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    INTERVIEW – 高田雄一[ELLEGARDEN]

    • Interview:Koji Kano

    一番最初にバンドを始めたときとオーバーラップしたような感覚。

    ――「Breathing」のようにわかりやすく歪んでいる楽曲もありますよね? そういった部分はどのように音作りしていったのですか?

     歪みエフェクターを使ったわけではなくて、実は今回、すべてKemperで音作りしているんですよ。使うアンプのプリセットはいろいろ選びましたけど、セッティングは基本的には同じものですね。だからさっきの話、こういう激しい曲になれば必然的にピッキングも強くなるので、ミックスの段階でのエンジニアによる調整はあったかもしれませんけど、基本的にはすべて右手のニュアンスでコントロールしていった感じですね。

    ――Kemperは意外性がありますね。ということはアンプを使っていない?

     そう、今回はリアンプもしていないんです。別のバンドとかでもアンプを鳴らさずに録音することが多かったから抵抗はなかったし、今回は初めてのエンジニアとの作業だったので、エンジニアのやり方に従うというか、彼が普段やっているやり方でやらないと意味がないかなと思って。もちろん今までどおりにヴィンテージのアンペグを鳴らすこともできたと思うけど、そこを押し通すよりも、エンジニアのやりたいやり方でやったほうがいい音になると思ったんです。逆にそのほうが完成の時点でどうなるのかなって楽しみもありましたし。

    ――高田さんと言えばフェンダーのプレシジョン・ベースですが、今作の録音もプレベ一本でこなしたんですか?

     1962年製のフェンダーのプレベに加えてTMG GuitarsのPBタイプも使っています。今回は2回に分けてアメリカに行ってレコーディングしたんですけど、最初に行ったときの3曲がTMG、そのあと8月に残り8曲を録った際はフェンダーを使いました。まぁ正直ヴィンテージの楽器を持っていくこととか、途中で楽器の音が変わることに不安はあったんですけど、“どうにでもなれ感”というか、やっぱり自分としてもフェンダーの音を欲していた部分があったんでしょうね。

    ――アメリカ・レコーディングでの裏話など、何かあれば教えてください。

     今回はアメリカの物価が高くて、レコード会社の予算の都合上、メンバー4人とサポート役のスコット・マーフィーの5人だけで現地に行ったんですよ。向こうでは同じ家に5人で住んでいたんですけど、この規模でバンドをやっている身としては不思議な感覚でした。でも最初にバンドを始めた頃ってみんなこうじゃないですか。だから16年ぶりにアルバムを作るっていう部分も含めて、一番最初にバンドを始めたときとオーバーラップしたような感覚で、メンバーだけの生活はおもしろかったですね。歳も歳だし、いい大人が5人で同じ家に住むって普通ないですよね。貴重な体験でもあったし、そういうものが全体の音とかにも出ていると思います。

    ――さて、新たに歩みが始まったエルレですが、バンドの今後の展望をどのように考えていますか?

     正直、この前まで制作作業をやっていた感覚で、最近やっと完成したんだなって実感が湧いてきたところなんです。これからアルバムを提げたツアーが始まるので、まずはアルバムに入っている曲をみんなで練習してライヴで披露する、っていうところしか今はみんな見てないですね。16年ぶりにアルバムを出してみんながどう感じるか、どういう思いを抱くか、そしてどういうツアーになるんだろうっていう期待でいっぱいなので、そこから先どうしていこうって部分は僕も含めてみんなまだ考えられていないと思います。

    ――わかりました。ちなみに高田さんはカメラマンとしてもお忙しそうですけど、そことのバランスは大丈夫そうですか?

     ハハハ(笑)、いろいろなところで“本業はカメラマンです”みたいなギャグは飛ばしていますけど、スケジュール的にはもちろんELLEGARDENを優先しているので、そこは安心してください。カメラマンの仕事が忙しいしわ寄せは自分に来ているだけなので、特に問題はありませんよ!

    Takada’s Bass

    主にライヴにて使用されるTMG GuitarsのPBタイプ。今作では「Strawberry Margarita」「Mountain Top」「Breathing」の3曲の録音で使用した。本器について、“ヴィンテージを模倣したようなモデルになるんですけど、現代の楽器のほうがライヴで使うにはコンディション的にも優れていると思います”と語る。
    長年にわたりPBタイプを愛用する高田を象徴するモデルでもあり、2008年の活動休止以前からメイン器として活躍する、1962年製フェンダー・プレシジョン・ベース。今作ではTMG GuitarsのPBタイプで録音したという先述の3曲以外、すべての楽曲の録音にて使用された。

    ◎Profile
    たかだ・ゆういち●1976年7月23日生まれ、千葉県出身。1998年にELLEGARDENを結成し、2001年にアルバム『ELLEGARDEN』でデビューを果たす。2006年11月発売の5thアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』は、インディーズ・リリースながらオリコン・チャート初登場1位を記録するなどカリスマ的人気を獲得。2008年よりバンドは活動休止となるが、2018年に活動再開。2022年12月21日に6thアルバム『The End of Yesterday』を発表した。ほかにもMAYKIDZなどバンド活動のかたわら、ももいろクローバーZ、B.O.L.T、FES☆TIVE、キミノマワリ。などアイドルの楽曲にもレコーディング参加。カメラマンとしてもさまざまなグループのアーティスト写真や写真集などを担当するなど多岐にわたる活動を展開。推しは超ときめき宣伝部の辻野かなみ。

    ◎Information
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