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【Special Alternative Session -Another Edition-】中尾憲太郎(ナンバーガール)× 磯部寛之([Alexandros])
- Interview:Koji Kano
- Photo:Taichi Nishimaki
- Photo Location:KOENJI HIGH
俺には当時のベーシストと同じ血が
流れてたってことですかね(笑)。
━━磯部寛之
――向井秀徳(ナンバーガール/vo,g)さんや川上洋平([Alexandros]/vo,g)さんから、ベースのプレイや音の注文をされることもあるんですか?
中尾:こういうフレーズを弾いてくれっていうのはあったけど、音に関して言われたことはないかなぁ。
磯部:俺もノリとかフレージングに関しては言ってくることはありますけど、音色に関してはないですね。というか、俺から意見を聞くことはありますけど、洋平というよりメンバー全員でそういう話をしますね。
中尾:ナンバーガールだと誰もそういう話をしない(笑)。でもノリとかキメとかはしっかり共有するようにしてるね。
磯部:そうなんですね。俺らは作曲者のなかでメロディを作ったときに同時に生まれる世界観とかノリっていうものをメンバーみんなで共有しているって感じですかね。
中尾:うん、あと僕の場合、曲によってベースを使い分けたりっていうのがほぼなくて。ライヴだと全部ベース一本を同じセッティングでやってます。
磯部:[Alexandros]では基本的にジャズベとプレベを持ち替えてるだけなんですけど、たまに一曲だけリッケンバッカーとかを使ったりすることもありますよ。
中尾:そうなんだ。ジャズベとプレベの使い分けってどういう風に決めてるの?
磯部:こんなこと言ったらアレですけど気分というか(笑)、この曲はプレベのほうが音色的に合うなってレコーディングで弾いたものは同じくライヴでもプレベで弾きたくなるっていう感じですね。だから決してジャズベで弾けないこともないんですけどね。ただ“ベース一本だけでライヴを通すカッコよさ”っていうものも感じてるし、俺も最初はそうでしたよ。今はこだわりとか弾きやすさとかイメージっていうものが先行して持ち替えるようにしてますけど。
中尾:うん、音源とかいっぱい作っていくとだんだんそうなるよね。何ていうか、替えたくなる時期は絶対来るもん(笑)。
磯部:そうなんです。そういう時期が絶対来るんですよね。だからタイミングによってプレベ率が高いときがあったり、時期によっても違うんです。
中尾:その時期を経つつ、一回のライヴでバンドのいろんな時代の曲が入ってくると、ベースの持ち替えのほかにもプリアンプも変えたりとか、ボードも肥大化していっちゃうんだよね(笑)。
――オルタナにおけるベースの音作りとはどういったものでしょうか? 本誌2月号のメイン・テーマでもある1990年代のオルタナ・ベーシストはギブソン系のベースを使う人も多かったですよね。
中尾:当時のUSバンドのベーシストはギブソンとかミュージックマンを使う人が多かったですね。特にニュースクールとかハードコアの人はみんなミュージックマンだったんじゃないかな。使ってた理由はわかんないけど……安かったのかな? シアトルのバンドはそういう理由も大きかったように思います。例えばギターのジャズマスターとかジャガーとかって、当時はあんまり人気がなくて安かったからみんな使ってたみたいだし。
――アンプだと当時のオルタナ・ベーシストの多くはアンペグのSVTを使っていましたよね。
中尾:そうねー。90年中盤くらいとかもうみんなヘッドはSVT、キャビは810Eを持ってましたから。(下北沢)シェルターに5バンドとか出て、全員それを一式持ってくるみたいな(笑)。
磯部:もう置き場所がないって感じですね(笑)。
――磯部さんはヴィンテージのSVTを複数台お持ちですよね。
磯部:はい、デッカいSVTと冷蔵庫みたいなキャビネットでやってますよ(笑)。使ってる理由としては、まずは見た目がカッコいいから。ヴィンテージのものはちょっとグリルが破れてたりするんですけど、それも最高にクールなんです。そういう部分がありつつ、音も最高にカッコいいんです。なんかこう、いい感じのアタック感とハイポジに行ったときのちょっと枯れた感じが絶妙で。もちろん竿の特性も相まってですけどね。だから俺には当時のベーシストと同じ血が流れてたってことですかね(笑)。
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