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    SPECIAL TALK SESSION – 零夜(ザアザア ) × 朋(THE MADNA)

    • Interview:Kengo Nakamura

    ベースの練習自体を、
    楽しんでできているのかどうかを聞きたい。━━零夜

    ━━おふたりはともにメイン・ベースが5弦ですね。

    零夜 最初はもちろん4弦から入ったんですけど、ザアザアを始めるにあたって、ヘヴィな楽曲もやりたいし、キレイな歌モノもやりたいねっていうことで、いろんな楽曲に対応できるように5弦ベースにしたんです。

     自分も最初は4弦だったんですけど、まだ全然知識がないなかでいろんな楽曲をやろうとしたら、明らかに音が出ないなっていう部分があったんです。チューニングを下げてみたら弦がダルンダルンになっちゃうし、“こんな低い音は出ないけどどうなってるの”って。それで楽器屋に行ったら弦が5本あるのを見て、“あ、これか”って。

    ━━メイン・ベースは?

    零夜 メキシコ製のフェンダーのジャズ・ベース(Player Jazz Bass V)ですね。単純に楽器屋さんで目についたものを買ってみたんですけど、めちゃくちゃいいなって。もともと僕はパッシヴのベースって使っていなかったんです。アクティヴのベースばかり使っていて、なんとなくのイメージで、特に5弦とかのローを出すならアクティヴだろうっていう考えがあったんですけど、このベースを弾くようになって、自分の好みってパッシヴなんだっていうのがわかりました。

     E-IIのBTL-5 MSです。もともとはESPのAMAZEを使っていて、5弦をドロップしてAで鳴らしていたんですけど、1〜4弦と5弦のテンション感の差や、5弦に合わせて歪みを作ったときの歪みの乗り方がちょっと気になっていて。ちょうどその頃、ジェントが流行り出してファンド・フレットのギターやベースを目にすることも多くなって、ちょっと弾いてみたいなって思っていたら、E-IIからこのファンド・フレットのモデルが出たんです。それでESPの担当の方に相談したら貸していただけることになって。

    ━━なるほど。ベースに関する好みは真逆ですね。そのほかの機材はどんなものを?

    零夜 アンプはダークグラスで、ヘッドはMicroTubes 900。足下のプリアンプもダークグラスのB7K Ultraを使っています。ヘッドはまったく歪ませずにクリーン・チャンネルだけを使っていて、歪みはB7K Ultraで作っているんですけど、輪郭を失わずにいい感じの歪みが出るのがダークグラスのいいところだと思っていて。今の自分のサウンドの決め手になっていますね。ほかには、EBSのMultiComp(コンプレッサー)とボスのベース・コーラス、あとはMXRの10バンドのEQも使っています。

     アンプ・ヘッドはピーヴィーmini MEGA 1000で、キャビネットはトレース・エリオットの組み合わせですね。メインの音はほとんどラインで作り込んでいて、プリアンプはダークグラスのB7Kで、その前にボスのEQ-200(イコライザー)をかましていて、曲によってボスのODB-3(オーバードライブ)に歪みを切り替えたりはします。あとは空間系でEBSのUniChorus(コーラス)とOctaBass(オクターバー)が飛び道具としてある感じですね。

    ━━ふたりともコーラスが入っているんですね。界隈でコーラスが流行っているんですか?

    零夜 いや、流行ってはいないと思います(笑)。僕はもともと、足下にエフェクターを並べて細かく切り替えたりっていうのは好きではなかったんです。でも、ザアザアの曲でフレーズを弾いているときに、“ここはもっと雰囲気が出るようになるんじゃないかな”って思うようになって、頭のなかに具体的な音が流れるようになったんです。それがコーラスだったんですよ。そこからエフェクターへの興味も出てきましたね。

     「graffiti days.」の2Aの部分はコーラスを結構キツくかけています。レコーディングはプラグインで作りましたけどね。自分の場合も、本当に好みだけで言うとそんなにエフェクティブな音色が特別好きなわけではないんです。ただ、自分の見た目とキャラクターを合わせるのに、ちょっと飛び道具的な音を使ってみたりはしていて。ステージでの自分を客観的に想像して、“ここで朋が変な音を出したらカッコいいな”って思うところに使ったり(笑)。

    THE MADNA – 「graffiti days.」(official video)

    ━━さて、付き合いも長いおふたりですが、改めてお互いにベーシストとして聞きたいことってありますか?

