PLAYER
円陣を組もうなんて、誰も言ってなかったんです。
━━「Friday the 13th」のイントロのエレクトリック・アップライトのバチバチ感はサイコビリー的なニュアンスですね。
ウッド・ベースのスラップ的なものをエレクトリック・アップライトでやっているというやつですね。この曲の基本的なプレイは“ザ・ロックンロール”なんですけど、そのなかで、あのバチバチでサイコビリー感を出しているところはすごく気に入っていて。曲を通して全篇に入っているというよりは、アタマにちょっとだけ入っているほうがオシャレなのかなとも思うし。こういうプレイはどんどんやっていきたいところではありますね。コントラバスでやる人はいても、エレクトリック・アップライトでこういうバチバチのプレイをする人って、そんなにいないと思うんですよね。
━━YUKKEさんって、エレクトリック・アップライトを弾くときも、わりとエレキっぽい感じで指を当てていますよね。
そうかもしれない。多分、曲によると思うんですけど、あんまり指を斜めにして指の側面を当てるっていう意識はないかも。フレーズ自体も、わりと普通のプレイというか、エレキ・ベースで弾くようなフレーズをエレクトリック・アップライトで弾いているっていうことも多いんですよね。だからウッド・ベース的な指の当て方で対応できない曲もたくさんあるんですよ。
━━さて、アルバム発売後、本来であれば、ぴあアリーナMMでライヴが開催される予定でしたが、中止になり、6月末に初の試みとして無観客有料配信ライヴを行ないました。率直な感想は?
やれてよかったし、結果いいものができたなと思っています。単純にライヴハウスを借りて、ステージにメンバーがいて、客席にカメラを仕込んでたまにスイッチングするっていう形のものよりは、この状況を逆手に取ったいろんな見せ方ができましたし。そういう意味では、例えば、こういうコロナ禍の状況じゃなくなったとしても、年に1回、こういうライヴがあってもいいと思うんですよ。観て楽しめるものだと思うし。
━━アンコールの「蘭鋳」で、それまでアクリル板で隔てられていたフロントのメンバーが、ガスマスクと手袋をつけて1ヵ所に集まったところでは、思わず声が出ましたね。めっちゃいいシーンでした。
わはは(笑)。普通のライヴだったら普通のことなんですけどね。ここまでしないと、今はこうなれないんだよっていうのは、最後にわかりやすく見せられたと思います。
━━曲が終わったあとも、円陣組んで手をつないでカーテンコールで、感動しましたよ。あんたたち、普段そんなことしないでしょって(笑)。
俺も感動しました(笑)。でも、円陣を組もうなんて、誰も言ってなかったんです。でも、自然と円陣になったんですね。
━━そうなんですね! 逆にめちゃくちゃ感動的。
“え、円陣なんてMUCCでやったことないけど、これ、誰かが何か言うの?”と思って(笑)。ガスマスクをしているし、マイクもないし、メンバーがどういう感じなのかも、よくわかんないんですよ。それでも、誰かが何かを言っている感じに合わせて、“ウワ~ッ!”って叫んで。
━━エモい! あれは名場面として語り継がれますね。
ただね、初めてゴム手袋をしてベースを弾いたんですけど、ゴム手袋が指に貼り付いて水掻きみたいになって、思うように指が動かないんですよ(笑)。もうあとちょっとだからやりきるか!と思ってやりましたけどね。いやぁ、でも最後にいいシーンが撮れたからよかったなと。何年後でも、観たら、この状況も含めて、いろんなことを思い出す場面だと思うんですよ。
【お知らせ】
7月18日発売のベース・マガジン2020年8月号SUMMERにもYUKKEのインタビューを掲載! レコーディングでの音作りや収録曲について、BM webとは違った内容でお届けします!
◎Profile
ゆっけ●11月5日生まれ、茨城県出身。高校1年でベースを始め、1997年から活動していたMUCCへ、幼馴染であるミヤ(g)の誘いで1999年に加入する。ヘヴィロックと歌謡曲の匂いをミックスした独特のサウンドでインディーズ・シーンにおいて確固たる地位を築き、2003年にメジャーへ進出。作品ごとにさまざまな音楽性を取り込みながら、国内はもとより海外でも人気を博す。2020年6月10日にニュー・アルバム『惡』をリリース。12月27日(日)に日本武道館公演を予定している。
◎Information
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