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    INTERVIEW – 田口恵人[LUCKY TAPES]

    • Interview:Kengo Nakamura

    ツェッペリンにちょっとR&Bを混ぜた
    みたいなイメージで弾きました(笑)。

    ━━そのほかの使用機材は?

     「ギルド」は4弦のフェンダー・ジャズ・ベースでした。「Gimme」はSireの5弦JBタイプで、これは知り合いの先輩ベーシストに借りたものです。いつもよりもうちょっとパキッとした音というか、死んだ弦じゃない音を出したくて(笑)。あと、「スカーレット」ではアップライトを弾きました。

    ━━「スカーレット」は包み込むような低音になっていて、これはアップライトだったんですね。

     しっかり土台になっているという感じですね。ドラムも打ち込みなので、ちょっと空気感みたいなものをアップライトで出したかったイメージです。暖かい感じというか。使ったのはワーウィックのもので、けっこうラインでいい音がしますね。

    ━━なぜワーウィックのものを選んだんですか?

     正直に言うと、安かったから(笑)。コロナでみんな動けなくなった時期、家にずっとこもっていた時期に、新たにアップライトを身につけたいなとは思ったんですけど、値段が高いものをあげればキリがないし、とりあえずアップライトの練習をして、そのあとにアップライトにハマったら買えばいいかなって。通販で買ったんですけど、初心者にはちょうどいいし、結果よかったなって思います。あとは、見た目もかわいいですしね。

    ━━では、アップライトにも結構取り組んでいるんですか?

     それが、最近はアップライトよりもヤマハのBBのフレットレスをけっこう使っていて、そっちがメインになっちゃっているんです(笑)。

    ━━なるほど、アップライト感というよりはフレットレス感が欲しかったんですかね?

     そうだと思います。だから、何のためにアップライトを買ったのかって部分もあるんですけど(笑)。ただ、アップライトはずっとやってみたかったことではあって。また、そのモードに入ったら練習しようと思うんですけどね。

    ━━アップライトを導入すると、またアプローチも変わるかもしれませんね。

     アップライトでやるならジャズ的なものよりはヒップホップをやりたくて。そもそもは、アップライトを買った理由として、コモンの「Be(Intro)」を弾きたかったんですよね。だからジャジィ・ヒップホップみたいな曲で、シンプルでカッコいいベース・ラインを生み出したいなとは思います。

    左から、田口、高橋海(vo,k)、高橋健介(g)。

    ━━田口さんのプレイはサステインが特徴的だなと思う曲が多いです。「脚本」は親指弾きですか?

     いや、普通に指弾きですね。2Aとかはパーム・ミュートをして親指弾きはしていますけどね。

    ━━この曲は基本的には抑制されたプレイですが、最後のサビでスピーディな下降オブリを一瞬入れたりしていて、奏法を切り替えているのかなと思ったんです。

     自分ではあまり自覚なく弾いているんですけど、けっこう左手でミュートしているのかもしれないですね。それで音価の調整をしていて、そういったサステインの聴こえ方になっているのかな。「脚本」はけっこうシンプルなフレーズだと思うので、もう左手でやっちゃおうと。

    ━━「パラドックス」のミュートの効いた音色はどうでしょう?

     これも2フィンガーで弾いていますね。けっこうレイクランドの弦高を高くしていて、それで左手の調整でパッと音が切れやすかったり、弦高が高いほうが調子がコントロールしやすかったりするので、それも理由にあるのかもしれません。この曲はかなり苦戦して、アンサンブルが全体的に音数が多かったので、“俺は何をやればいいんだろう?”って(笑)。それでシンプルに、わりと海くんが打ってきたデモに寄せて弾きました。

    ━━ロック・テイストのあるギター・ソロのうしろでは、ちょっとメロディアスな部分やコード弾きっぽい部分もあって、“ギターを支える”というのとはまた違うアプローチなのかなと。

     そうかもしれない。最初は普通にルートに行って白玉とかにしていたんですけど、あんまりおもしろくないなと。それで、ちょっとアタマをズラしたり、ちょっと遅らせてルートに入るようにしてみたりしたんです。

    ━━ベース・ラインはそんなに考え込まずに作るタイプですか?

     フレーズ自体は、海くんから送られてきたデモを聴いて、コード譜を確認しながら一発目で出てきたものをサラッと一回録るんです。それでいいものをつまんでいって練り上げていく感じなんですけど、ひと晩かけて作ったベース・ラインより、けっこう最初に思い浮かんだフレーズがハマっていたりして。そこは難しいところですよね。

    ━━「Get Back」はイントロからクラシック・ロック的なリフ押しの曲です。ベースはユニゾンしつつ、1拍目16分ウラはプルですか?

     これは指で強く弾いてアクセントを付けていますね。ギターがカッコいい曲なので、ギターがメインでっていうのは考えて、リフのところは合わせて。サビでLUCKY TAPESぽさっていうか、ひらけて踊れる感じみたいなものを意識してオクターヴのフレーズにしたりして、ちょっとディスコっぽいファンキーなフレーズにしてみました。

    ━━リフから解放されたときにはメロディアスなラインが気持ちよく入ってきますね。

     こういう部分は、もうインスピレーションでやっていますね。ツェッペリンに自分のエッセンスを混ぜたみたいなイメージで弾きました(笑)。

    「Get Back」(Official Music Video)
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