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ウィル・リー流 グルーヴ・ベースの極意 Part3【ザ・直伝】 ※音源対応

  • Photo:Yoshika Horita
  • Text:Bass Magazine
  • Cooperation:Akira Sakamoto, Hisafumi "JIMMY" Maeda

NYのファースト・コール・ベーシストが送る直伝セミナー!

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*本記事は『ベース・マガジン2009年2月号』掲載のコンテンツをWEB用に再構成したものです。


ミーターズ直系のセカンドライン・ファンクのドラム・トラックに合わせたこのプレイでも、左手ミュートによって絶妙の粘りニュアンスを演出している。

【Ex-1】はシンプルなミクソリディアンによる音使いだが、フレーズの歌い方とリズムのタメが最高にイカしている。

【Ex-2】はタッチ・ミュートが小気味良い味を出す。2&3小節のプルのニュアンスは、あまりギンギンしたものではなく軽くアクセントをつける程度に抑え、素朴な味わいを生み出している。4、6、7小節の8分音符の粘りと長さのコントロールは、ぜひとも参考にしてほしい。

【Ex-3】はマーカス・ミラーも得意とするスライドによる同音異弦フレーズで、ウィルはライヴでもよく弾いていた。ルーズなニュアンスを出すにはとても効果的な奏法だ。

通常のサルサの2−3クラーベが“ツク・タン・タン・ツク・タン・ツタ・ツク・タン”に対して、トラックは“ツク・タン・タン・ツク・タン・ツタ・ツク・ツタ”という、3の4拍目がウラの8分であるルンバ・クラーベのリズム・パターン。

しかしウィルは、さほど気にせず普通の2−3クラーベで弾いているようだ。“アンペグのベイビー・ベースのトーンを意識して弾いた”と言っていたが、ウィル流ミュートによってバッチリその雰囲気を醸し出している点に注目してほしい。

奇数小節のタッチ・ミュートや4小節などのミュートを入れるタイミングが、リズムにスピード感を与え、ウィルの素晴らしいトゥンバオのタイム感とイントネーションを感じさせる。

【C】最後の2拍3連のサムピングもアツイ。このクラーベのリズムを聴いて、即座にかつ即興で、しかも1テイクで弾いたプレイであり、この事実から、さまざまな音楽、そしてリズムに即対応できる豊富な引き出しをうかがい知ることができるだろう。さすがニューヨークのファースト・コール・ベーシストとうならされる、圧巻のテイクだ。

最後は4ビートのトラックによる、マイナー・ブルース進行のパターンだ。ジャズのマイナー・ブルースに縁のない人は、カーティス・フラーの「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」や、コルトレーンの「Mr.PC」などのマイナー・ブルースの名曲を聴いてみてほしい。

基本的な進行は譜例下のようなコード進行だが、ウィルはいろいろなコード解釈をして弾いている。全部で4コーラスあるが、各コーラスでウィルの頭のなかに描いたコード進行、代理コードなどを見ることができてとても興味深い。

イントロのE7(♯9)のハーモニクスのフェイドインから入るところが、ムードを大事にする彼らしい。こういった4ビートの場合、通常なら縦の動きで弾くところだが、これも全編ウィル流ミュートによるプレイのため、激しい横移動のポジショニングになっている。

2コーラス目の、ハイポジションでのランニングで聴けるウィル流ミュートは音圧があり、かなり効果的。4コーラス目、ハイポジションから降りてきて3&4小節の展開はスリリング!本当においしいベース・ラインを知り尽くしているのが、ものすごく伝わってくると思う。渋いし、ニクイ!!

「ウィル・リー流 グルーヴ・ベースの極意」
が掲載されている『2009年2月号』はこちら