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FEATURED BASSIST-日向秀和[Nothing’s Carved In Stone]

  • Interview:Takahisa Kondoh
  • Photo:Taichi Nishimaki

Interview

確信から生まれる揺るぎない一音

今年3月に配信シングル「NEW HORIZON」、そして6月には「Dream in the Dark」を立て続けにリリースしたNothing’s Carved In Stone(以下ナッシングス)。彼らは歩みを止めることなく、セルフ・カバー・アルバム『Futures』を発表。過去に発表された楽曲をレコーディングし直すというテーマで制作された本作は、過度なアレンジを施すことなく、これまでのライヴで育て上げられた、彼らのアンサンブルの成果が楽曲ごとに詰め込まれている。本作を作り終えた日向秀和に話を聞いた。

昔の音源のタイム感が速すぎちゃって。そのぐらいイキがっていたんですよね(笑)。

──ナッシングスの近況としては、6月に有料生配信ライヴ「Nothing’s Carved In Stone Studio Live “Navigator”」を開催しましたね。

 スタジオでプレイしたんですけど、かなり楽しかったですよ。何かレコーディングに近い感覚もあるし、独特のハラハラドキドキ感がすごく刺激的で。思いのほか高揚したのでこれもアリかな、とは思いましたね。ステージで暴れる、などとは違った高揚感というか。ただし今後、映像やサウンドのクオリティを下げてはダメだし、これを何度もやり続けたら、そのうちお客さんが来なくなっちゃうと思います。そういう意味では、作品作りに近いような完成度を求めたいですよね。もはや、生配信でなくてもいいんじゃないかな、とも思いますし。そのあたりで、いろいろと考えることはありますけどね、それは今後の課題ということで。

──というわけで、セルフ・カバー・アルバム『Futures』がリリースされましたが、セルフ・カバーの作品を作ろうと思ったきっかけは?

 今のスキルとサウンドで昔の曲を再構築したらどうなんだろうっていう、単純な興味心からだったんですよね。で、リミックス集などではなく、あくまでベスト盤だという。

──昔の曲をレコーディングすることで感じたことは?

 めちゃくちゃおもしろかったんですけど、昔の音源のタイム感が速すぎちゃって、すごく大変でした(笑)。特にオニィ(大喜多崇規/d)が一番苦労したんじゃないかな。当時のトラックからドラムを抜いて、差し替えていくっていう作業だったんですけど、データ上、テンポに合わせたカウントよりも弦楽器陣(のノリ)が前にいるから、もう全然合わない。そのぐらいイキがっていたんですよね(笑)。

左から、日向、生形真一(g)、村松拓(vo,g)、大喜多崇規(d)。
『Futures』
Silver sun
DDCZ-9067(SSRA-2005/豪華盤)
DDCZ-9065(SSRA-2003/通常盤)
DDCZ-9063(SSRA-2004/初回限定盤)

──みんな、前のめりだったんですね(笑)。

 そうそう。前のめり感が半端じゃない。例えば「Isolation」も、オニィが言うには6つのカウントで“シャン、シャン、シャン、シャン、シャン、シャン、ダー、ダー”って入るところを、“シャン、シャン、シャン、シャン、シャン、シャ……ダー、ダー”くらいの(笑)、どうしてみんな、そんなに速いんだろう?みたいな感じだったらしいです。レコーディングでは、僕の場合はギターのトラックはあまり返さないで、かすかに鳴っているっていう状態だし、ドラムはすでに完成した状態で録るから、まったく問題なかったんですけどね。

──アレンジを変えて過去の楽曲をレコーディングするのではなく、当時のトラックを差し替えていくっていう方法も逆に珍しいですね。

 今回、アレンジをゼロから変えるっていうことはナンセンスだなって思ったんですよね。それってリミックス集になっちゃうし、あくまで“ベスト盤”と捉えるなら、アレンジを変えずにレコーディングしたかったんです。もちろん、細かい部分は変わっているかもしれないですけど、今のサウンドで同じアレンジのものを録ることによる違いを見せたかったんですよね。

──よくあるような、“打ち込みバージョン”とか、“アコースティック・バージョン”とか、そういう概念ではないですね。

 そうそう。だからおもしろかったですよ。僕のなかでは、ライヴに近いようなアプローチで録ったし、一発録りっていうノリでやったほうが、絶対カッコよくなるなって思ったんですよね。それはすごく意識しました。

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