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    INTERVIEW – 瀧田イサム

    • Interview:Kengo Nakamura

    平たく言うと、
    ラブ・ソング集を作りたかったんです。

    ━━「SUMMER RENDEZ-VOUS」はグローヴァー・ワシントンJrの「JUST OF THE TWO OF US」を彷彿させる感じですね。

     そうなんですよね。やっぱりそうなっちゃいますよね(笑)。グローヴァー・ワシントンJrもそうですし、時代をちょっと最近にするとジャミロクワイというか、そういったところを狙いました。コード進行的にはよくあるものなのですが、そこにサックスが入るとやっぱりグローヴァー・ワシントンJrのイメージは強くなってしまうのかなと思います。

    ━━冒頭のギターのアルペジオに聴こえるフレーズはベースですか?

     そうです。あれはフレッテッドで弾いています。親指を入れた4フィンガーで、親指から薬指までで“タタタタ・タタタタ”っていう感じで弾いていますね。

    ━━6弦ベースならではのプレイと言えますか?

     音域的には4弦の高いところでもギリギリ弾けるとは思います。僕は6弦のハイC弦を使っていますけどね。響き的にはそちらのほうが繊細な音になるかな。今回はフレットレス、フレッテッド問わず、ずっとメロディを弾いているので、必ずといっていいほどハイC弦は使っていますね。

    ━━「LIME LIGHT SERENADE」のイントロのアルペジオもベースですか?

     そうです。これもギリギリ4弦で出るくらいの音域ですね。高い音がFの音なので、4弦ベースでも22フレットがあればできますけど、4弦だとかなり押さえづらいですね。

    ━━押さえ方もそうでしょうし、細い弦を使った発音のニュアンスも含めて、6弦ベースの有効的な活用法だと思います。

     この曲はイントロを先に作ってからサックスのメロディを書いていったんですよ。ちなみに「SUMMER RENDEZ-VOUS」も最初にベースがあって、それからメロディを作りましたね。

    ━━「KANON」のサビのサックス・メロディ裏のベースは、Bメロでは同じようなアプローチのフレーズをキーボードのベルの音が弾いていますね。

     “カノン”って、音楽で追いかけっこするメロディ、いわゆる輪唱のようなもののことを言うんですけど、同じような音価で追いかけたり、倍の尺で一緒になったり追いかけたりするんです。このサビで弾いたものは、サックス・メロディに対して倍の尺での追っかけフレーズ。Aメロの2番はモロにわかるようなカノン形式になっていて、Bメロではハモリ、サビではベースが倍の尺になった追っかけフレーズになっています。

    ━━今回、あからさまな“速弾きテクニック”というのは抑えられているとはいえ、「LOVE BASE」のベース・ソロの後半部分では6連の速弾きがありますね。

     あそこは普通に2フィンガーでペンタトニックを弾いてます。弦は5弦に渡って上っていっていますけどね。フレットレスだと少しやりにくいけど、6度で開いたシーケンス・フレーズみたいな感じです。R&Bな雰囲気でペンタトニックでシンプルに、という感じを狙いました。

    ━━ペンタトニックと言うところで、スタンリー・クラーク感もありますよね?

     そうかもしれないですね。いわゆる黒人さんの持ってるペンタトニック感といいますか、そういうところにつながってくるかもしれない。ちなみに今回のアルバムのなかで、この「LOVE BASE」が一番最初にできた曲なんです。今作につながる最初の曲ですね。

    ━━ちなみに、『LOVE BASE』のタイトルの真意は?

     “BASS”と“BASE”のダブル・ミーニングなんですけど、“愛こそが基本だよね”っていう風に捉えてもらってもいいですね。平たく言うと、ラブ・ソング集を作りたかったんですよね。

    ━━さて、今後の展望としてはどのようなことを考えていますか?

     10月中頃から名古屋、大阪、福島、東京の4ヵ所でライヴをやろうと思っています。今回のようなこういう雰囲気の音楽だからこそ、着席で距離を取りながらライヴができるんじゃないかなと。場所はライヴハウスですけど、ライヴ・バー的な雰囲気で、大人しい感じの曲をお酒でも飲みながら聴いていただくようなライヴをやりたいなと思っています。ほかにはYouTubeでの配信もしているんですけど、今年は『LOVE BASE』の制作にシフトしたのでここ数ヵ月間は動画を上げていなくて。でもライヴが終わったら『LOVE BASE』の楽曲のプレイ動画なんかも上げられたらなと思っています。あとは奏法解説とかも動画だけじゃなくて譜面を作って、欲しい人に渡せるような試みもしてみたいですね。

    【お知らせ】
    10月17日発売のベース・マガジン2020年11月号 AUTUMUNにも、瀧田のインタビューを掲載! BM webとは違った内容でお届けします!

    ◎Profile
    たきたいさむ●8月8日生まれ、神奈川県出身。中学の頃にベースを始め数々のセッションやバンド活動を行なう。専門学校時代に6弦ベースを手にし、1995年には六三四Musashi、2002年にはアーク・ストームに加入し、テクニカルかつ流麗なプレイで辣腕を振るう。並行してGRANRODEOを始めとしたサポート・ワークでも精力的に活動している。2015年12月にリリースした『Rising Moon』に続く2ndソロ・アルバム『LOVE BASE』を2020年10月に発表した。

    ◎Information
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