみたところ一気に抜けが良くなったんです”。と語ってくれた。

 唯一の歪みエフェクターとして使用されるBLACK LABEL FOR BASSは、基本的にピック弾き専用というイメージで、2021年6月8日に発売された4thアルバム『花歌標本 』のなかでは「あとさき」「そうだ僕らは」「ノーゲーム」「目が覚めたら」「標本」の5曲で使用しているとのことだ。

 ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K Ultraは、ディストーション・チャンネルは使用していない。EQのセッティングに関して宇佐美は、“DynaForceでカバーしきれない部分をコレで補うイメージ。ハイ・ミッド(1.5kHz)とトレブルを邪魔にならない程度に上げていて、ロー・ミッド(500Hz)はイヤな膨らみ方をさせないように少々削っています”。と説明してくれた。

 Microtubes B7K Ultraと併用されるプリアンプがDynaForceで、ふたつのプリアンプのキャラクターを見極め、それぞれに適したセッティングで使いこなしている。“DynaForceは大幅にキャラクターが変わるわけではないんですが、基礎値を高めてくれるというか、原音のクオリティを上げてくれるんです。「Body」を上げていくと高音弦のハイ・ポジションが太く出てくれるし、「Wood」はその名のとおり木の鳴りが疑似的に作れる。特にお気に入りの「Density」は音の密度をいじれるんです。「Edge」は音が鋭くなるイメージなんですけど、すごく効きが良くて弦の死に具合によって微調整しています”。

 SA170は4つまでプリセットが組めるデジタルのグラフィック・イコライザーで、宇佐美は会場やキャビネットごとにどうしても出てしまう微妙なサウンドの差をこれで補う形で使用している。

 “僕は派手に音色が変わるエフェクターよりもプリアンプみたいな基のサウンドをイジるようなエフェクター が好きなんです。今気になってるエフェクターはネイチャー・サウンドの40000preですね”。今後はB7K UltraとDynaForceの接続順を変えるなどしつつ、新たなエフェクターを導入してブラッシュアップを図る予定とのことだ。

Pick up!

宇佐美をテレビアニメ『おそ松さん』風に描いたステッカーが印象的なハンドメイドのバッファー。“常にこれを通った音が出力されています。つないだだけで抜けが良くなって、クリアな音になるんです”。

SOURCE AUDIO製SA170(イコライザー)は長尺のライヴの際など、ベースを持ち替える場面で楽器ごとにプリセットを切り替えて使用される。写真はプレシジョン・ベース用のセッティング。

◎Profile
うさみ・ともひろ●1988年1月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。2006年に音楽専門学校で出会った仲間とGOOD ON THE REELを結成し、2015年にミニ・アルバム『七曜になれなかった王様』でメジャー・デビューを果たす。これまでに9枚のミニ・アルバム、3枚のフル・アルバムを発表、2019年には自主レーベル“lawl records”を立ち上げている。2021年6月9日には4年ぶりとなる4thオリジナル・フル・アルバム『花歌標本 』をリリースした。また2021年10月6日にはベスト・アルバム『O₂ 〜太陽盤〜』『O₂ 〜月盤〜』を同時リリース予定で、 10 月 16 日には15th Anniversary Live『HAVE A “GOOD” NIGHT vol.100 〜十五夜のうさぎ、何見て跳ねる?〜』をUSEN STUDIO COASTで開催予定だ。

◎Information
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宇佐美友啓:Twitter Instagram