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BM Web版! プロの宅録環境 feat.ぴんはげ

  • Interview:Takahisa Kondoh
  • Photo:pinkhage(portrait、equipment)

Interview

いかにオケに負けないベースの音をスマホから出せるかっていうところを追求しています。

先日発売されたベース・マガジン2020年8月号では“プロは一体どのような環境で自宅録音を行なっているのか?”に迫った特集『プロの宅録機材』を掲載。さらにBASS MAGAZINE Webでは、そのスピンオフ企画として、宅録や動画配信などを積極的に行なう先鋭のベーシストたちに迫った。ここでは、YouTubeを中心に活動を続け、圧倒的な支持を得ているベーシスト 、ぴんはげに、動画配信のための音作りについて語ってもらった。

自宅スタジオのデスク周り。プロジェクト画面を表示させる中央のモニター、そしてミックス・コンソールを確認するための左手のモニター、そして手前に置かれたUSB/MIDIコントロール・サーフェイスiCON PLATFORM M+がおもな機材で、とてもシンプルにまとめられている。

ローよりもハイ・ミッド以上の音質にどれだけこだわるかというところに行き着くんですよ。

 今、僕が使っているDAWはCubase10 Proで、インターフェースはRME のFireface UCですね。以前はSteinbergのUR28Mを愛用していて、次に導入したのが、このFireface UCです。UR28Mの時期はかなり長くて、おそらく7〜8年くらいは使っていましたね。ただ、さらに音の解像度を追求したいとは思っていて。実際、海外の音楽系YouTuberさんの動画を観ると、みんな音がめちゃくちゃ良くて。で、僕も音質を上げるためにケーブルにもこだわったし、そもそも一番好きなサウンドのベース本体を選んでいるのに、この違いはなんだろう?って考えたときに、オーディオ・インターフェースしかないっていう結論に行き着いたんです。そこでプロも使っている機材をいろいろ調べて買ったのがFireface UCでした。実際、かなり変わりましたね。

 あと、もちろん音質が上がって満足なんですけど、とにかく使いやすいです。やはりストレスなくルーティングを組めるのは大事ですね。僕の場合は、いちいちエフェクターをつないだりする行程が面倒くさいと思っていたし、機材を持ち歩くこともなくて、部屋自体をスタジオ化させたかったので、それなら全部ルーティングを組んじゃったほうがいいなと思っていたんですけど、Fireface UCにしてから、そういった部分もかなりラクになりました。

 信号の流れとしては、ベース本体から直でFireface UCに入ってPCに行きます。そこから、その都度、エフェクターに飛ばしたりはしますけど、基本的には直で録音していますね。プラグインはオーソドックスなコンプとEQ、あとは、そのときに応じて歪みを使い分けるっていう感じですね。
 音色において僕が一番心がけているのは、iPhoneなどのスマホでどれだけ良い音を出せるかっていうことなんです。というのも、まず僕はライヴ活動をしないっていう前提があって。さらに、僕だけではなくて、動画やYouTubeをやっている人全般に言えることだと思うんですけど、視聴者が使うデバイスの8割以上はやはりスマホなんですよね。なので、いかにスマホでオケに負けないベースの音を出せるかっていうところを、一番意識しているんです。そうすると、ローの成分というよりはハイ・ミッド以上の音質にどれだけこだわるかっていうところに行き着くんですよ。結果、ベース専用のプラグインだと対応できないことも多くて。例えば、良質なベース・アンプのモデリングを使っても、結局聴こえないと意味がないので、最終的にギター用のアンプ・シミュレーターなどを活用することになるんです。

 実は、僕が一番使っているのは、Cubase10 Proに入っているギター用のアンプ・シミュレーターで、歪ませたサウンドの場合は、たいていはそれを使っています。いろんな歪みやアンプ・シミュレーターを試したんですけど、結局、Cubase10 Proに最初から入っている歪みが良いなと思って。ライヴハウスのスピーカーで聴けば気持ちいい感じ、という音作りはあると思うんですけど、やっぱりスマホで聴くとなったら、低音はほとんどなくなっちゃうんですよね。僕はCubase VST Amp Rackっていうプラグインのなかの、70s Hey Yaっていうプリセットを使っています。これをブレンドは50パーセントくらいの割合で混ぜて使ってますね。マックスが50パーセントっていう感じで、曲によってはもっと下げています。

【Equipments 1】

  • iCON/PLATFORM M+(USB/MIDIコントロール・サーフェイス)
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