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    温故知新 Warwick〜feat.穴見真吾(緑黄色社会)

    • Photo:Takashi Yashima

    穴見真吾(緑黄色社会)が弾く
    ワーウィック代表モデル

    ほかに負けないゴリゴリ・スタイル、スタイリッシュなR&B向き、歌ものを支えるいぶし銀的サウンド……など、もしかしたら人によってワーウィックに対するイメージは違うかもしれない。今回は、注目度急上昇中のバンド、緑黄色社会の穴見真吾に試奏してもらった。果たして、穴見はワーウィックをどう見るか?!

    Pro Series
    CORVETTE $$ 4

    どういう音楽が好きかを探し始めている人には最高

     ハムバッカーがふたつということで、見た目からはすごいハイパワーのゴリゴリなモデルに思えますけど、ピックアップのコイル・タップ・スイッチの切り替えの組み合わせでもいろんな音が出せますし、それぞれのピックアップをシングルにしてJBっぽい音もけっこう好きですね。しかもEQをバイパスした音もいい感じです。ほかの組み合わせだと、指弾きだとフロントがシリーズ、リアがパラレルというのも好き。ピック弾きだと、もうちょっと攻めた感じが欲しいなと思って、フロントがパラレル、リアをシリーズにしてみたらいい感じでした。普段はこういう場合、足下のプリアンプで何とかするという感じなんですけど、それが本体で、しかもスイッチふたつで解決できるっていうのはいいですよね。さらに、EQの効きもめちゃくちゃいいので、音の幅はすごいです。
     ネックは細いんですけどちょっと肉厚で、特にロー・ポジションは僕が使っている1959年のプレベに近い感じがして、慣れ親しんだ感じがありますね。12フレット以降になるとまたちょっと違うんですけど、すごく弾きやすい。
     楽器を始めようとしていて、どういう音楽が好きかを探し始めている人には最高だと思います。自分がどういう音が好きなのかを、けっこう早い段階で知れるモデルなのかなと。

    Pro Series
    THUMB BO 5

    ずっと同じ位置にいるから安心感がすごくある

     僕は普段5弦ベースは弾かないんですけど、ネックも5弦ベースにしては細いし、弾いていてまったくストレスがありませんでした。5弦ベースであることを忘れるくらい(笑)。
     5弦の鳴りもめちゃくちゃいいですね。ローB弦をゴリゴリと激しく連打してもついてきてくれるというか、エッジが効いた部分がありつつもちゃんとずっとローがある。これはワーウィックの5弦ならではだと思います。
     全体的にはロックっぽいサウンドのイメージですね。いろんな弾き方をしても同じキャラクターで音の存在感がしっかりしているから、音の大きいドラマーと合わせたい。デッドと言われるところが全然ない感じがするし、それでいて全部の音がちゃんと抜けてくる。ライヴでも、ほかのパートの人がモニタリングをしやすいというか、ずっと同じ位置にいるから安心感がすごくあると思います。
     ピックアップがリアに寄っているからか、音の粒立ちもめっちゃいいです。これだけかっちりとキャラが安定しているとプレイに余裕が出てきますよね。そういう意味でもライヴだとむちゃくちゃいいと思います。すごく実戦派ですね。どこを弾いても安定しているっていうのが、ローBにもちゃんと当てはまっていて、5弦に慣れていない人が弾いたとしても、ベースがちゃんと合わせてくれる。5弦初心者にもお薦めです。

