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Interview – ローラ・リー[クルアンビン]

  • Interview:Zine Hagihara and Tommy Morley
  • Photo:William Mercer @tripmercer

私のお尻が踊りたがっているような気分になってしまうのよ。

━━「Time(You and I)」は白玉と大きな休符を大胆に使い分けていますが、どのようなイメージがありましたか?

 この曲のベースは私がけっこう昔に書いたものなの。作曲に行き詰まると昔の自分がレコーディングしたものを聴くんだけど、今回、このベース・ラインを発見したのよ。でも、今の自分がプレイするようなものとはかなり異なっていて、自分でも驚くところがあった。自分でも不思議なところがあるわ。

━━その後はソリッドでメロディアスなディスコ・ベースに続きます。この大胆な展開はどのようにアプローチしていったんですか?

 曲がたまたまそういう流れになったってことだけど、私たちは常に工夫をしようとしているの。ツアー中の私たちはディスコライクなものをたくさん聴いていたわ。特にライヴ直前の楽屋なんかで自分たちを興奮させるために聴いていたかしら。それがここ数年のクルアンビンを形作っていったのよ。アルバムができると今度はツアー・モードに切り替わり、ライヴをどんなものにしようか考え始める。ライヴ中のダンサブルな瞬間っていうのはオーディエンスにとっても楽しめる瞬間よね。私たち自身がライヴでプレイすることが楽しみになる曲をアルバムに収めることは、とても重要なことなのよ。

━━「Connaissais de Face」は緩急のついたシャッフル・リズムが特徴的で、歯切れよくベースをプレイするのが難しいですよね。

 私はただ、“グルーヴ”だと思っている。この曲は本当にプレイしていて楽しいし、ヘンな言い方だけど、私は“お尻でプレイしている”っていうのかな? 私のお尻が踊りたがっているような気分になってしまうのよ。

━━「Father Bird, Mother Bird」は、コードの移り変わりに沿って装飾音を巧みに変えています。とはいえメロディアス過ぎず、ギターとのバランスも考えられているのがさすがです。

 そうね。そういったバランスはとても大切で、マークと私はいつも自分たちのパートについて話し合っている。私たちは互いの音が重ならないようにプレイすることもあるし、同じタイミングで意図的に鳴らす場合でも、同じ音色、音高で鳴らさないように意識している。おもしろいものを作ることを意識し、対話のような流れを作っているつもりよ。

━━「One to Remember」はレゲエなどのルーツ・ミュージックの要素を感じさせるフレーズですが、サウンドはスムーズでハイブリッドな組み合わせに感じました。こういった耳触りの新しさは狙っているものですか?

 そういうところもあるかもね。どんな形態であれ、多くの人とつながっていくものがアートでしょう? サプライズ的であったり、新しいものであったりするものを好む人たちがたくさんいる一方で、耳馴染みのあるものに対して心地良さを感じる人もいる。そういったバランスがあることによって緩急を作り出せるし、より多くのリスナーを興奮させることができると思っているわ。

スペインのメーカーSXによるJBタイプ。2007年頃にマークに買ってもらった1本。手頃な価格で手に入れた本器を、ギター製作の学校に通っていたマークによりピックアップをディマジオ製に交換。そのほかのパーツ類の交換や修理などもマークが行なう。同一のフラット・ワウンド弦を9年以上使用し、ウォームなサウンドを作っている。

━━今作のレコーディングで使用した機材について聞かせてください。

 ベースは去年の日本公演でも使ったSXのベースよ。DIはACME AUDIOのMotown D.I.で、エフェクト・ペダルはまったく使っていないの。アンプはアンペグのB-15のリイシュー・モデルを使ってリボンマイクで録音したわ。

━━今作はヴォーカルをフィーチャーするという新たな試みこそありましたが、3人の演奏が主軸になっているというスタイルは変わらず、むしろ磨きがかかっていると感じました。

 そう、ベース、ギター、ドラムというフォーマットでクルアンビンができているのよ。そこにほかの音を加えたとしても、私たち3人のプレイだけで無限のことができると信じている。この制限のなかで一体どんなことができるのか、これからも見届けていきたいと思っているわ。

━━最後に、来日公演を心待ちにしているファンにメッセージをお願いします。

 ぜひライヴを観に来て私たちと一緒に楽しんでもらいたいわね。みんなウェルカムだし、すべての人に楽しい時間を過ごしてもらいたいと思うわ。私たちだって待ちきれないのよ。

【お知らせ】
7月18日発売のベース・マガジン2020年8月号 SUMMERにも、ローラ・リーのインタビューを掲載! BM webとは違った内容でお届けします。

◎Profile
ろーら・りー●2009年より活動を開始した米国テキサス州のバンド、クルアンビンのベーシスト。バンド結成の少し前からベースを弾き始め、それまでは数学の教師をしていた。バンドはギター、ベース、ドラムという最小限の編成で紡ぎ出されるスムーズなファンク・サウンドが持ち味で、肉体的でありながらヒップホップ以降の打ち込みのグルーヴ・スタイルも内在した新感覚の音楽性が話題となり、2018年にアルバム『Con Todo El Mundo』をリリースすると世界中の音楽フェスやライヴ・イベントに出演。2019年に行なわれた来日公演もソールドアウトとなった。人気が上昇し続けるなか、2020年6月に新アルバム『MORDECHAI』をドロップした。

◎Information
ローラ・リー Instagram
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