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    INTERVIEW – Ni〜ya[ナイトメア ]

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:Takehiro Suganuma

    艶やかに彩る、駆け抜ける低音美学

    ヴィジュアル・シーンのトップを走り続けるナイトメアが、実に7年ぶりとなる11th作『NOX:LUX』を発表した。2016年から4年間におよぶ活動休止期間を経て生み落とされた今作からは、より多彩さを増したサウンドとともに彼らの強い意志を感じ取ることができる。ベーシストのNi〜yaは2018年にソロ名義での活動をスタートさせ、さらに研ぎ澄まされたベース・プレイを提示。結成22年を迎えた今なおその低音は進化を続けている。彼らがこの7年間で得たものとはなんなのか。そしてNi〜yaの放つ重厚な低音イズムを検証する。

    どうしたらもっとバンド・サウンドをヘヴィに聴かせられるかを考えた。

    ――Ni〜yaさんはバンドが活動休止中の2018年からソロ・プロジェクト“BULL FIELD”を始動させましたね。まずソロ・プロジェクトを始めるに至った経緯から教えてもらえますか?

     バンド内で自分だけソロ活動をやっていなかったので、正直ほかのメンバーに感化されたっていうのはありつつ、みんなのソロ活動を見てておもしろそうだなって。やっぱり100%自分のやりたいようにできることに魅力を感じたし、せっかくできるチャンスが今あるのなら、いちミュージシャンとしてもっといろいろなことを経験したいなって思ったんです。

    ――なるほど。活動休止期間には並行してサポート活動も積極的にやっていましたよね。ベーシストとして多くの経験が積めたのではないでしょうか?

     そうですね。サポート・ベースだと全部で5バンドくらいやらせてもらってたんですけど、アーティストによってベースのアプローチの仕方が全然違うことが印象的でした。5バンドもやってると楽曲の幅も広くなるし、必然的に自分がこれまでやらなかったようなフレーズも弾くことになりますよね。それこそアップライトも弾いたし、スラップとかタッピングの速弾きもいろいろ経験できたので、ベーシストとしてはすごくスキルアップできたと思いますね。

    ――今作『NOX:LUX』の印象として、楽曲の幅と同時にベースの音域も広がった印象を持ちました。例えば「Re:Do」「cry for the moon」など、指板を広く使ったメロディアスに旋回させるベース・ラインが楽しめます。

     今作に関しては、全体のアンサンブルとかギターの絡みはもちろん、できるだけヴォーカリストが歌いやすいようなベース・ラインを意識してフレーズを作っていったんですよ。そのなかで、どうしたらもっとバンド・サウンドをヘヴィに聴かせられるかを考えたとき、これまでよりも全体的にベースの音域を下げたんです。ウチのバンドはギター2本にシンセ音もあるので、そのほうがほかの楽器とぶつからない周波数を見つけやすい。そういう音選びは常に意識してました。

    『NOX:LUX』
    littleHEARTS.Music
    LHMH-2017
    左から、咲人(g)、Ni〜ya、YOMI(vo)、RUKA(d)、柩(g)。

    ――「Re:Do」大サビ前にはスラップも入っていますが、Ni〜yaさんと言えばテクニカルなスラップというイメージもあります。

     スラップ好きなんで(笑)。多分手グセでもあるんでしょうけど、一曲を通してフックとなるポイントがほしいって思っちゃうんですよ。例えば初めて曲を聴いた人が、“なんかあそこベースが妙なプレイやってたな、もう一回聴いてみようかな”って思っちゃうような。だからちょっとでもいいのでリスナーの耳に印象を残したいし、スラップは俺にとってそのひとつの手段でもあるんです。

    「Re:Do」Official Music Video

    ――その他の曲のスラップだと「RAD DREAM」のイントロ〜Aメロはドラムに合わせたハネ感のあるフレーズで展開していますね。

     この曲はデモの段階から結構難解なスラップが入ってたんですよ。それを自分なりにアレンジしてみたんですけど、結果として余計難しくなっちゃって(笑)。演奏としては難易度高いですけど、弾いてるぶんには楽しいですね。

    ――“デモの段階から入っていた”ということはメンバーもNi〜yaさんのスラップを待ち望んでいるのかもしれないですね。

     そうなのかもしれないですね。多分みんなほしがってるんだと思います(笑)。

    ――サビは4つ打ちのドラムに対し、オクターヴ奏法で弾いていたりと、全体を通して縦ノリなベース・アレンジに感じました。

     これはリズムに合わせにいった結果ですね。曲が始まった瞬間にファンの子たちが縦ノリで“ワー”ってやってる感じをイメージしながらレコーディングしました。ウチのバンドってライヴを想定して曲を作ることも多いんですよ。例えば盛り上がりを想定してシャウトとかリフの位置を考えたりとか。こういう意識も大事だなって思っています。

    ――大サビの後半では音数の多いメロディアスなラインに展開していますね。この切り替えはまさに先ほどの話で言う、“フック”となる部分かと。

     そうですね。やっぱりケツに向けて徐々に盛り上げていくって意識は、自分のクセでもありますから。ベースだけじゃなくて曲作りでも後半に向けて音を足したりとかして、印象的な部分を作って盛り上げることは好きですね。

    ――それって“今までとは違うことをやりたい”という、いわゆる“ベーシストの性”みたいなことなのでしょうか?

     確かに同じことは繰り返したくないですよね(笑)。だから俺はレコーディングでもフレーズの“コピペ”って絶対しないんですよ。というのも、音源じゃわかりづらいと思うんですけど、ベース単体だけで聴くとイントロとアウトロじゃノリが違うんですよ。プレイだけでいえば断然アウトロのほうがいい。やっぱり一曲を弾いてきたグルーヴ感とかノリとか、ピッキングの強弱がアウトロに凝縮されているからであって、でもアウトロのほうがノリがいいからってイントロにコピペするのは違うよねと。やっぱり曲のアタマからケツに向けて徐々にグルーヴを盛り上げていくドラマチックな感じが好きなんですよね。伝わりづらいかもしれませんけど(笑)

    ――いや、すごくわかりますよ。ベーシストならではの感性ですよね。

     やっぱりそういうノリとかグルーヴを作るのってベーシストの仕事だと思うし、そこは絶対に手を抜きたくないなって思います。

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