    Custom Shop
    STREAMER LX 4

    レコーディングされたあとのベースの音みたいにまとまっている

     (弾き始めた直後)おぉ〜、いいですねぇ(笑)。音の解像度がすごい。音程の明瞭さが圧倒的で、ちょっと和音を入れたフレーズなんかも弾きたくなりますね。
     コルベットやサムは、多少暴れた感じもあるんですけど、これはすごくまとまってくれている気がします。例えるなら、レコーディングされたあとのベースの音というか。フロント・ピックアップだけにすると、ちょっとモダンなPBみたいな感じ。リアだけにして弾いてみても、ピッキング・ハーモニクスもすごくキレイに鳴ります。 
     弱く弾いたときのニュアンスがけっこう好きですね。弱く弾いたときもちゃんと“鳴っている感”が失われない。強弱のニュアンスはちゃんと出ているけど、ちゃんと聴こえているっていうのは、今回弾いた3本のなかではこれが突出していると思います。カスタムショップ製ということもあるんですかね? 強く弾いたときも行き過ぎないというか、音が破裂するんじゃなくてちゃんと下も残っている。キャラ的には、コルベットとサムの中間で、かつコルベット寄りに感じました。
     フレットは細めかつ高めで、押さえるのと押さえないの境界線がはっきりしているので押さえやすい。24フレットあるからナットの位置は、僕が普段使っているオーソドックスな楽器よりは体から遠いと思うんですけど、まったく違和感なく持てますね。

    総評

    バンド内でしっかり存在感を出してくれる。
    圧倒的な個性がありますね。

     ワーウィックといえば、僕のなかではスチュワート・ゼンダーですね。実は、昔、ワーウィックが欲しいなと思っていたことがあったんです。でも兄のバンドのベーシストがワーウィックを使っていて、カブるのがイヤだったから、そのときは選ばなかったんです(笑)。その頃から、とにかくインパクトのある楽器だなと思っていました。キャラがしっかりしているというか。
     今回、久しぶりに弾いてみても、そのイメージは変わっていないし、改めてガッツがある楽器だなって思いました。それが安心感につながっている。それに、意外とオールマイティだなっていうのは感じました。ビビッと焦点を当てて、音楽的にちゃんと曲に寄り添えるというか。だから、いろんな楽曲をやる人にとっては、こういった楽器のほうがいいと思います。あとは、打ち込みの曲とかにも良さそう。
     ワーウィックの良さって、バンド内でしっかり存在感があるところだと思うんです。ベースで大事なのって、単体で弾いているときの音よりもバンドで混ざったときのディティールというか、どこを支配しているのかっていうところ。そういう意味で、圧倒的な個性がありますね。

    穴見真吾(緑黄色社会)
    あなみ・しんご●1998年1月27日生まれ、愛知県出身。4人組バンド緑黄色社会のベーシスト。2012年に幼馴染の小林壱誓(g)と、小林の高校の同級生だった長屋晴子(vo、g)、peppe(k)とともにバンドを結成。2013年に“閃光ライオット”で準優勝し活動を本格化させ、2018年にメジャー・デビュー。新曲「アーユーレディー」が配信中。8月25日には、「アーユーレディー」を含む4thシングル「LITMUS」を発売する。
    https://www.ryokushaka.co

    Other Lineup

     今回紹介した代表モデル以外にも、ワーウィックでは多くのモデルをラインナップしている。その一部を紹介しよう。
     アイドルメイカー・ベースは、ギタリストのスティーヴィー・サラスのシグネイチャー・モデルをベースに落とし込んだモデル。ワイルドなロックに合いそうな独特の流線型ボディがこれまでのワーウィックとは一線を画している。
     また、サムSCはサム・ベースの名前を冠したシングルカット・ボディのモデル。こちらも一般的なワーウィックのイメージからすると意表を突くモデルと言える。
     このように、自身の伝統を革新していく気概を持ち、さまざまな挑戦を行なっているのもワーウィックの特徴と言える。

    IDOLMAKER BASS

    THUMB SC

    製品のお問い合わせは、山野楽器海外営業部(☎︎03-3862-8151)まで。
    https://www.warwickbass.com/en/Home.html

    本記事は 『ベース・マガジン 2021年8月号』の特集記事を転載したものです。同号の表紙は、新作『東京』をリリースした東京事変の亀田誠治と刄田綴色。特集『最強のリズム・セクション』では、古今東西さまざまな名リズム体を紹介し、ベースとドラムのコンビネーションについて掘り下げています。ぜひチェックしてみてください!