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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – Fujimon[AIRFLIP]

  • Interview:Koji Kano

駆け抜けるパンク・サウンドで呼応する
メロディアスな低音

国内ポップ・パンク・シーンのホープ、AIRFLIPがメジャー2ndフル・アルバム『RED』をドロップした。西海岸直結の疾走感あふれるナンバーが駆け抜ける本作は、彼らの勢いをそのままに感じ取ることができる傑作だ。ベーシストのFujimonは骨太なボトム・ラインでグルーヴを支えつつ、各所で多彩かつメロディアスなフレーズを展開。バンド・アンサンブルの支柱を担っている。無限の可能性を秘めた彼らの現在地とFujiomonのベース・プレイをじっくり紐解いていきたい。マジでイカす新人=BADASS ROOKIEを紹介する本企画。BMイチ押しの新世代ベーシストはコイツだ!

“メロディの邪魔をしない”というのは基盤にあります。

――まずベースを始めたきっかけから教えてもらえますか?

 高校時代にオリジナル・バンドをやることが流行ってて、自分も当時の友だちとバンドを組むことにしたんです。そのとき僕はヴォーカルをやってたんですけど、バンドにベースがおらず……じゃあ自分がやろうということでヴォーカルからベースに転向しました。当時高校2年生ですね。そのときはホーン隊のいないスカコアみたいな、ハッピーな感じのバンドをやってました。

――では影響を受けたバンドやベーシストは?

 最初にベーシストとして影響を受けたのは中学の頃に聴いたGOING STEADYのアビコ(シンヤ)さんです。ヴォーカルみたいな存在感でブンブン動くあのフレーズを聴いたとき、“ここまでやってええんや!”って衝撃を受けました。アビコさんのベースを聴いてベースのおもしろさに気づきましたね。GOING STEADYは中学時代にめちゃくちゃハマったバンドで、ヴォーカルでコピー・バンドもやってました。

――Fujimonさんは2011年にAIRFLIPに加入したとのことですが、加入の経緯は?

 これ結構ややこしいんですけど、僕がAIRFLIPに加入する前にやっていたバンドが解散してしまって、1、2年くらいネットなどで新しいバンド・メンバーを探してたんです。そのなかで出会ったひとりがAIRFLIPに加入する前のSatoshi(vo,g)くんで、当時彼も加入できるバンドを探していたんです。それでスタジオに入っていろいろ話したところ、地元が丸っきり一緒ということが発覚したりして(笑)。ただそのときは一緒にバンドは組まなかったんですけど、その一年後ぐらいにSatoshiくんから“まだバンド探してる? バンド入ったんだけどベースがいないからやらへん?”みたいな連絡が来て。それが当時のAIRFLIPだったんですよ。AIRFLIPは前のバンドで対バンもしていてよく知っていたので、一緒にやることになりました。

左から、Gucci(g)、Satoshi(vo,g)、Fujimon(b)、Masunori(Support dr)。
『RED』
コロムビア/COCP-41655

――なるほど。では現在のAIRFLIPはどういった音楽性を目指しているバンドなのですか?

 このメンバーになる前はもっとメロコア寄りだったんですけど、もともと僕はポップ・パンクが好きだったこともあって、よりそっちの毛色に寄せつつ、ミドル・テンポで縦ノリの曲を増やしたりだとか、そういう音楽性になっていきましたね。

――バンドでの作曲方法、ならびにベース・ラインの作り方は?

 作曲方法としてはメンバーそれぞれがデモを持ち寄って、そこから実際にやる曲をチョイスしてみんなで仕上げていく流れですね。ベース・ラインに関しては僕は基本的にメロディありきでラインを作るので、最初のデモ段階ではまったく手を付けないんです。自分で作った曲で“こういうフレーズを入れたい”ってときはデモに入れることもありますけどね。だからギターやメロディが固まって本格的にこの曲を仕上げようとなったタイミングでベース・ラインを構築していきます。というのも、ヴォーカルのメロディを最優先で考えているので、どうしてもベースはあとになっちゃうんですよね。メンバーの作った曲で具体的なフレーズの要望があったときは応えるようにしてますけど、基本的にベース・ラインは一任させてもらっています。やっぱり自分で作りたいですからね(笑)。

――ベース・ラインを作成するうえで特に気をつけていることはありますか?

 “メロディの邪魔をしない”というのは基盤にありますね。でもルートだけだと色が出ないので、メロディの途切れにフレーズをチラつかせたり、ハモリの位置に音を当ててみたりとか、ベースだけでも成り立つようなラインにしています。2ビートの曲の場合はルートを徹底するとか、リズムによってもアプローチを変えてます。

――今作『RED』の制作はいつから始まったのですか? また作品のコンセプトは?

 今作は7月末頃と9月末頃の前半・後半の2回に分けて録音しました。収録曲は前からストックしてたものもあれば新規で作ったものもあって、それこそドタバタで寸前にできあがったものもあるんです(笑)。作品名にもなっている“RED=赤色”って人によっていい意味に捉える人もいれば、マイナスなイメージに捉える人もいると思ってて。だからこのご時世のなかでポジティブな人にもネガティブな人にも共感してもらえるアルバムにしたいって思いが込められています。聴く人を元気づけられる疾走系の曲もあれば、マイナー調の曲、壮大な世界観の曲もあるので、より多くの人の心に届けられる一枚になったと思っています。

――前作のメジャー1st作『NEO-N』から約2年の期間が空きましたが、この2年間でベーシストとして成長できたことはありますか?

 まずライヴにおける成長が大きいかなと。僕はライヴを楽しむってことが前提にありつつ、楽しいってなったらプレイそっちのけで楽しんでしまうタイプで、ベーシストにあるまじき性格なんです(笑)。でもしっかり抑えなきゃいけないところは集中してやるっていうメリハリを付けられるようになったと思います。あと速いリズムの曲とか刻んだプレイの際にリズムが乱れてしまうことが多かったんですけど、地道にクリック練習したりすることでそういったリズムの揺れを安定させることができてきたと思います。

――「NEO-N」は元YELLOWCARDのライアン・キーをプロデューサーに迎えましたね。それで得られたものはありましたか?

 一番印象に残っていることはチューニングにシビアなこと。チューナーでチューニングしたあとにライアン本人の耳でもう一度確認してたんですけど、これは意識の違いというか勉強になりました。ライアンが僕のことを“いいベーシストだ”と言ってくれて自信になったし、僕のフレーズひとつひとつにリアクションしてくれて、あのライアンが……という感じでしたね(笑)。

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