SPECIAL
UP
FEATURED BASSIST-日向秀和[Nothing’s Carved In Stone]
- Photo:Ryotaro Kawashima
- Interview:Koji Kano
――本作の録音に向けて新たに導入したエフェクターはありましたか? ボードがどんな進化を遂げているか、ひなっちファンはみんな気になってると思います(笑)。
Limetone AudioのFocus(コンプレッサー)かな。ベーマガでのIKUOさんとの対談(2020年11月号)がきっかけでLimetone Audioを紹介してもらいました。あとはサンズアンプ(ベース・ドライバーDI)のV2をナッシングスのボードにも導入してますね。だから僕のボードを追っかけてる人に対しては、プリアンプをコロコロ変えてごめんなさいって感じ(笑)。でもこれは仕方なかったというか、PJの出力がほかよりデカいから、竿によってプリアンプを変えるしかなかったんです。PAさんにはベースを持ち替えるたびに音を下げてとか言ってたんですけど、やっぱ限界があるなと。だからプレベ用にサンズアンプを入れたっていうシンプルな理由ですね。
――なるほど。ちなみにFocusはスラップ用ですかね?
そうですね。「Milestone」の鬼スラップのところとか活躍しそうですね。正直今までコンプってあまり好きじゃなかったんですけど、最近になって急に好きになったんですよ。前まではコンプをかけないことが自分のなかで新しかったんですけど、ここに来て強くかけることがすごく今風に聴こえるというか。でもやっぱりローが消えない機種を選ぶっていうのは大事なことで、そういう意味でもFocusは万能なんですよね。
――さて、ナッシングスもバンドが始動して13年目になりますが、今作を制作してみて感じたことはありますか?
ようやく脂が乗ったんじゃないかなって思います。音源聴いてても思うかもしれないけどさ、俺ら優しくなったでしょ? これってすごい成長だと思ってて、攻めてるんだけどうまく同調してるんですよ。ナッシングスってスリル感とか反発心みたいなのがあったけど、今はそれを捨てたような気がしてるんです。みんなそれぞれプライドもあるけど、寄り添い合って作っていくことの重要さに気づけたのかなって。それって年月が経たないとできないことだし、テナー(ストレイテナー)にもそういう時期があったしね。それが熟成してきて、脂で包み込んだのが『ANSWER』なんじゃないかなと思います。
――なるほど。
今作だと背伸びして「Deeper,Deeper」という曲を作って、その背伸びしたところにすがり付くっていうのもまたおもしろいし、だからずっとトライしていかなきゃいけない。だから、僕のライフワークでもあるジョギング、登山、キックボクシングでフィジカルを鍛えつつ「Deeper,Deeper」みたいな曲を若者たちに負けずに数分の狂いもなくプレイしていく。それが今の目標ですね。
――次作への準備ももう始まってるんですか?
もちろん始まってますよ。単純に『ANSWER』を超えていくっていうか、脂が乗ったナッシングスの一歩目ができたんで、2歩目にトライしていくっていうシンプルなテーマを持ってます。だから次作も期待してください!
2022年1月19日発売のベース・マガジン2022年2月号にもひなっちのインタビューを掲載! BM webとは異なる内容でお届けします。
◎Profile
ひなた・ひでかず●1976年12月4日生まれ、東京都出身。2002年にART-SCHOOLでデビュー。その後、ZAZEN BOYS、ストレイテナー、FULLARMOR、Nothing’s Carved In Stoneといった数多くのバンドのメンバーとして活躍する。また、米津玄師やTK from 凛として時雨、MIYAVIといったアーティストのスタジオ・ワークもこなす。近年ではドラマー松下マサナオとのデュオ“HH&MM”としても精力的に活動している。愛称はひなっち。Nothing’s Carved In Stoneは2021年12月1日に11thアルバム『ANSWER』をリリース。現在リリース・ツアー“ANSWER TOUR 2021-22”を開催中だ。
◎Information
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日向秀和:Twitter Instagram