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FEATURED BASSIST-休日課長[ゲスの極み乙女。]

  • Interview:Zine Hagihara
  • Photo:Issei Watanabe(Live)
「人生の針」「キラーボールをもう一度」で使用された1965年製のフェンダー・ジャズ・ベース。ボディはアルダー、ネックはメイプル、指板はローズウッドで、クルーソン製の逆巻ペグやピックアップなど、パーツはオリジナルのまま。課長のベースのなかではレコーディングでの使用率がもっとも高い優等生。

ライヴができない間に切磋琢磨して
これまで以上にパワーアップしたい。

——「キラーボールをもう一度」はゲスらしい歌の世界観がありつつ、ベースはディスコマナーに則ったファンク・プレイを弾いていて、絶妙なマリアージュですね。

 そうですね。使ったベースも1965年製のジャズ・ベースで“まさに”っていう感じです。このベースはレコーディングで使うことがかなり多くて、優等生だし、素直にカッコいい音が鳴るんですよ。

——今作はほかにはどういうベースを使ったんですか?

 K.Nyui Custom Guitarsというブランドのベースがあって、かなりブーミーなサウンドがしてカッコいいんですよ。フラット・ワウンド弦を張っているし、サンダーバード・タイプのピックアップなのでイナたい音がしていて。レンジは広くなくてミッドにぎゅっとしている感じ。でもそこがいいんです。「フランチャイズおばあちゃん」の中盤にある歪んだセクションは、このベースとRodenbergのGAS-789B(ブースター/オーバードライブ)を組み合わせたサウンドになってます。レンジが広くないベースなので、エフェクターのかかり方にかなりクセが出ますね。この歪みもかなり良くて、詰まった感じの音でヘヴィさもある感じです。

——あとは、課長さんと言えばSugi製のカスタム・モデルですが、最近新しいベースを作ったそうですね。

 前から使っているNB4に加えて、RMB Ⅰのカスタムを去年作っていただきました。もうレコーディングではたくさん使っていて、サウンドの特徴としては、クセというか、訛りがあるのでミックスしてもベースの存在感がしっかり残るんですよ。今作では「マルカ」でのサウンドが一番わかりやすいと思います。ピックアップがPタイプだからだと思うんですけど、太くてゴリっとした少し荒い感じの音で、一音一音のエネルギーがあるのでけっこう使いやすいです。特にループ・フレーズにもすごく合いますね。RMB Ⅰが33インチであるのに対して、NB4が34インチなのでサステインの伸びが違うんですよ。NB4はもっと優等生な感じで、各弦の出音のバランスもいいし、よく締まった音が出ます。

——「マルカ」は歌の裏で独立したメロディをベースで弾いていて、存在感のあるサウンドが確かにマッチしています。

 そうですね。RMB Ⅰのサウンドには温かみもあるし、この曲とはかなりマッチしたと思います。あと、この曲ではマークベースのマイケル・リーグ・モデル(CASA)のアンプを使っているんですけど、それとの相性もすごく良かったですね。すごく軽くて使いやすいんですよ。コントロールもシンプルだし、ウルトラ・ローっていう低域のツマミがある以外はかなりオーソドックスな構成ですね。サウンドもストレートな感じで、ベース・サウンドにあってほしい低音がしっかり鳴ってくれる印象です。

「綺麗になってシティーポップを歌おう」「哀愁感ゾンビ」「マルカ」と、「キラーボールをもう一度」の間奏部分で使用されたのは、昨年末に完成したSugi製RMB Ⅰのカスタム・モデル。ボディ材はソリッド・ホンジュラス・マホガニーで、備え付けられたピックガードは木材の模様ではなく塗装によるもの。ネックは6ピース・メイプルで、指板はココボロという希少価値の高い材をセレクト。ピックアップ・カバーはスネークウッド材を採用している。“音の線が太いのでフレーズが伝わりやすい”とは課長の弁。
「蜜と遠吠え」「透明な嵐」で使用されたSugi製NB4のカスタム・モデル。ボディはクラロ・ウォルナット・トップとホンジュラス・マホガニー・バック、ネックは6ピース・メイプル、指板はエボニーという材構成だ。シングルコイルのオリジナル・ピックアップを2基搭載し、コントロールは2ヴォリューム、1トーンを備える。使い方については“各音のバランスも良くて優等生な感じなので、AKIMA&NEOSのチューブDIでワルさを足す感じですね(笑)”と語ってくれた。

——なるほど、わかりました。今作のタイトル(『ストリーミグ、CD、レコード』)は、かなりインパクトのあるネーミングですよね。

 僕も川谷から連絡がきたときはかなりびっくりしました。でもよくよく考えると、今の世の音楽界の一面をひと言で表現していて、10年後このタイトルを見たときにどう感じるのか楽しみです。

——最新のトレンドを取り入れたビート、リズム、そしてベース・プレイを、リスナーが好きな聴き方で楽しむという“今っぽさ”を感じさせるタイトルでもあると思いました。

 確かにそのとおりで、制作していくなかで、間口を広く持ってそれぞれに好きなように楽しんでほしいっていう気持ちが自分のなかにもありましたから。

——では最後に、ライヴやツアーを楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

 今回、アルバムのパッケージがかなりおもしろい形でリリースされるんですよ。バウムクーヘンが付いた賞味期限のある形態とか、CDとライヴ映像が入ってるデラックス・エディションもありますし、あとは待望のゲス初のアナログ盤もありますので、好きなようにみなさんに楽しんでいただきたいです。私としては、ライヴができない間に切磋琢磨して、これまで以上の自分にパワーアップしてまたお会いできると嬉しいので、楽しみにしていてください。

『ストリーミング、CD、レコード』は、3パターンの形態で発売!

ゲスの極み乙女。のメジャー5thアルバム『ストリーミング、CD、レコード』は、世界初の試みとしてCDの代わりにバームクーヘンを封入した“賞味期限付きアルバム”、CDと昨年12月に開催されたワンマン・ライブ”変人大集合”のライブ映像が収録された豪華30cmブック仕様のデラックス・エディション(Blu-rayとDVDで選択可能)、そしてゲス初のアナログ盤という3種類の形態で発売される。また、複数形態購入・先着購入などの特典も用意されているので、ぜひともチェックしたいところ。詳しくは特設サイトへGO!

『ストリーミング、CD、レコード』特設サイト

◎Profile
きゅうじつかちょう●1987年2月20日生まれ、埼玉県出身。大学時代にベースを始める。2012年5月に川谷絵音(vo,g)に誘われてゲスの極み乙女。を結成。2014年にメジャー・デビュー。プログレッシブ・ロックやヒップホップなどを取り入れた独自の音楽性がシーンで話題となる。休日課長はそのほか、DADARAY、ichikoroなどにも参加し、多方面で活躍する。趣味は料理。

◎Information
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