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INTERVIEW − 圭吾[Novelbright]

  • Interview:Kengo Nakamura

好きにプレイをさせてくれるバンドにいられる。
それも幸せなことだと思っていて。

━━今作での使用機材を教えてください。

 ベースはサドウスキーのメトロラインMV4です。以前はワーウィックを使っていたんですけど、これはUVERworldが好きだったから、“信人さんがワーウィックを使っていたからワーウィックでいいかな”っていう感じで買ったものだったんです。でも、実際に音がどうかを考えたときに、もっと自分の好みのものがあるなと思って、いろいろと探しまくった結果、サドウスキーにたどり着きました。サドウスキーはゴリっとしているし、バキバキしていてラインが目立ちますよね。せっかくベースが派手に動くんだったら、やっぱり聴こえないと意味がないし、わかりやすく目立つためにはこの音かなっていう印象だったんです。アンプは曲によってまちまちなんですけど、今のところ自分のアンプとしてはアギュラーが一番好きですね。足下はMXRのbass d.i.+(プリアンプ)と、KATANASOUNDのBlue Stripe “青線”(コンプ)の組み合わせですね。『WONDERLAND』のときにはサンズアンプを使っていたんですけど、IKUOさんにMXRのほうが合うんじゃないかってアドバイスをいただいて、試してみたら確かにMXRのほうが自分に合っていましたね。コンプは今はボスのBC-1Xを使っています。

━━圭吾さんは元ドラマーということでリズム感は問題ないとしても、ドラムって音の長さをそんなに意識しない楽器だと思うんです。その点、ベースは音の長さがポイントになる楽器ですよね。その意味で、バラードの「bedroom」は、2番のAメロやBメロでは動くところとスタッカートや休符などで音を切る部分のコントラストでグルーヴを作っているのも巧みだなと思いました。

 そうなんですよね。音の長さって大事ですよね。ドラマーはやっぱりそこはベーシストほどは意識していないと思うので。でもこれも、スタジオ・アンサンブルというか、みんなで音を出していくなかでほかの人の音も聴きながら、自分に違和感がないかどうかを考えて、どれがベストなのかを確かめていったというか。Novelbrightに加入して、僕が初めてベースを弾くし、そこの耳も鍛えなきゃいけないってことで、みんなでスタジオでたくさん練習したんです。だからメンバーとのアンサンブルのなかで鍛えていったという感じですね。「bedroom」も、自分の感覚で気持ちのいいところを探して弾いたというか、スタジオで弾いて気持ちよければOKだし、頭で考えるのではなくて、本当に感覚的なものでやっていますね。

━━本作でベース的な推し曲をあげるとすると?

 「ハミングバード」はわりとシンプルなんですけど、めっちゃ伸びのあるフレーズで、曲をすごく立てられたなって思っています。逆に「フェアリーテール」は派手なプレイばかりで、“ベースのコピーをしてね”くらいの気持ちで作ったので、自分的には満足していますね。

「ハミングバード」MV

━━派手なプレイをまず推すんじゃなくて、シンプルめな「ハミングバード」を推すところが、またひとつベーシストとして成長した感じがしますね。

 主張するギラギラ感みたいなものもカッコいいですけど、やっぱり曲によってメリハリは必要だなと思うので。「ハミングバード」みたいな曲で、ちゃんとバンドを立てられるベースを弾いていること自体が渋いなって思えたりもするんですよね。最近はそういう考えも増えてきた感じです。

━━ベース歴2年半とは思えないくらい成熟していますね。その視点というのは、ベースが好きで好きで始めたものじゃないというか、あくまでもバンド・サウンドのなかのひとつとしてベースを捉えているからですかね?

 それはすごく大きいと思います。僕は、めっちゃベースに固執したミュージシャンではないので、わりと広い視野で見れているのかなとは思います。派手なベースっていうのも“僕の役割”っていう感覚で作っていますしね。僕自身が“こうしたい”っていうよりは、バンドとしてのポジショニングなんです。

━━ベーシストのエゴとしての派手なプレイではなく、曲に必要なベース・プレイが派手なものであると。

 そうですね。そうやって好きにプレイをさせてくれるバンドにいられるっていうのも幸せなことだと思っていて。やっぱりベースが好き放題にできるようなバンドばかりじゃないですもんね。

━━さて、現在緊急事態宣言下で先行きは不透明ですが、5月からはZeppを中心にしたツアーがありつつ、7月11日には大阪城ホール公演が決まっていますね。

 今までのライヴが、達成感みたいなものはいつもあるんですけど、悔しさを感じなかったことがないんです。自分のベースに100%納得がいったというか、完璧にできたなっていう経験があまりなくて。ベーシストとして、サウンド面では自分のポジションってわかっているんですけど、ライヴをするうえでの自分のスタイルって、まだ正直模索中なんです。もちろんずっと完成はしないものだとは思うんですけど、今回のツアーで現時点でのスタイルを完成させたいなと思っています。

━━今後、どんなベーシストになっていきたいですか?

 僕はベースを23歳で始めたんです。23からベースを始めてちゃんとバンドをやろうって思う人って、やっぱりあんまりいないと思うんですね。僕としては、“始めるのに遅いことはないよ”っていうのが、僕のベース人生の目標というか、それをベースを弾きながら体現していきたいなって思っているので、一歩踏み出すパワーだったり行動力を与えられるベーシストになりたいなと思っています。

圭吾
◎Profile
けいご●1996年1月4日生まれ、岐阜県出身。中学2年でドラムを始め、2019年にNovelbrightに加入したのをきっかけにベースを手にする。Novelbrightは2013年に結成され、2019年1月に現体制となる。同年7月に開催した“どチクショー路上ライブTOUR”がSNS・口コミで大拡散し、瞬く間にその名を全国へと広める。インディーズ・アーティスト史上初のレコード協会ストリーミング認定(ゴールド)されるなど大躍進を続け、2020年8月17日にデジタル・リリースの「Sunny drop 」でメジャー・デビューする。2021年4月28日にメジャー1stアルバム『開幕宣言』をリリースし、5月からはZeppを中心にした全国ツアー、7月11日には大阪城ホール単独公演が控えている。

◎Information
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