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SPECIAL TALK SESSION – YUKKE(MUCC)×明希(シド)

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Live Photo:Susie(YUKKE)、Yoshihiko Tanaka(AKI)

リスペクトで高め合う真逆のベース・スタイル

L’Arc~en~Ciel、MUCC、シドなどが所属する音楽プロダクション、MAVERICK DC GROUP。その40周年を祝うイベント、『DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP』が、2021年12月27日(月)に日本武道館にて開催される。“原点回帰をノスタルジックに。そして次世代へのエールを!”をテーマに掲げる今回の公演は、所属バンド同士はもちろん、ゲスト・アーティストも迎えた、まさにこの日しか観られないコラボレーションが多数実現。実際どのような内容になるのか、当日が待ちきれないといったファンも多いだろう。今回BM webでは、YUKKE(MUCC)と明希(シド)というMAVERICK DC GROUPの先輩後輩ベーシストであり、公私にわたり深い付き合いがあるというふたりによる対談を敢行した。これもまた、MAVERICK DC GROUPの40周年を祝うスペシャル・コラボレーションの一環として楽しんでいただきたい。

MUCCはメンバーの個の強さももちろんすごいんですけど、
バンドとしての固まりの強さっていうのが特にすごい。━━明希

━━おふたりの最初の出会いは覚えていますか?

YUKKE 俺は、会う前から明希のことは知っていたんですよ。シドが始まった最初の頃だと思うんだけど、当時、俺をすごく応援してくれていたファンの子からのお手紙に、“最近、シドの明希さまがすごく好きです”って書かれていて(笑)。それで存在を知ったんですよね。

明希 そうだったんだ!(笑)

━━それは切ないきっかけ(笑)。

YUKKE だから最初は“なにぃ!?”っていう気持ちから入って、そのあと、テレビに出ていたのを観て“あー、確かにカワイイわ”って思いました(笑)。そのあとにデンジャークルーに入る前のシドのライヴを逹瑯(MUCCのvo)と観に行ったんですけど、まず寺尾聰さんの「ルビーの指環」とかをSEでかけて登場したのにびっくりして。あと曲がすごくいいなって思ったのと、ベースの子がフレーズもステージングもすごく動いていて派手だし、自分を持ってる子なんだなっていうのが最初の印象でしたね。

━━明希さんがMUCCの存在を知ったのは?

明希 MUCCが東京ベイNKホールでやるライヴのビラを見たのがきっかけでした。その頃まだシドを始める以前のアマチュアのバンドをやっていて、当時って僕らのなかでは“バンド名は英語であるべきだ”みたいな意識があったんですよ。そういうシーンのなかで、“ムック”ってカタカナでドン!って書いてあるのはインパクトがありましたね。そしてあのルックス。僕は当時ああいう化粧ってあんまり見たことがなかったので。だから、自分が思っているバンド・カルチャーの正反対にいるバンドというか、スタンスが全然違うところにいて。でも、NKホールでライヴをやるくらい人気があるっていうのが衝撃でした。なかでもYUKKEさんは、特にキャラ的にもインパクトのあるアー写を撮っていたし、そういう面でも目が行きましたね。初めてお会いしたのはそこから数年後。目白の居酒屋で、YUKKEさんと逹瑯さんと一緒にご飯を食べたんです。実際にMUCCのライヴを観たのはさらにそのあとで、渋谷のイーストでしたね。

━━実際にライヴを観た感想は?

明希 すごいインパクトでした。メンバーの個の強さももちろんすごいんですけど、バンドとしての固まりの強さっていうのが特にすごくて。バンドのなかで誰かだけ目立つというよりは、メンバー全員が一緒に飛び込んでくるというか。だから、どのメンバーからも目が離せないし、いい意味でどこを観ていいかわからなくなるくらいいろんな要素が詰まっていて。そのなかで、僕はベーシストなのでやっぱりベースに注目するわけですけど、サウンドの迫力がハンパないなと思って。僕のなかでは、当時はまだ5弦ベースっていうものがよくわかっていなかったというのもあるんですけど。

━━YUKKEさんはシーンのなかでも5弦ベースを使い始めたのは早かったですよね。

YUKKE まわりの方からそう言ってもらえるので、結果早かったのかなって思ってるんですけど……やっぱり早かったのかな?

明希 早かったと思いますよ!

