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    INTERVIEW-REITA[the GazettE]

    • Interview:Kengo Nakamura

    特に変わったことはしていないんですけど、
    逆にやっぱりそれが一番難しいんだなって。

    左から、REITA(b)、 葵(g)、RUKI(vo)、麗(g)、戒(d)

    ━━ディングウォールを使い出したのは最近なんですか?

     今作で最初に録った「BLINDING HOPE」からです。プリプロをやっているときにNG-3を買って使ってみたらすごく良かったから、それを使ってレコーディングもしたんです。そのあとに、もっとディングウォールを知りたくなってネットで探していたら、Z3が大阪にあって、ずっと欲しいなと思っていたんですね。ただ、大阪だから試奏しに行けなかったし、試奏しないで買うにはすごく高いものだったので迷ったんですけど、これからレコーディングで9曲録るし、“今買わないでいつ買うんだ”と思って(笑)、結局ネットで買いました。そのあとで「BLINDING HOPE」もZ3で録り直したので、今回は全曲でZ3を使っていますね。

    ━━ディングウォールは以前から気になっていたんですか?

     いや、あんまり知らなくて最近ですね。けっこうメタル・コア系の人たちが弾いているし、YouTubeで使っている人の動画を観たりして良さそうな音だなと思ったんです。あとはフレットが斜めになっているっていうのもすごく気になりましたね。それで最初はお試しっていうつもりで買ってみたんですよね。

    ━━実際、ファンド・フレットの弾き心地などはいかがでしたか? やっぱり慣れないっていう人と、意外にすぐ馴染んでしまう人がいるようですが。

     俺は後者ですね。ちょっと触っただけで、“全然こっちのほうがいいな”って、違和感なく弾けました。あとは音のバランスも、5弦から4弦、4弦から3弦って弾いたときの音量差がないし、音の明瞭度がはっきりしていていいなと思いました。

    ━━今回はスーパー・ローをあまり意識しない音像だということですが、「BLINDING HOPE」は、ベースがギターの下により潜っている感じなのに対して、「THE PALE」や「LAST SONG」などはギターの低音部にキレイにくっつく感じになっていると思います。これはチューニングもあるんですかね?

     そこも悩んだところで。「BLINDING HOPE」はMVも撮るからミックスも先に終わらせて、そこからほかのレコーディングをしていったんですね。ほかの曲は「BLINDING HOPE」からあまり音が離れないように作るんですけど、「BLINDING HOPE」は開放弦をデロデロ弾くことが多かったのに対して、ほかの曲はだいたいフレットを押さえているんです。それで多分、開放弦のほうが地鳴りっていうか下のほうに行って、ほかの曲はもうちょっと上のほうにいる。それもあって「BLINDING HOPE」に近づけようとしても、なかなか近寄らないし、たとえ機材を同じセッティングにしても同じ聴こえ方にはならないので、考え方を変えていきましたね。

    ━━「NOX」はミディアム・テンポのとぐろを巻くようなユニゾンのグルーヴが強靭でベースの音も重厚ですが、ギターが抜けていってベースのリフが引っ張っていくAメロはわりとドンシャリな音ですよね。ベース単体の音とギターと合わさった音のバランスがよくわかる部分だと思います。

     そうかもしれませんね。ただ「NOX」のAメロはミックス時にちょっとアタックを足してもらってはいます。ベースって“空いたスペースがベース”ってところがあるじゃないですか。でも、その最終形を考えながら音を作るのって難しいんですよね。ベース単体でいうと、ハイもけっこう出していて、ギターが入ったらギリギリ聴こえないくらいまでは出していますね。

    ━━収録曲でいうと、「ROLLIN’」はほかの曲とベースの立ち位置が違うように感じました。重低音ではなくミドルを重視した感じというか。

     確かにそうですね。実は「ROLLIN’」は今回一番苦労した曲なんですよ。今回は自宅で録ってリアンプもして、そのデータをエンジニアに送っていたんです。ミックスの期間が1週間くらいあったんですけど、一度この曲のベースのデータを送ったあと、エンジニアがほかの曲の作業をしている間にまたリアンプして何回も送ったりして。エンジニアとしては、“お前、どの音でやるんだよ?”って感じだったと思うんですけど(笑)。本当にギリギリまでリアンプし直していましたね。「BLINDING HOPE」の次の曲だからあまり差があってもなぁっていうのと、下に行こうとするとギターとすごく離れてしまう感じがあって、うまいことギターとドラムの間にいられなくて、すごく悩みました。

    ━━「ROLLIN’」は2番の前にはスラップのプレイがありますが、今作でのピック弾きと指弾きの割合は?

     「濁」と「MOMENT」は指で弾いています。そのほかはピックですね。「ROLLIN’」もスラップの部分以外はピックです。最近、いいピックに出会えたんですよ。MASTER 8のもの(INFINIX HARD POLISH with RUBBER GRIP TRIANGLE)なんですけど、音がはっきりしているというか、変な倍音が鳴っていないように感じます。特にローAチューニングだと倍音が出ると大変なので、なるべく素直に出るピックを探していたんですけど、葵(g)が“これいいよ”って教えてくれて。

    ━━厚みは?

     0.8mmですね。ライヴだと1.0mmなんですけどね。ライヴは立って弾くし、俺はベースの位置が低くて肩から下を使って弾くので、ちょっと硬くないと引っかかった感じがないというか、弾けている感覚がないんですね。柔らかいピックだとついリキんでしまうし。座って弾くときには手首で弾くから、ちょっと薄くても問題ないんですけど。

    ━━ライヴとレコーディングで弾き方が違うんですね。ほかにレコーディングならではということってありますか?

     俺、ヘッドフォンをして自分の音が聴こえる状態だと、けっこうハシッちゃうんですよ。だからレコーディングするときには、ベースをミュートして、ドラムだけをモニターできる状態で弾くと、けっこういつもうまくいくんです。自分の弾いている音がプレイバックされていない状態になるわけなんですけど、そのほうがしっかりとリズムにハマる。

    ━━それって、自分のフィジカル面に相当信頼がないと難しいと思います。

     ライヴでその状態だとさすがに厳しいですけど、レコーディングは家でじっくり録っているので、そのやり方で大丈夫でしたね。

    ━━今作をベーシスト視点で振り返ると?

     けっこう基本に立ち返ったベースっていう考え方ですかね。それは音作りも含めて。だから特に変わったことはしていないんですけど、逆にやっぱりそれが一番難しいんだなっていうのが改めてわかった作品です。

    REITA
    ◎Profile
    れいた●5月27日生まれ、神奈川県出身。中学時代にベースを始め、2002年にthe GazettEを結成する。インディーズでの精力的な活動で人気を博し、爆発的なセールスとライヴ動員を記録。2006年には日本武道館、2010年には東京ドームでの単独公演も成功に収め、2013年にはワールド・ツアーも成功させている。2021年5月26日に10thアルバム『MASS』をリリースした。。

    ◎Information
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