PLAYER
今までなかった組み合わせでアプローチすることに恐れがない。
とっ散らかってナンボだって思っている。
ファンクやディスコなどのブラック・グルーヴを中心に、モダン・ミュージックなども取り入れて新たなスタイルのダンス・ミュージックを発信するフレッシュなバンド、Kroi。月に15本以上もライヴを行なうライヴ・バンドとして活発な活動を行なってきた彼らは、コロナ禍でライヴ活動が制限されるも、空いた時間を意欲的に活用して完成させた新作EP『STRUCTURE DECK』を2021年1月27日にドロップした。アンサンブルの中核を成すグルーヴマン=関将典は、過去のレジェンド・ベーシストに対するリスペクトを演奏に込めながら、自身のアイデンティティの確立を目指すストイックなベーシストだ。3枚目となるEPに収録されたベース・プレイの背景について語ってもらった。
カッコいいと思ったりおもしろいと思うことはなんでもやりたい。
━━前EP『hub』から10ヵ月ほどでドロップとなった新作EP『STRUCTURE DECK』ですが、その間のコロナ禍のなかでの活動や制作はいかがでしたか?
わりと俺たちはあんまり悩んだり立ち止まるっていうことはなかったかなと思っています。バンドってライヴだけがすべてじゃないと思っていて、例えばSNSを使ったり、グッズを出したりとか、そういう面でもお客さんを楽しませることができる。そういった面の活動にもっと向き合って集中できる期間だったなと思いますし、コロナ禍の前は月に15本ぐらいはライヴをやっていて、それがなくなったぶん、より音源制作に集中してとりかかれたなと思います。
━━空いた時間が増えたことでEPの制作はのびのびできた、と。
そうですね。俺らの制作は、曲のデモを(内田)怜央(vo,g)が作ってくれて、それをメンバーと詰めていくっていうのが基本的なフローなんですけど、それがコロナ禍になってからはオンラインで会議しながら、画面を共有してDTMを開いて、“ここにこういうのを入れようよ”っていう話し合いをしたりして、スムーズに作ることができましたね。
━━制作時の余裕が増えたとなると、作品の選曲方法にも変化があったのでは?
リリースするっていうと自信がある曲だったり、“これはイケる”っていう曲を出したりするわけじゃないですか。だけど、EPやアルバムのようにまとまった作品となると、どうしてもリード曲と、その影に隠れる曲っていうものが出てきちゃうなと思うんです。コロナ禍だからってわけじゃないですけど、今作ではそれをなくしたいなと。リード曲というものをこっちからは発信しないというか、すべての曲に個性があって、それぞれが特化したものを持っている。それらの曲を聴いたリスナーたちには、自分のお気に入りのトラックを見つけてほしいなっていうのは考えています。だから、作っていくなかでできたものからEPに収録する曲を決めていきましたね。
━━と、言いますと?
例えば、ある曲を作ったあとに“じゃあ次はこういう曲があるといいよね”っていう感じでレパートリーを増やしていったんです。
━━となると、EPに収録されている曲は、Kroiの幅広さを表わしていると言えるのでしょうか?
そうですね。もともと俺らは結成当初からジャンルを固めないスタンスでやっていて、そうすることであらゆる音楽を表現することができるわけじゃないですか。そういう意味で、俺らのスタイルが感じ取れる作品をEPとして出したいっていう狙いもあったんです。コンセプチュアルな作品は、次の作品で別のコンセプトをとると“このバンド、変わっちゃったな”と思う人も出てくるかもしれない。それが、こういう幅広い作品を作ることによって、“このバンドってなんでもやりたいんだな”っていうことが見えてくるっていうか。俺ら自身はカッコいいと思ったりおもしろいと思うことはなんでもやりたいので、このEPはその面をそのまま作品として具現化したっていう形ですかね。