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Interview – 瀧田イサム

  • Interview:Kengo Nakamura

フレットレスで奏でる癒しの愛の讃歌

6弦ベースを駆使したロックかつテクニカルなプレイ・スタイルで知られる瀧田イサム。5年ぶりとなったソロ・アルバム『LOVE BASE』は、そんな彼のイメージからはちょっと離れた、ジャズやフュージョン、R&Bの要素を前面に押し出した、リラックス感のある癒しのサウンドとなった。フレットレス・ベースをメインに据え、優美に歌い上げる姿は彼の“アナザー・サイド”ではありつつも、また違った角度からの確かなベーシスト/ミュージシャンとしての実力を浮き上がらせている。

テクニックを見せるためというよりは、
弾いていて自然と出てきたという感じですね。

━━5年ぶりのソロ・アルバム『LOVE BASE』は、様式美メタルな前作『Rising Moon』とは逆の、ジャズやR&Bを中心とした曲調ですが、瀧田さんのジャズやR&Bのルーツはどういったところになるんですか?

 僕はフュージョン・ブーム育ちなんです。日本で言うとカシオペア、プリズム、クロスウインドとか。海外だと花形ベーシストはジャコ・パストリアス、スタンリー・クラークなどほとんどフュージョン系でしたし、その流れをさかのぼってジャズを聴くという感じでした。ジャズはジャズでも、ドイツのECMレコードのパット・メセニーやチック・コリアといった、ジャズとフュージョンの中間のような爽やかなヨーロピアン・ジャズに惹かれた時期があって、ジャズ喫茶でセッションしていたこともありましたね。それから僕はミューズ音楽院に入学するんですが、当時ミューズ音楽院にはジャズ科とロック科があって、当然ジャズ科に行きました。そこでジャズ理論とかを勉強しましたね。音楽遍歴で言うと、楽器を始めたての中高生の頃にヘヴィ・メタルやロックをやって、その後ジャズ・フュージョンに憧れてハマって、その後自分でバンドを組んだときにはジャズやフュージョンの要素も自分のなかに備わっていたけど、またロックがやりたいなと思ってヘヴィ・メタルやロックをやり始めた感じです。ジャズ・フュージョンに浸かった期間は5年あるかないかくらいなんですけど、でもその間はどっぷりハマっていましたね。

━━「CARNAVAL」はラテンなバッキングのベース・ラインになっていて、ベース・ソロ前やエンディングのリズムは他楽器との超絶ユニゾンでチック・コリア的な感じもします。

  そうですね。オマージュというか、チック・コリアの大ユニゾンみたいなテイストを絡めたいなと思いました。

━━ベース・ソロもスパニッシュな音使いですね。

 ちょっと様式美メタルっぽい匂いもありますよね。スパニッシュなのかヨーロピアンのメタルなのか……まぁ紙一重な部分もあるんです(笑)。

『LOVE BASE』
R.M.S Records

RMSR-001

10月4日より、各配信サイトにて配信中。
CDの一般発売は10月25日より。

━━今回のアルバムでは、サックスとフレットレス・ベースによるメロディの絡みという部分もポイントとなっていますが、この「CARNAVAL」と「FUNKY JUGGLER」ではベースはバッキングに回り、メインのメロディはギターの飯塚(昌明)さんに任せています。

 そうですね。「FUNKY JUGGLER」のBメロはサックスとギターの両方が入ってどっちらもメインになっていて、アルバムの最後のほうの曲ということでちょっと派手な感じにしていますが、ベースは絡んでこないですし。実はこの「CARNAVAL」の作曲は共作という形なんですけど、クレジットに載っている高山さんという方は何十年も前に亡くなっているんですよ。昔、僕はレッドっていうバンドを横須賀でやっていて、そのときに何回かやったことのある曲なんです。譜面も音源も残っていなかったんですけど、基本のメロディやAメロの部分を思い出して書きつつ、イントロやユニゾンの部分は新たに付け加えました。コード進行ももしかしたら当時とは違うかもしれない。

━━「FUNKY JUGGLER」はウェザー・リポートを彷彿させる楽曲ですね。

 そうです。これは“Dedicated to ウェザー・リポート”と言ってもいいくらいです。この曲は僕がミューズ音楽院に入学したくらいの二十歳そこそこのときに書いた曲なんですよ。先ほどの「CARNAVAL」も同じくらいの時期に書かれているので、チック・コリアっぽい曲と、ウェザー・リポートっぽい曲っていう当時の時代が反映された楽曲になっていますね。

━━「FUNKY JUGGLER」はサックス・メロのうしろのバッキングで細かい6連符連打の部分があり、アクセントになっていますね。

 これは3フィンガーを使って弾いています。「CARNAVAL」のベース・ソロでも3フィンガーを使っているかな。全体的にはシンプルなアルバムですけど、こういうテクニカルなところもありつつ。でもテクニックを見せるためというよりは、弾いていて自然と出てきたという感じですね。

━━ウェザー・リポートのオマージュということは、やはりベースはジャコ・パストリアスになりますが、ジャコのテクニカルな面も意識したとか?

 うーん、3フィンガーは使いましたけど、ジャコは3フィンガーをしないですしね(笑)。でもバッキングのベースなどのラインは、もろにジャコ・フレーズっぽい感じにはなっていますね。

━━「MAGIC CARPET」のベース・ソロは、短いながら詰め込んだ16分音符の感じのフレーズで、少しジャコ的な匂いもします。

 あそこはドリアン・スケールでモードっぽい、並行した2個のm7とm7の間を行き来するコード進行で、そこのペンタトニック+ドリアン・スケールの音のチョイスとかがジャコっぽさになっているのかなと思います。

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