NOTES
UP
現在の沼-2024年10月篇【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】– 第15回
生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による、以前本誌にて掲載していた連載がベーマガWebにて復活!マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松浩史がエフェクターを語り尽くします(連載一覧はこちらから)。
第15回はPetit Brabancon のツアー、“Petit Brabancon Tour 2024「BURST CITY」”で使用したエフェクト・ボードを解説してくれました!
現在の沼-2024年10月篇
ベース・マガジンWEBを御覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。
先日、ベース・マガジンWEBにて僕のインタビューが掲載されました。今回はPetit Brabanconについてでした。
このインタビューは8月に行なわれて、その後9月にツアーがあり現在に至るので、今回はこのツアーでどんなペダルを使用したのかをご紹介しようかと思います。前回はThe Novembersのエフェクト・ボード紹介だったので、そちらとの違いも楽しんでいただけたら。
それでは、ペダルボード全景です。
ベースからの信号は、
①KORG “Pitchblack XS Bass”(チューナー)
②BECOS “CompIQ STELLA”(コンプレッサー)
③Umbrella Company “Fusion Blender”(ブレンダー)
を通ってアンプへ。
③には、
<ch A>
④PGS “ADVENT / MONOLITH.”(オーバードライブ)
⑤PGS “RODENT”(ディストーション)
⑥BOSS “ODB-3”(ディストーション)
⑦Darkglass “B7K ULTRA”(ディストーション、プリアンプ)
⑧TECH21 “SANSAMP BASS DRIVER DI V2”(プリアンプ)
⑨oz design “Ultimate DI”(DI)
<ch B>
⑩TECH21 “SANSAMP BASS DRIVER DI V1”(プリアンプ)
⑪empress effects “ParaEQ MKII Deluxe”(EQ、プリアンプ)
⑫HUMPBACK ENGINEERING “High Definition D.I.”(DI)
がそれぞれ接続されています。
基本的には③“Fusion Blender”の<ch A>で歪みを、<ch B>でクリーンを作り込んで、それをパラレル(並列)でミックスする”という手法です。
PAには⑨“Ultimate DI”、⑫“High Definition D.I.”それぞれのDIで歪みとクリーンを送っていて、会場ごとに適宜ミックス具合を調整してもらうという感じですね。(アンプは鳴っていますが、僕のモニター用なので、フロアに出ている音にはあまり関係ありません。)
①“Pitchblack XS Bass”は最近導入したチューナーで、ベース用と謳っているだけあって低音弦の反応がとても速い点が気に入っています。ただ、バッファーの音はあまり合わなかったので、トゥルーバイパス・モードで使用しています。(余談ですが同社PB-Xのバッファーもとても好みでした。ベースにもおすすめできます。)
②“CompIQ STELLA”は僕のお気に入りのコンプで、インタビューでも触れているように、なんとなく音色が良くなるので使用しています。音作りの一環ですね。クリアでかつ音も太いです。コントロールも多彩なので、とても優秀なコンプレッサーだと思います。
③“Fusion Blender”はこのシステムの中核ですね。あまり世の中にパラレルでミックスできるブレンダーがないので、貴重な存在です。各チャンネルにフィルターがついているので、幅広く音作りができて使いやすいです。
歪み側は、基本的に⑦“B7K ULTRA”、⑧“SANSAMP BASS DRIVER DI V2”で音作りをしています。どちらもかけっぱなしで、音の傾向としてはハイを強調した腰高なサウンドにしています。
そこに、アクセント的に④“ADVENT / MONOLITH.”、⑤“RODENT”、⑥“ODB-3”をかけていく感じですね。
④はロー・ゲインなオーバードライブ、⑤はトレブル・ブースター的なディストーション、⑥は最早ファズといったイメージです。
クリーン側はもっとシンプルで、⑩“SANSAMP BASS DRIVER DI V1”、⑪“ParaEQ MKII Deluxe”が常にかかっています。
こちらは歪み側とは対照的に、かなりローよりの音作りをしています。腰高の歪みに対して、クリーンのローを足していくという感じですね。
このシステムにしてから自分が出したい音にかなり近づけました。ハイゲインにしてもしっかり成立する汎用性の高さはあるのですが、実際は歪み側もそこまで歪ませてはいません。音を馴染ませつつ、ハイを少し強調するような歪ませ方ですね。
Petit Brabanconは音楽性もシンプルになってきたので、ベースの機材もシンプルにできそう……とは思っていますが、果たしてどうなることやら……。
5弦ベースはまだまだ慣れていないので、毎回とても楽しんで実験しています。次はどうなるのか今から楽しみです。
それでは、今回はここまで。ご覧いただきありがとうございました!
◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。Petit Brabanconは8月7日に2nd EP『Seven Garbage Born of Hatred』を発表している。
◎Information
高松浩史 X Instagram