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SPECIAL TALK SESSION – 零夜(ザアザア ) × 朋(THE MADNA)

  • Interview:Kengo Nakamura

ヴィジュアル系シーンを席巻するレーベルメイト対談

ギターロックを主軸にしたバンド・サウンドと暗くネガティブな世界観で、ヴィジュアル・シーンにおいて“中毒者”を増やし続ける4人組バンド、ザアザア。一方、昨年12月に始動したばかりながら、そのジャンルレスなサウンドとインパクトのあるヴィジュアルで話題沸騰中のニュー・バンド、THE MADNA(マドンナ)。ヴィジュアル系シーンにおいて注目を集める両バンドのベーシストである零夜と朋は、同じレーベルに所属しているということもあり、公私に渡って親交の深い関係であるという。今年2月にザアザアが新シングル『毒チョコ』を、そして3月にTHE MADNAが2nd EP『Ugly heaven』をリリースというタイミングで、ふたりの対談が実現。似ているようで違うというベーシストとしてのお互いの見解や、それぞれの最新作などについて、じっくりと話してもらった。

ザアザア
左から、零夜、亞ん(d)、一葵(vo)、春芽(g)。
THE MADNA
左から、朋、涼太(vo)、理緒(d)、太嘉志(g)。

僕のほうが精神論的なものがあるのかなと思いますね。 ━━零夜

━━おふたりはレーベルメイトとして付き合いがあるということですが、お互いのベーシストとしての第一印象はどんなものでしたか?

零夜 朋くんは、最初に観たときから衣装やメイクがすごく奇抜で。めちゃくちゃ独特な世界観を持っている人だなっていう印象でした。でもバンドのなかでは、派手というよりはベーシストとしてしっかり支えているようなイメージがありましたね。 

 初めてちゃんとザアザアのライヴを観たのが6年前くらいだと思うんですけど、そのくらいの時期って、ヴィジュアル系でもわりとテクニカルというか、すごく細かいフレーズを弾く人が多くなったり、ロータリー奏法みたいな速いフレーズが流行った時期だったんです。そんななかで零夜さんは、ベースの位置を下げて構えて、ピックでガリガリいくパンキッシュなスタイルだったので、それが逆に新鮮で、ものすごく印象に残っていますね。

━━プレイ的に派手なものよりはバンドを支えるものという意味では、お互いに共通するところがあると。

 そうですね。似ているところは多いんですけど、違うところを挙げるとするなら、根っからのパンクっぽさというか男らしさを持っているのは零夜さんかな。自分は、けっこう男らしく見せようとはしているんですけど、意外と根が几帳面というか(笑)。音もステージングも、本当はちょっとキチキチやりたい人なので。特にピッキングにはその性格が出ていて、自分はあんまり大振りもしないんです。男らしく見せてはいるけど、自分のほうが実はちょっと乙女心を持っているというか(笑)。

━━ルックス的には逆にも感じますけど(笑)。

零夜 いや、でも、そのとおりですね(笑)。朋くんはベース・プレイヤーとして、すごく真面目にベースに取り組んでいるイメージなんですよ。ほかの楽器との兼ね合いやフレーズの足し算引き算もすごく計算している気がして。それがすごくうまいなと思います。僕はどっちかというと、特にライヴとかになると、もう一発ドーンと気持ちを入れて弾けばいいみたいな感じで、僕のほうが精神論的なものがあるのかなと思いますね。

━━ちなみに、それぞれのベーシストとしてのルーツは?

 これはベースだけじゃないんですけど、最初に影響を受けたのはニルヴァーナでしたね。僕はもともとヒップホップが好きで、ヒップホップからの流れでバンドを聴くようになったので、バンドものでも4小節くらいでフレーズがループしたりするものがすごく心地よかったんです。それもあってグランジ系のバンドは好きで、なかでもニルヴァーナが自分のなかでは一番しっくりきたベースでしたね。

━━そこから、どうやってヴィジュアル系に?

