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INTERVIEW − 圭吾[Novelbright]

  • Interview:Kengo Nakamura

ベースのフレーズ自体は動いていても、ほかの楽器を邪魔しないバランス。

 「Sunny drop」Official Live Video from Shinkiba Studio Coast

━━昨年8月に発表したメジャー・デビュー・デジタル・ソング「Sunny drop」は亀田誠治さんがプロデュースでした。亀田さんとはどんなやりとりを?

 最初にベースのフレーズを提出したときに、“ここはちゃんと歌ったほうがいい”とか“ここは逆にシンプルにしよう”とか、いろいろなアドバイスをいただいたんです。それがすごく刺激的でした。ただ、亀田さんってやっぱりレジェンドだし、ベース歴1年半の僕が何かお話しをするっていうのは恐れ多すぎて……全然お話できなかったので、ひと回り成長してからまたお会いしたいなって思っています。

━━メジャー1stアルバムとなる『開幕宣言』ではベーステックとしてIKUOさんが入っているそうですが、このきっかけは?

 バンドのスタイルを考えたときに、ギターをすごく押し出していくというよりは、同期もしっかりと鳴らしてベースがちゃんと動くバンドなのかなって思い始めたんです。そういう意味で、サウンド面でのベースの存在感がめっちゃ大事だし、“存在感”といえばIKUOさんじゃないかなと思って(笑)。実はドラムのネギ君はBULL ZIECHEN 88のライヴにもよく行っていたくらいのファンで、僕が提案したときにも、“IKUOさんと仕事ができるならめっちゃいいね”ってあと押ししてくれたんです。

━━IKUOさんとの作業で一番学びが大きかったことは?

 IKUOさんとは、フレーズを作る段階から相談させてもらったんですけど、やっぱり動きがすごく派手だし、“ベースでここまで動いていいんだ”っていうのはありましたね。しかも差し引きというか、ベースのフレーズ自体は動いていても、ほかの楽器を邪魔しないバランスっていうのがすごくて。バンド・サウンドでバランスとしてベースが“引く”ときは、僕はやっぱりちゃんとルートを押さえなきゃいけないのかなって思っていたんですけど、IKUOさんと作っていくなかで、ベースが動きながらでもほかのパートに譲るフレーズってあるんだなっていうのがわかってきて。

━━『開幕宣言』の収録曲には、まさにIKUOさん譲りの動きのある派手なベースが多いですが、ほかのメンバーもそれを許容してくれているということですよね?

 そうですね。スタイルを話し合ったときに、“ウチはベースを光らせよう”っていうスタンスになっていて。アレンジ的に、ベースを立てるために、ほかのメンバーが引くっていうところはけっこう多いですね。優先順位的に、ギターを出すっていうよりは、リズムのほうが優先順位は高い気がします。

━━「フェアリーテール」の2Aにはベースでのカウンター・メロディが入っていたりしますが、こういうところですよね。

 暗黙の了解で、“ここは圭吾君やるんじゃない?”みたいな感じで引いているんですよ、みんな(笑)。なので、僕もデモが送られてきたときに、“ここはもうやってくれってことかな”って、あんまり遠慮をするっていうことはないですね。

「フェアリーテール」MV

━━派手なフレージングとともに、グリス感のあるうねりのあるニュアンスも圭吾さんのプレイの特徴だと思います。例えば「開幕宣言」1番のAメロのふた回し目で横移動でうねりを出していく部分は、グリスで音の途切れないなめらかな感じが見事です。

 それはめっちゃ意識しています。それこそ最初の頃、ルートしか弾けなかった頃って、どうやってニュアンスを出すかっていったら、もうグリスするしかないんですよね。それが今の自分のプレイにもすごく生きていて。ニュアンスの出し方みたいなものをその当時から意識していますし、“生きている感じ”を出そうと思っていますね。

━━「あなたを求めただけなのに」のギター・ソロ後の落ちサビのところで、4分音符で音階が上がるところも大きなグリスを交えて弾いていて、このグリスがあるのとないのとでは、印象が全然違いますよね。

 そうなんですよね。グリスを入れずに弾いてしまうと、打ち込みっぽくなっちゃうというか。特にこの曲では、ベースがうねっている感じを出したかったんです。グリスを絡めて弾くっていうのは、もう僕の手グセになっていますね。

━━「あなたを求めただけなのに」ではイントロ終わりや1Bにスラップのプル的なアタックの強い音が一瞬入っていますね?

 これはスラップで弾いています。

━━指弾きとスラップの切り替えがかなり速いし大変そうですね。

 大変です(笑)。たしか、「あなたを求めただけなのに」が初スラップなんですよ。それまでスラップをしたことがなかったんですけど、IKUOさんに教えていただくようになってからスラップが視野に入ってきたんです。最初はわけがわからないくらい難しくて(笑)。でも、なんとか最近では切り替えもスムーズにできるようになってきたんですけど、当初はヒイヒイ言いながら練習していました。

「あなたを求めただけなのに」MV

━━ほかにも、「青春旗」では2Aの折り返しの前に急にスラップのフレーズが入っていたり、「PANDORA」も間奏でちょっとスラップが入っていたり、指弾きのなかにアクセント的にスラップを入れているのが玄人なアプローチだなと。

 そうかもしれないですね。“スラップ・パートです!”って感じではなくて、味付けというかアクセントでパッと入れています。「青春旗」は場面の切り替わりでビートもけっこう変わる感じのところなので、あそこでアクセントになるようなプレイがあるといいなって。いろいろとフレーズを考えて、IKUOさんとも相談したんですけど、テンポも速いし難易度は高いですね。スラップに関しては、IKUOさんの影響でカッコいいと思うようになったし、「さよならインベーダー」は平歌の部分でもスラップのフレーズを入れたりしていて、今後もいいバランスで入れていけたらいいなと思っています。

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