YUKKE 当時対バン相手とかでも、たまに5弦ベースを弾いている人は見かけたんですけど、ローBをガンガン使うというよりは、どちらかというとハイポジで細かいフレーズをたくさん弾いている感じだったんですね。だから最初は5弦ベースってそういう“上手な人”が使ってる印象でした。そんななかで、たまたまMUCCで5弦を使う曲ができてきて、バンド・サウンドに呼ばれたっていうのが5弦を使うきっかけでしたね。

明希 YUKKEさんが5弦ベースを使っているっていうのは、けっこうベース・アプローチで参考になりましたね。当時はやっぱり5弦ってあんまり馴染みがなかったんですけど、MUCCの曲を聴いていると5弦が弾きたくなったし、シドの曲に取り入れられないかなって考えました。実際に、のちのち5弦を使うことになりましたしね。

YUKKE(MUCC)
Profile
ゆっけ●11月5日生まれ、茨城県出身。高校1年でベースを始め、1997年から活動していたMUCCへ、幼馴染であるミヤ(g)の誘いで1999年に加入する。ヘヴィロックと歌謡曲の匂いをミックスした独特のサウンドでインディーズ・シーンにおいて確固たる地位を築き、2003年にメジャーへ進出。作品ごとにさまざまな音楽性を取り込みながら、国内はもとより海外でも人気を博す。最新アルバムは2020年6月にリリースされた『惡』。MUCCは2021年10月にSATOち(d)が脱退し、3人体制となり、新体制で11月5日に、両A面ニュー・シングル「GONER/WORLD」をリリースした。
明希(シド)
Profile
あき●2003年にシドを結成。2008年11月にメジャー・デビュー記念ライヴを日本武道館にて開催したほか、2010年12月には東京ドーム単独公演を成功させ、2013年にリリースしたベスト・アルバムが初のオリコン・ウィークリー・チャート1位を獲得するなど大きな人気を博す。シドは2019年9月に10thアルバム『承認欲求』を発表。2021年7月にデジタル・シングル「慈雨のくちづけ」をリリースしている。2015年からはAKiとしてソロ活動も展開しており、2016年7月には台湾の大型野外フェスに出演するなど、精力的なライヴ活動も展開。2020年6月に1stアルバムから約5年半ぶりとなるフル・アルバム『Collapsed Land』をリリースした。

━━お互いのベース・スタイルはどう見ていますか?

YUKKE 俺は、スタイルや見せ方は真逆だと思っています。だからこそ、こういう関係がずっと続いているんだなって思うこともありますね。自分の持っていないものを持っている人なので、こいつすごいな、カッコいいなって思うところもたくさんあったし。それでお酒の席では、そのスタイルの違いで揉めることも昔はありましたけど(笑)。でも今はすごく尊敬できる後輩ですね。

明希 嬉しいですね。

━━現在のスタイルは違いますけど、おふたりのルーツ的なものはけっこう近かったりしますよね?

明希 そうですね。LUNA SEAとかGLAYとか、たぶん通ってきたものは近くて。歳も近いので、リアルタイムで同じものを観ていたとは思います。

YUKKE ただ、環境の違いはあったと思うんですよ。明希は家族で音楽をやっている人がいたんだよね?

明希 おじいちゃんがヴァイオリンをやっていたり、あとは父親がクラシックが大好きだったりっていうのはありましたね。

YUKKE それに明希は小さい頃にピアノを習っていたんでしょ? 俺はその頃、ラグビーやってたんだよね。だから最初から微妙に違う線路に乗っていた気もするんですけど(笑)。

━━逆にベーシストとして似ているなと思う部分はありますか?

明希 やっぱりふたりとも、メロディ・ラインとしてのベースが好きなのかなっていうのはありますね。支える役割のリズム楽器であるベースでありながらも、わりとメロディを弾くのが好きなのかなって。YUKKEさんのアプローチも、ギターとドラムをバックにベースがメロディをいくこともあるし、僕もそういう曲が好きだったりするので。

YUKKE そうだね。俺もやっぱりメロディを意識したベースはプレイしていても好き。もちろんいろんな曲があるので、その分ベースの幅も広がっていくなって思いながら20年以上やってきていますけどね。俺も、シドで弾く明希のベースってすごくメロディを弾くベースだなってイメージがあります。一方で、そうじゃないベースを弾きたいとき、AKi(明希のソロ活動時の名義)があるのかなって。

明希 そうかもしれないです。今言われて初めて気づいた。

YUKKE シドのほうが歌謡曲だとしたら、AKiのほうには洋楽っぽさを感じるというか。だから明希にもいろんなスタイルがあるなって感じますね。

MUCC『GONER/WORLD』MUSIC VIDEO
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