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新世代“ベース女子”筆頭株が魅せた、無限の可能性
大阪発の4ピース・ガールズ・ロック・バンド、GIRLFRIENDが9月23日にリリースする2ndフル・アルバム『HOUSE』は、弱冠二十歳前後というメンバーの年齢を感じさせない、楽曲、サウンドともに完成度の高い、今後の可能性を大いに感じる一枚となっている。バンドでベースを担当するのは今月20日に二十歳を迎えたMINA。作中でMINAは自身のトレード・マークでもあるテクニカルな高速スラップに加え、グルーヴィなベース・プレイを展開。楽曲ごとに表情を変えるそのプレイは作品をさらに深いものへと進化させている。ベーシストに加えソングライターという側面もあわせ持つMINAは今作にどのような思いを込めているのだろうか。どこまでもまっすぐな眼差しで音楽、そしてベースと向き合うMINAの素顔に迫っていきたい。
これまでには無かった“新しいGIRLFRIEND”を提示できたと思います。
━━MINAさんは今月で二十歳を迎えられるとのことですが、ベースを始めたのはいつからですか?
中学2年生の14歳の頃に始めました。ベースを始めると同時にGIRLFRIENDを結成したので、ベース歴とバンド歴が同じです(笑)。当時はバンドの音楽も全然詳しくなくて、“ギターとベースって何が違うの?”というレベルでした。
━━なるほど。そもそもGIRLFRIENDはどのように結成されたバンドなのでしょうか?
もともとメンバー全員、地元大阪のダンス&ボーカル・スクールに通っていて、そこでみんなと出会ったんです。ある日スクールのオーナーさんから“ダンスのほかにもバンドっていう道もあるよ”と言われて、その言葉をきっかけにみんな楽器に興味を持ち始め、“自分たちもバンドをやってみようよ!”ということでバンドを結成しました。私がベースを選んだ理由としては、バンドを組むにあたっていろいろなロック・バンドの楽曲を聴いて、ライヴ映像を観ていくうちに、ベーシストがどこかミステリアスで魅力的な存在に感じたのと、指弾きがカッコ良くてやってみたい!と思ったのがきっかけです。
━━ベースを始めた当時からこれまでに、どんなベーシストに影響を受けましたか?
ベースを始めた当時から、ずっと亀田誠治さんに憧れを抱いていて、いつかいちベーシストとして実際にお会いするのをひとつの目標にしています。海外だとジョー・ダート(ヴルフペック)やフリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が大好きでコピーもたくさんしました。学生時代はアニメ音楽やサウンド・トラック、流行りのJポップなど、ありとあらゆる楽曲をコピーしましたね。どうやら私は文字とかを覚えるのは苦手なんですけど、音を覚えるのは得意な体質なようで(笑)……音がどんどん耳に入ってくる感覚が楽しかったです。
━━“フリー”という名前も出ましたがMINAさんの特徴のひとつに“高速スラップ”があるかと思います。それはフリーの影響も大きいのでしょうか?
はい、とても大きいですね。フリーのスラップはめちゃめちゃテクニカルというより、口ずさめるようなキャッチーで印象的なフレーズが多いので、今でもフレーズの参考にしています。スラップはベースを始めたときからずっと憧れを持っていたので、今でも毎日ひたすら練習しています。
━━MINAさんはベーシストであると同時に作詞作曲もしていますが、そちらはいつからやっているのですか?
バンドを結成した当初、“とにかくオリジナル曲をたくさん作りたい”という思いが強かったこともあって、バンドを始めると同時に作詞作曲もやり始めました。当時は鼻歌からメロディーを作って、そこにベースの単音やピアノでコードをつけて曲を作っていました。
━━作曲歴もベース歴、バンド歴と同じなんですね! 現在はどのように作業しているのですか?
今はLogic Pro Xを使っていて、ドラムを打ち込んだり、ベースをラインで録ってみたり、ギターも下手なりにゆっくり録ってみたりと、とても楽しいです。私以外にもメンバーみんな曲を作っているので、それぞれデモ音源をデータで送り合って、後日“この日はスタジオでデモを詰めよう”という日を設けています。全員作曲もするし、歌も歌うのでイメージとしてはビートルズみたいなバンドになりたいです(笑)。
━━9月23日に発売される2ndフル・アルバム『HOUSE』は前作『CHOCOLATE』から約2年ぶりのアルバムとなりますが、ロック色が全面に出ていた前作からはイメージが変わり、バラードやR&Bといった幅広いジャンルの要素が取り入れた一枚になっています。バンドとして考え方に変化があったのでしょうか?
うーん……根底にあるバンドへの熱量の部分は、みんないい意味で変わっていないのですが、バンドとして“自分たちの音楽への考え方”には変化があったと思います。前作『CHOCOLATE』はちょっとロック色が強すぎたかなという印象もあって、ある意味一般層には幅広く聴かれないようなジャンルなのかも……と客観視していた部分があったので、それもあって前作とは違うものを『HOUSE』には落とし込みたいという思いはありました。
━━“違うもの”とは例えばどういったものでしょう?
わかりやすい部分でいえば、シンセサイザーや打ち込みの同期音など、これまでには取り入れてなかったような新しいサウンドを取り入れたことでジャンルが広がった作品になったと思いますし、その結果、“新しいGIRLFRIEND”を提示できたのではないかと思っています。私たちはメンバーそれぞれ好きな音楽もバラバラなので、だからこそ新しい発見があるのかもしれないですね。
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