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INTERVIEW – 長谷川プリティ敬祐[go!go!vanillas]

  • Interview:Miku Jimbo

機材を買うことに関する頭のネジが飛んじゃったって
いうのがありますね(笑)

――「手紙」や「馬の骨」などでは、シンプルなアンサンブルのなかで温かなベース・サウンドを鳴らしています。

 「ひどく雨の続く午後の寝室より」、「手紙」、「馬の骨」の三部作は、テックで真船さんに入っていただいたんですけど、牧がデモのベースをアップライトの音色で作っていたので、最初はアップライト・ベースで録る予定だったんですよ。今までもアップライトの音色でデモを作ることはあったんですけど、持ってないし弾けないしだったので、One ControlのCrimson Red Bass Preampというアップライトの音色を作れるプリアンプでそれっぽく誤魔化していました。でも、今回はアップライトでやらないとダメだと思って、アップライトを買って、基本や指のケア、音の作り方を真船さんに習って、レコーディング当日は真船さんにもアップライトを持ってきてもらいました。“ヨッシャ! やるか!”と思ったんですけど、真船さんが“ハコモノも合うかもしれないから”って、ヘフナーも持ってきていて。そうしたら牧が“ヘフナー、めっちゃいいですね! アップライトより合いますね!”って言って“マジか~”って(笑)。

――せっかく買って練習したのに(笑)。

 それで、ライヴでやるときはヘフナーじゃないとなって思ったので、レコーディング後に自分でヘフナーを買うという(笑)。ブルーノート東京のライヴ(2020年9月26日開催「go!go!vanillas special live “MAKE UP CITY” at Blue Note Tokyo」)でヘフナーが登場したのも、この三部作があったからこそなんです。

――そういった経緯があったわけですね。プリティさんがアップライト・ベースを弾く姿はどこかで観られますか?

 完全限定生産盤に付くDVDの「Acoustic “pl/rayer” Live -2021 Winter-」(※今作のために撮り下ろしたアコースティック編成でのパフォーマンス)のなかで弾いてます。ただ、アップライトって本当は右腕を使って弾くような感じなんですけど、その日が寒すぎて腕が動かなくて。エレキ・ベースみたいにトントン…って(指で)弾くという(笑)。でも、そのぶんリズムが大きくハズれることはなかったので、コントロールはしやすかったですね。

――『PANDORA』のレコーディングで使用したおもなベースは?

 ヘフナーのヴァイオリン・ベースと、1966年製のフェンダーのプレシジョン・ベース。あとは、フェンダー・カスタムショップのマスタービルト・シリーズのジャズ・ベースと、スピッツの田村さんからお借りしている青いジャズベと、あとはリッケンバッカーですね。今まではマスビルのジャズベでほとんど録ってたんですけど、『PANDORA』の制作中にめちゃめちゃ増えました。6~7本くらいかな。この半年、月1ペースでベースが増えているんですよ(笑)。次はSGベースを買おうと思っていて、今めちゃめちゃ探しています。

――それだけベース・サウンドに対して求めるものがシビアになっているということですよね。

 そうですね。それにプラスして、機材を買うことに関する頭のネジが飛んじゃったっていうのがありますね(笑)。66年製プレベを買ったのはコロナ禍が始まってすぐのときだったんですけど、進太郎が“こういう状況だからこそ、俺たちが楽器業界にお金を落とさないと”って言ったのがすごく心に来て。それを聞いてネジが飛んじゃったんですけど、蓋を開けてみたら、今、楽器はめちゃめちゃ売れてるらしいですね(笑)。嬉しいことなんですけど。

――SGを買ったら、次はなんですか(笑)?

 SG買ったらもう1本リッケンですね。その次は何を買おうかな(笑)?

◎Profile
はせがわ・ぷりてぃ・けいすけ●1989年12月20日、大分県生まれ。中学校の同級生である牧達弥(vo,g)らとともに、go!go!vanillasを結成し、そのタイミングでギターからベースへ転向。2014年アルバム『Magic Number』でメジャー・デビューを果たす。これまでに5作のフル・アルバムをリリースし、精力的にライヴ活動を展開している。プリティは2018年に交通事故に遭うも翌年の10月に復帰。2020年11月には初の日本武道館公演を開催した。2021年3月にプリティ復帰後初となるフル・アルバム『PANDORA』が発表された。6月30日には2020年11月に開催された日本武道館公演の模様を収めた映像作品『1st LIVE FILM -AMAZING BUDOKAN 2020-』をリリース。4月より、2年ぶりとなる全国ワンマン・ツアー“PANDORA TOUR 2021”を開催中。名前の“プリティ”は、セックス・ピストルズの「プリティ・ヴェイカント」より。

◎Information
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