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    INTERVIEW – 長島涼平[フレンズ]

    • Interview:Kengo Nakamura

    逆境を乗り越え、未来を見据えて掴んだ手応え

    2015年の結成以来、シティ感をまとった上質なポップスを打ち出して老若男女を問わずにその支持層を拡大してきたフレンズ。今年4月にメイン・ソングライターでもあったひろせひろせ(mc,k)の脱退が発表された彼らだが、その逆境を乗り越え、メジャー2ndアルバム『SOLAR』をリリースした。昨年、結成5周年をコロナ禍によって不本意な形で過ごしたであろうベーシストの長島涼平だが、その状況のなかでもプレイヤーとしての爪を研ぎ澄まし、新生フレンズとしての確かな足跡を残している。“バンドの力量が試されている気もした”と語る長島に、現在の心境を聞いた。

    自分が好きなポップスのベースとして
    どうやってアウトプットできるか。

    ━━フル・アルバムとしては『コン・パーチ』以来、約3年ぶりとなるアルバムです。この間、世の中的にもバンド的にもさまざまな変化がありましたね。

     そうですね。今はもういろいろと飲み込めて、現状を楽しんでやれているんですけど。コロナのことで言えば、まだコロナでライヴが中止になる前の去年の1月に、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でやったツアー・ファイナルが、すごく手応えがあったんです。5周年となる2020年を、めちゃくちゃいいスタートが切れたと思っていたから、そのあとコロナ禍になって状況が変わっていってからは、メンタル的にだいぶ落ちましたね。でもその状況ってバンドをやっている人だけに限った話でもないし、言ってみれば誰もがそうだったわけですからね。そんななかで、メンバーの脱退があったんですけど、なんていうか、“やっぱ、バンドって思うようにいかないよな”というか(笑)。

    ━━バンドにはドラマがつきものでひと筋縄ではいかないと。

     そう。いろんなことがあってこそのバンドで、そういう意味で、バンドの力量が試されている気もしました。だから、確かに大変な時期ではありますけど、あまり腐ってはいないですね。

    ━━メイン・ソングライターでもあったひろせひろせ(mc,k)さんの脱退によって、楽曲制作の過程はどのように変わりましたか?

     僕自身のバンド内での立ち位置みたいなものはあまり変わってはいないんです。でも楽曲に対して、全員とすごく細かくコミュニケーションを取るようにはなったかもしれないですね。ひろせがいた頃は曲の母体がわりと完成された状態で送られてきて、それに対して、僕だったらベースを自分が弾きたいように変えて戻すって感じだったんです。例えばデモ段階で5できているところに、残りの5を足して10にしているっていう印象。もちろん以前も、ほかのパートが何をやっているかは聴いていたけど、そのまま完成に向かうだろうなっていう考えがあったので、あまりほかのパートと細かいやり取りまではしなかったんです。今は、意外と、その5のなかに濃密な10が入っていたんだなと思っていて、ほかのパートがどういうことをしたいのかを踏まえたうえで、その曲の正解に向かっていく。それがめっちゃ楽しかったんですよね。

    ━━新作『SOLAR』は前半が新しい4人のフレンズの楽曲、後半が5人のフレンズ時代の楽曲、そして最後が5人時代のフレンズの4人版での再録という構成になっていますね。

     これ、曲順は本当にたまたまなんです。みんなで考えて一番しっくりきたのがこうだった。まぁ、新体制の新しい曲はアルバムの早い段階で聴いてほしいっていうのが頭のどこかにあったのかもしれないですけど、それを前提に決めたわけじゃなくて。自分たちでも、こんなにキレイに分かれるとはっていうくらいなんです。

    ━━ベースに関して、後半の5人時代の楽曲群は“ロック・バンドの人が弾くポップス”という印象なんですが、前半はよりポップスの人であろうとしているような印象を受けたんです。それは特に音色の面で感じたことで、例えば、5人時代のシティポップ風「iをyou」やモータウン的「楽しもう」は、フレーズはポップスだけど音色にゴリッとしたロックっぽさがありますよね。それが新しい曲ではロックっぽい音色を抑えている感じがしました。

     ひろせがいなくなった段階で、僕は自分のベースをすごく不安に感じていたんです。僕はバンドが好きだし、“バンドにいるベーシスト”が好きなんですよ。カッコいいベーシストがいるバンドってやっぱりカッコいいなって思うし。ただ、4人になって、今までのフレンズのちょっと子供っぽい部分を抜いて、大人っぽく洗練された部分を出そうとなったときに、自分が今までのベースを弾いていたらダメだなっていうのはすごくあって。でも、今からポップスに寄せた音楽を勉強で聴いたとしても、それが自分の血肉になるかはわからないし、やっぱり上っ面でしかないんじゃないかって思うんですね。そういう意味で、新しいフレンズでのベースの立ち位置を、技術とかで無理するよりも、自分のなかにある、自分が好きなポップスのベースとしてどうやってアウトプットできるかなというのは考えていましたね。

    『SOLAR』
    ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ/AICL-4032
     フレンズにおける長島のメイン・ベースは、フリーダムカスタムギターリサーチ製のS.O. JB70’S。ボディはアルダー、ネックはメイプル、指板はインディアン・ローズウッドで、ピックアップはフリーダムでリワインドされたVooDoo製のものを載せる。『SOLAR』のレコーディングでも、「iをyou」「8月31日の行方」以外は本器が使用された。
     「iをyou」で使用されたフリーダムカスタムギターリサーチ製Rhino。ライヴではサブ・ベースとして用意され、半音下げチューニング用の楽曲などで使用される。なお、「8月31日の行方」では、the telephonesでメインで使っている黄色のフリーダムカスタムギターリサーチ製JBモデルが使用された。
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