     え〜……なんだろう……意外に聞いたことなかったかなって思うのは、“普段音楽を聴くときに、やっぱりベースを聴いちゃうの?”ってことかな。バンドものの音楽に対して、自分は全部バンドマン目線というか、分析するような感じで聴いてしまうので、特にバンドが忙しいときには、なるべくヒップホップを聴くようにしているんです。脳が休まるときがなくなっちゃうんで(笑)。

    零夜 なるほどね。でも、やっぱり僕もベースを聴いちゃいますね。自分のなかでは意識していなくても、どうしても耳がベースのフレーズを追っちゃうというか。それで何か引っかかるフレーズがあったら、“あれ、ここはどうなっているのかな?”って考えだしたら止まらなくなったり。でも、そういうのって、ベーシストはみんなそうなんじゃないかなって思ってたんですけど(笑)。

     レコーディング前とかに、そういう引っかかるフレーズとかが見つかっちゃうと、それに引っ張られちゃったりもして(笑)。いいフレーズを思いついたなって思っても、“あ、これ、この間聴いたやつか”って。

    零夜 それ、めっちゃあるよね。

     だから、あえて遠ざけてみたいなことがあるんですよね。

    ━━あるあるですね(笑)。零夜さんが朋さんに聞きたいことは?

    零夜 そうですね……ベースの練習自体を、楽しんでできているのかどうかを聞きたいです。

    ━━すごい質問(笑)。朋さん、いかがでしょう?

     楽しい練習と楽しくない練習がありますよね。“あのバンドの新曲が気になっていたから、ちょっとフレーズを追ってみよう”とかは楽しく自発的にやれるんですけど、細かい運指練習みたいなものは極力やりたくないから、アニメとかを観ながら、そのBGMのBPMに合わせてやったりしてますね。

    ━━基礎練習は飽きないためにもそういった工夫も必要ですよね。

     そうですね。基礎練は“よし、やろう”と思って向かい合うのはちょっとイヤなので。

    零夜 その基礎練習というか、左手の指をバラバラにキレイに動かす練習とかは、僕も一時期めちゃめちゃやっていたんですけど、やっぱり苦痛で(笑)。ああいう地味な練習が一番キツイじゃないですか。みんなはそういうのをどういう風に楽しんでやっているのかなって思ったんですけど、なるほどなぁ。それは確かにそうだね。

    ━━それでは最後に、それぞれベーシストとして、バンドとしての今後の展望を教えてください。

     今は、“こんなベーシストになりたい”っていう理想像みたいなものはあんまり持っていなくて、80歳、90歳になってもベースを楽しんでいるベーシストでありたいとは思っています。バンドとしては、本当に生まれたてのバンドなんですけど、いろんなタイプの曲があって、どんな人でも楽しめたり気に入ってくれる曲やライヴをやっているという自負はあるので、ぜひ気軽に触れてもらいたいし、友達にも薦めてほしいなと思います。

    零夜 自分が好きだったベーシストって、プレイはもちろんなんですけど、存在感があるというか、そこにいるだけでカッコいいという人なので、自分もそういう風になれたらいいなと思っていますね。バンドとしては、楽曲も歌詞も、こんなにネガティブさを前面に押し出しているバンドもそうないんじゃないかなと思うので、そういう人たちが聴いて共感してくれたら、そしてそれで大きくなっていけたらいいなと思います。

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