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    【THE AXES】L’Arc〜en〜Ciel – 2021年5月29日、30日/幕張メッセ国際展示場1-3ホール

    • Photo:Reishi Eguma[C-LOVe CREATORS](Equipments)、Takayuki Okada/Hiroaki Ishikawa/Yuki Kawamoto(Live)

    Live Report

    2021年5月29日@幕張メッセ国際展示場1-3ホール

    コロナ禍を超えた未来を見せたアニバーサリーライヴ

     過去のライヴ映像やMVが走馬灯のようにつなげられたオープニング映像のあと、R&Bのエッセンスを大胆に取り入れながらもロックの力強さもともなった「X X X」でライヴがスタート。タイトルの意味は英語でキスマークを表わすスラング“X”を3つ並べたものだが、Xが3つ並ぶことで“30”の意味にもなり、まさに本ライヴにふさわしいオープニングナンバーだ。ベースは、なめらかかつ太い部分と、生演奏によるスラップでのアタック感を重視したパートが入れ替わって展開される。続いて、爽やかに躍動する「Caress of Venus」、hyde(vo)のマイクスタンドがライトセーバーのように光り、楽曲自体もサイバー感のある「CHASE」を経て、「winter fall」へ。この曲ではtesuyaは指弾きでプレイし、サビではメロディアスなラインを太く響かす(しかもバッチリとコーラスを決めながら!)。そこから一転、曲前にhydeがブルースハープを吹いてから始まった「flower」では、ネックエンド付近でのピック弾きでゴリゴリと弾き倒した。

     いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている状況ということで、本ライヴも感染拡大防止ガイドラインに沿って行なわれたわけだが、hydeによるMCである種の緊張感に包まれていた会場がややリラックスしたところで、ドラムのビートに合わせて手拍子を巻き起こし「metropolis」へ。ウラを強調しつつボトムを支えるtetsuyaとyukihiro(d)のキックのコンビネーションが観客を踊らせる。その後は「DAYBREAKER’S BELL」、「REVELATION」を経て、ken(g)が曲冒頭でE-BOWのなめらかなリードプレイを披露した「NEO UNIVERSE」へと続く。この曲でのtetsuyaといえば、通常の4弦ベースの高音弦側に弦を2本追加した6弦ベースをプレイするのがおなじみ。ヴォーカルメロディの裏でのメロディアスな旋律や、間奏でのギターとの絡みがなんとも美しい。

     kenがなんとも妖しいフレーズを奏でて、「get out from the shell」でライヴは後半戦へと突入していく。tetsuyaは前曲に引き続き6弦ベースを手にし、1、2弦のハイポジションを駆使したコール&レスポンスのようなフレーズやサイレンのように耳を突く音を奏で、“ベース”の域を軽々と超えていく。スロテッドヘッドと独特な流線型ボディのESPベースに持ち替えた「花葬」は、メロディとのバランスを取りながら指板を幅広く使ったプレイが耳を惹き、そのハイポジションへの移行の仕方はいつ聴いても素晴らしい。スモークがステージを覆った「EVERLASTING」では、tetsuyaはエッフェル塔を模したギターを手にアルペジオをプレイ。雨が降っているようなデジタル画面を映し出した映像演出、灯されたトーチも合わさって、なんとも幻想的な雰囲気を高める。嵐のような音と映像に導かれた「MY HEART DRAWS A DREAM」では、ブレイク後に再びベースが入ってくる部分でのtetsuyaの横移動のニュアンスをたっぷりと含んだメロディックなプレイがなんとも心地よく心に響いた。

     ライヴ本篇もいよいよクライマックスを迎え、サビでのグリスのニュアンスとメカニカルさが交錯するベースフレーズが気持ちいい「Driver’s High」、イントロのリードベースが鮮烈な「HONEY」、突進力が凄まじい「READY STEDY GO」といったアッパーナンバーで会場のボルテージを最高潮へと導いた。

    • hyde(vo)

     アンコールは、ピアノでのサビのメロディが唐突に始まり、収録音声による大合唱と過去のライヴ映像によるサビのリフレインという演出が行なわれた「あなた」、hydeが“みんなのことを想って、光をイメージして作りました”と語った新曲「ミライ」へと続く。スケールの大きな曲想で、サビの大きく動くベースプレイが空間を広げた「ミライ」はスクリーンに歌詞が表示され、「あなた」での演出も含めて、このコロナ禍を乗り越えた先の世界への希望を強く感じさせた。その後、ラストのサビ頭のブレイクに合わせてhydeとtetsuyaが同時にターンするという、ある種ライヴハウス的なステージングがなんともカッコよかったインディーズ時代の楽曲「Dune」、爽快に疾走する「GOOD LUCK MY WAY」を経て、ラストの曲「虹」へ。支えながらもうねりまくるAメロ、音価を大事にしたBメロ、音の高低差を生かしダイナミックなサビ、ギターとのユニゾンも含んで鋭角に攻めるDメロと、バンド名を背負う「虹」はtetsuyaの魅力が凝縮された珠玉のプレイだと思う。

     個性豊かな4人のメンバーが生み出す、時代にも地域にもジャンルにも縛られない、まさに“L’Arc〜en〜Cielの音楽”としか言いようのない多面的で唯一無二の世界観。30周年を迎えた彼らが、どのようにその世界を広げていくのか、まだまだ目が離せない。