 バンドに興味を持ち始めたときに、音楽好きな父親から、“こういうのも聴いてみたら?”って渡されたCDがX JAPANだったんです。あとはその頃って、事務所の先輩であるナイトメアさんがアニメの曲をやっていたり、ヴィジュアル系のバンドマンがけっこうメディアに出ていた時期で、そこから徐々にヴィジュアル系を好きになっていったという感じですね。

━━零夜さんのルーツは?

零夜 ベースを始めてから一番コピーしたのはLUNA SEAなので、一番影響を受けたベーシストと言えばJさんですね。実はベースの前にギターをやっていたんですけど、挫折して。ベースで何から始めようかなと思ったときに、LUNA SEAはわりとシンプルなフレーズもあって、自分的に弾きやすいなと思ったんです。

━━ちなみに、零夜さんは朋さんのことをDADAROMA(編注:朋の前バンドで、DADAROMAも同事務所所属だった)時代から知っていますが、THE MADNAになってからの朋さんにはどんなことを感じますか?

零夜 朋くんの存在感自体は変わらないんですけど、ベーシストとして音作りなんかはけっこう変えているなっていうのは思いましたね。DADAROMAのときよりもベースが前にドンと出てくる感じというか。ほかの楽器との兼ね合いもあると思うんですけど、ベースが一番前に来ているなって思うくらい主張してくる。そういう意味で、一音一音大事にしているんだろうなって思いました。

 ありがとうございます(笑)。おっしゃるとおりで、やっぱりドラマーが変わったことによっての影響はすごくあると思います。DADAROMAはパワー系のドラムだったんですけど、THE MADNAはけっこうタイトなタイプのドラマーなので、特にピッキングはかなり変わりました。アタック感も含めて、ベースで疾走感を出したりとか、そういう部分での弾き方はけっこう変わった部分がありますね。

零夜(ザアザア )
Profile
れいや●6月8日生まれ、高知県出身。実弟である一葵(vo)とともにいくつかのバンドを経験後、セッション・バンドとしての活動を経て、2014年に大阪にてザアザアを結成する。積極的な作品リリースとライヴ活動を展開し、ギターロックを基盤とした幅広い楽曲とキャッチーなメロディ、暗さとネガティブさを含んだ歌詞などで人気を集める。2021年7月にはTV番組『有吉反省会』へも出演し話題となる。最新作は2022年2月に発表されたシングル『毒チョコ』で、カップリング曲の曲調に合わせて、ミルク盤、ホワイト盤、ビター盤の3タイプが発売されている。
Official HP
朋(THE MADNA)
Profile
とも●1月30日生まれ。いくつかのバンドを経て2015年にDADAROMAを結成。インパクトのあるヴィジュアル・イメージとヘヴィなメタル・サウンドで人気を博し、5枚のフル・アルバムなどをリリースするが、2020年5月に活動を休止する。その後、DADAROMAのギタリストであった太嘉志とともにTHE MADNAを結成。2021年12月22日に1st EP『Beautiful inferno』を発表し、12月26日に新宿BLAZEにて初ライヴを行なう。2022年3月9日には早くも2nd EP『Ugly heaven』をリリースした。
Official HP

━━朋さんはザアザアのベース・ラインで印象に残っているものというと?

 「どす黒い」ですね。イントロがハイ・ポジションで“テレテレテレテレ、テレテレテレテレ〜”ってすごく細かいフレーズを弾いていて……すごくいい意味で馬鹿げているフレーズだなって(笑)。

零夜 ちょっと!(笑)

━━あれはインパクトありますよね(笑)。

 いい意味で、“マジか?!”って思ったんですよ。あのフレーズがすごく好きで、「どす黒い」が出たくらいの頃は、楽屋でめっちゃコピーしてました(笑)。自分はあれをやる勇気はないなって思うし、零夜さんはベースで突拍子もないことをやりますよね。俺はけっこう引っ込み思案なので。

━━ヴィジュアルのイメージと違いすぎます(笑)。

 わはは(笑)。“ここでこんなことをしたら、ほかのメンバーの邪魔になっちゃうかな?”っていうのをすごく気にしちゃうんです。でも、零夜さん、というかザアザアというバンドは各々の主張があって、それがカッコいいんですよね。俺のなかで、その最たるものが「どす黒い」だったんです。

ザアザア 「どす黒い」 MusicVideo SPOT
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