プランのご案内
  • PLAYER

    UP

    INTERVIEW- 鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行[THE CHOPPERS REVOLUTION]

    • Interview:Kengo Nakamura

    祝! 結成10周年!
    エンターテインメント・ベース・トリオの真骨頂

    鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行という、世代もジャンルも超えた3人によるベース・トリオ、THE CHOPPERS REVOLUTION。“チョパレボ”の愛称で親しまれてきた彼らが今年結成10周年を迎え、3rdアルバム『FAN×K(ファンク)』をリリースした。アルバム・タイトルどおりファンクやソウルの要素を押し出したサウンドは、前2作とはまた違った質感ながら、ライヴにおける3人の姿が鮮明に脳裏に浮かぶという意味では、より彼らの本質に近いものなのかもしれない。これまで、トリプル・ベースというマニアックになりがちな形態を、“バトル”よりも“アンサンブル”に焦点を当て、さらにエンターテインメント感を存分に盛り込むことで支持を拡大してきた彼らは、この10年をどう捉えているのか。3人にじっくりと話を聞いた。

    メンバーの関係性的にリスペクトしかないんです。(IKUO)

    ━━THE CHOPPERS REVOLUTION(以下、チョパレボ)は結成10周年を迎えましたね。当初はまさに異色の取り合わせだと思いましたが、これが“企画モノ”として終わらなかったのは、みなさんそれぞれに思いがあるからだと思います。

    村田 チョパレボを始めたときに、“10年”は考えていなかったですけど、継続させたいとは思っていたんです。ナルチョさんに最初にお願いするときにも、“「企画もの」じゃなくて「ユニット」としてやっていきたいんです”ということはお伝えしたんですよ。音楽の内容も、常にベース・バトルみたいなものじゃなくて、ちゃんとアンサンブルするもので、オリジナル曲の作品を作りたいですって。ベース・バトルだけなのであれば、それこそ企画ライヴでやればいいだけですしね。ただ、3枚もアルバムを出せて、ライヴの規模も内容も大きくなっていけて、こうやって続けられていることは本当に幸せです。

    鳴瀬 俺の場合は、“続けよう”とかっていうのは、あんまり考えてないな。実は、コロナ禍になったときって、俺がちょうど70で古希の記念ライヴも終わったりした頃だったんだけど、まわりのミュージシャンも含めてみんな動きが止まっていたじゃない? それで俺自身も、“この先、できるかな”っていう不安があったりもしたんだ。ちゃんとベースが弾けるかなんて、やってみないとわかんないしさ。そんななかでタカが、“来年10周年なんですよ”って力説して、絶対にレコードを作りたいと。俺が、“いや、俺はもういいよ。ほかの誰かを入れてやったほうがいいんじゃないか?”って言ったら、“いや、ダメです!”って(笑)。

    村田 それはそうでしょう(笑)。

    鳴瀬 そうやって言ってくれるってのは、自分の支えにもなっているよね。それにこのバンドって、続ける続けないってことよりも、もっと単純に、3人で集まっていると楽しいし、おもしろいんだよ。よく喋るヤツとスカしてるヤツと(笑)、俺みたいな調子こいたヤツがいい感じでやれていると思うし、ベースを弾いていて、ふたりのスタイルっていうのがすごく刺激になる。だから今になってみると、すごく大切なバンドだなって思うね。

    IKUO よくあるバンドだと、仲が悪くなったとか音楽性の不一致とか、何かしらの理由があって解散するんだと思うんですけど、チョパレボの場合は、そもそもメンバーの関係性的にリスペクトしかないので。辞める理由がないんですよね。だからダラダラ続いてる(笑)。

    鳴瀬 わはは、確かにな(笑)。

    IKUO 例えば僕が、“いや~、もうナルチョさんと一緒はキツいっすよ”とか“村田くんが喋りすぎてウザい”とか(笑)、それがストレスになって辞めるっていうのは、正当な理由としてあるんですけど、でも実際はリスペクトしかないから。みんながそれぞれの活動をしているなかで、一緒にレコーディングやライヴをする“チョパレボの期間”っていうのがあるわけなんですけど、そのときになると今でも、“ナルチョさんに会えるんだ!”って嬉しくなる。そういう感じなんです。

    村田 それ、わかる!

    IKUO そういうチャンスを自らなくす必要はないから、ある意味、深く考えてもいないし、気づいたら自然に10年が経っていたという。ただ、ペース的には10年で3枚って、どうなんでしょうね?

    鳴瀬 いや、3枚でよかったと思うな。いいペースだと思うよ。

    IKUO そうですよね。これが、音楽活動をチョパレボ1本でやっていたとしたら、“もっとリリースしましょうよ!”って言っていたと思うんですけど(笑)。僕の場合は、自分のバンドがあって、サポートの仕事があって、ライフワークのセッション活動があって、というなかのひとつにチョパレボがあるので、うまくバランスが取れるというか。そういう部分も、長く続いた理由にあるのかもしれないですね。

    『FAN×K』
    Mzes Recordz

    MZJZ-00003(豪華限定ボックス)
    MZJZ-00004(通常盤)

    ※10月12日(水)から全国流通
    左から、鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行。

    ━━結成当初と比べて、変わったところと変わらないところはありますか?

    IKUO 基本的には変わってないかな。

    鳴瀬 そうだな。

    村田 僕はあるかも。やっぱり最初は、僕がバンマスというか作品のプロデュースなんかをやらせてもらううえで、おふたりとも大先輩だし、すごく気をつかっていた部分はあったんです。もちろん、音を出すというところでは、どんな人間関係でもプロフェッショナルとして対等だっていう気持ちはありつつ。でも今は、いい意味で気楽に接しているというか(笑)。あとは、今作のレコーディングで、ついにナルチョさんの自宅に行かせてもらえて。

    IKUO そう、それはこの10年でも一番のトピックかも。

    村田 コロナ禍っていうこともあって、ナルチョさんに“家で録ればいいか?”って言われたんです。たぶんご本人は何気なくおっしゃったと思うんですけど、僕らからすると、“えっ!?”って。

    鳴瀬 ふたりは宅録に慣れているんだろうけど、俺はほとんどやったことないからさ。やっぱり、タカの曲をやるときにはタカが目の前にいて、IKUOの曲をやるときにはIKUOがいて指示をしてくれたら早いわけで、“ちょっと来てくれ”ってさ。ただ、考えてみればちょっとプレッシャーな部分はあったんだけど、まぁ、おもしろかったな。

    村田 僕らからすると、ナルチョさんのベースをたくさん見れたのが、ベース小僧的には一番のプレゼントでしたね。

    IKUO そう、あの歴史的ベースたちをね。それこそベース・マガジンでよく見ていたようなベースが転がっているんですよ。

    鳴瀬 お前らは楽しんでたからいいよな~。俺はプレッシャーだったよ、あれ。ちゃんと弾かなきゃいけないし、“もう1回弾いていい?”とか言えないし(笑)。IKUOは、“部屋が散らかっている”とか“モノが多い”とか文句言うしさ(笑)。

    ▼ 続きは次ページへ ▼