PLAYER
ピックで弾いたほうが
ミュートのキレが良いんです。
━━先ほど「大迷惑」のスラップの話が出ましたが、今作ではわりとスラップのパートも多いですね?
そうかもしれない。僕はスラップも、このバンドに入ってから始めたんです。誰かに教わったとかもなく独学でやっていたんですけど、“これで合ってるのかな?”っていう手探りの状態では世に出したくなくて(笑)。それで今まではあまり出してこなかったんですけど、もう出してもいい頃合いかなと(笑)。
━━かつ、「大迷惑」はロックな質感が強いですが、そのほかの曲ではわりとスタイリッシュというか、例えであげるならマーカス・ミラー的なニュアンスを感じました。それが意外だなと。
なるほど(笑)。マーカス・ミラーは好きなんですよね、音とか。その影響は確かにあるかもしれないですね。スラップに関しては、今回、若干プラグインのコーラスを入れているので、その影響もあるのかもしれません。ほんのちょっとだけの隠し味的な感じですけどね。
━━「plastic」は現代的なR&Bの質感も匂わせている曲調で、スラップ・ベースもクリアで太い音色だし、ある意味サンプリングのベースっぽい質感ですよね。
この曲は手元もけっこうキレイに弾いたつもりで、ピックで弾いたゴリゴリの音とはまったく違いますよね。
━━雑味のない音だなというか。
雑味をなくそうというのは、レコーディングのときに意識していたことですね。だからヘタに音もいじっていないんです。
━━今作での使用機材は?
ベースはコンバットで、ヤマハも使いましたね。音作りはラインで完結していて、個人製作家の人が作っているクリーン・ブースターとか、アースクエイカーデバイセスのアロウズ(プリアンプ・ブースター)を薄くかけたりしてます。あとは同じくアースクエイカーデバイセスのトーンジョブ(イコライザー&ブースター)がすごく優秀で、ライヴでも使おうかなと思いましたね。
━━EDMな要素もある「moonlight」の間奏では、メイン・リフのシンセとのユニゾンにスラップで色をつけるフレーズがオシャレです。
最初に打ち込んでいる段階では、ドラムとベースが一緒に遊んでいるみたいな感覚で作っていたんです。でも、あまりにも長いので(笑)、ベースで起承転結をつけるフレーズのほうがいいのかなと思って、あれに変えたんですよ。
━━「Starting Over」はウラに入ってくるベースがグルーヴィですね。休符の感覚でノリが左右されそうな曲ですが、これは指弾きの曲ですか?
いや、ピックで弾いています。確かに休符がポイントにはなるんですけど、ミュートに関しては得意なほうだなと自分でも思っていて、ピックで弾いたほうがキレが良いんです。指弾きのミュートって、自分のイメージでは、音が切れるときに減衰しつつちょっと残って切れる感じがするんです。そこをスパッと切りたいときには、ピックで弾いて右手の手刀部分で音を止めたほうがいい。レコーディングでの弾き方に関しては、ライヴでの再現性ってところにはこだわっていなくて、それこそ同じ曲のなかで、“このパートは指で弾いたけど、次のパートはピックで”っていうこともありますね。
━━そのスパッと音が切れる感じが、シンベ的なタイトさも感じさせますね。そういう意味では「moonlight」サビのベースもバスドラと合わせつつタイトな休符がグルーヴを作っていて、シンベ的と言えばそう聴こえます。これもピック弾きですか?
スラップのパート以外は全部ピックですね。スラップも、ピックを持ちながら空いている指でプルをしたりもしますし。